飯田市街地でも、数は少ないながら喫茶店が営業をしているので、たまにそういうお店にも入ります。その中では、BGMにスタンダード・ヴォーカルが流れている「蘭峰屋」(らんぷや)が気に入っています。先日は、お昼休みに出かけて行ったのですが、「Angel Eyes」、「For All We Know」、「Stardust」など女性ヴォーカルが聞こえてきて、しばし癒されました。店内は山小屋風で、照明があまり明るくないのも気に入っています。「'Round Midnight」というタイトルです。
JOAN STEELE (ジョアン・スティール)
'ROUND MIDNIGHT (Audiophile 1972, 75年録音)
ジャズ批評No78(1993年)の女性シンガー大百科Vol.2で紹介されていたので知った歌手です。しばらくしてこのLPを入手できたので、聴いてみたのですが、ジョアン・スティールのピアノ弾き語りがジャズ・フレイバーに富んでいて、意外な掘り出し物でした。現在は、CD化されており、1曲追加されています。また、他にもアルバムはありますが未聴です。
歌手として職を得るために、1967年にカリフォルニアに出てきたところ、J. R. モンテローズのグループで雇ってもらえた。同グループでヨーロッパに出かけていくが、そこでグループは解散し、彼女はカルフォルニアに戻り、「We Three」というヴォーカル・ショー・トリオを結成し2年ほど活動。その後、ジャズの世界に戻り、現在は単独あるいはコンボで歌っている。以上がライナーにあるごく大雑把な略歴ですが、その後の動向は不明でした。
メンバーは、ジョアン・スティール(p,vo)、1972年の録音には、ルロイ・ヴィネガー(b)とTom Albering(ds)が加わっています。曲は、「St. Louis Blues」(セントルイスブルース)、「My Heart Belongs to Daddy」(私の心はパパのもの)、「I Wish I Could Walk Away」、「Like Someone in Love」、「Send in The Clowns」、「I Got It Bad and That Ain't Good」、「A Sleeping Bee」、「Something」、「I've Got A Crush On You」、「You've Changed」、「'Round Midnight」の12曲で、スタンダードが多いですが、ボビー・スコット作「I wish I Could Walk Away」を取り上げているのは珍しい。
声はややハスキーで低め、歌い方はブルージーで、タイトルどおり、深夜というか夜のムードです。静かに歌だけで出て、伴奏をつけながら次第に盛り上げていく「St.Louis Blues」、ベースだけをバックにスインギーに歌う「My Heart Belongs to Daddy」、ダイナミックな「I Got It Bad」、そしてバラードの「You've Changed」あたりがよいです。ピアノの演奏には、クラシカルなフレーズも散りばめられいて、研鑽を積んだことを伺わせます。
【珈琲 蘭峰屋】
住所:長野県飯田市中央通り3丁目12 2F
電話:0265-24-9855
営業:月~木 9:30~19:00 金・土 9:30~23:00 日 10:30~18:00
定休日:なし (買い出しや所用で一時的にしまっていることはあるらしいです)。