安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

板橋文夫 WATARASE

2014-09-07 08:54:50 | ピアノ

近所のTUTAYAに出かけて、DVDを物色していたら、邦画の棚に、「昭和キネマ横丁」というコーナーが設けられていて、関連作品が陳列してありました。僕は、邦画の古いところをたまに見るので、こういう企画はありがたい。さっそく、岡本喜八監督の「暗黒街の顔役」を借りてきました。やくざ社会のアクションものですが、映画の中には、ジャズ喫茶(今でいうライブハウス)も登場し、コンボをバックに歌う場面も出てきます。日本のジャズを。

FUMIO ITABASHI (板橋文夫)
WATARASE (Nippon Columbia 1981年録音)

   Watarasefumioitabashi

板橋文夫のソロアルバムです。ピアノ・ソロのアルバムはたくさんありますが、飽きさせずに最後までリスナーを惹きつけるものは数少ないと思いますが、板橋文夫のこれは、その数少ないうちに入るのではないでしょうか。LP時代に、再発されなくて、幻の名盤となっていたものですが、2005年にCDで再発され容易に手に入るようになりました。

ピアノの演奏とともに、「Watarase」や「Good Bye」など板橋文夫のオリジナル曲がよいことも特長として挙げられます。日本流の旋律、響きが聴こえているところもあります。全部通して聴くと、ジャズといってもいいし、クラシックだといってもおかしくない、そういうジャンル分けは無用だと思わせます。

曲は、「Someday My Prince Will Come」(いつか王子様が)、ダラー・ブランド作「Msunduza」、「I Can't Get Started」(言い出しかねて)、あとは板橋の自作で、「Tone」、「Watarase」、「Miss Cann」、「Good Bye」の全7曲。彼は映画音楽も手がけていて、「Good Bye」は、柳町光男監督の「19歳の地図」のために書いた曲です。

マッコイ・タイナーの影響も垣間見える剛腕ピアニストといったイメージがある板橋文夫ですが、このアルバムでは詩的抒情に満ち、しかも甘さに流れないプレイを行っています。「Msunduza」ではビートに乗って左手も含めて力強いプレイを展開していますが、「Tone」、「Watarase」、そして「Good Bye」と、それぞれの情景あるいは背景も想像できるようなピアノの響きは、美しく、儚げに訴えかけてきます。トレモロ、右手の細かい下降フレーズ、グリッサンドなどを駆使して自在な表現をしています。

【岡本喜八監督 暗黒街の顔役】

      Ankokugainokaoyakuokamotokihachi_2
鶴田浩二と宝田明が出演しています。この映画は、テンポがよくて緊張感が持続していきます。また、歌手の一人として「中島そのみ」が出演し、歌う場面もあります。

      Shouwakinemayokiochoupamflet201408     Nihoneiga110nenshiyomotainuhiko
左は、ツタヤで配布されている小冊子「昭和キネマ横丁」。作品の紹介などがあって、見ているだけで楽しく、参考になります。右は、最近買って読んでみた、日本映画史110年(四方田犬彦著 集英社新書)です。僕のような映画初心者にもってこいの映画史で、読みやすいよい本です。

        Thehulahoopsongnkajimasonomi
アーリー60’ポップ・ガール・シリーズの一枚。中島そのみの歌が18曲収録されているCDです。はじめは、ウェスタンの歌手として活動しましたが、女優として多くの映画に出演しています。



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 azumino さんこんにちは. (moto)
2014-09-07 19:04:16
 azumino さんこんにちは.

 ボクも彼のアルバムは数枚持っていますが、ボクの "WATARASE" は2枚組で、1枚目は他のアルバムの寄せ集めになっています.
 一番欲しいアルバム "涛" が再販されないので、大好きな "グッドバイ" と "アリゲーターダンス" が入っているだけでも満足なのですが・・・・・・・・・このアルバムはソロということで、購入しなかったように思いますが、今のうちに買っておこうかな.

 その昔ジャズ屋で一度聴いたことあるんだけれど、タッチの強さだけが強烈な記憶として残っています.
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azumino さん、こんばんは。 (duke)
2014-09-08 18:32:09
azumino さん、こんばんは。

板橋文夫はライブでもめったにスタンダードを弾きませんので、このレコードの「Someday My Prince Will Come」や、「I Can't Get Started」は貴重です。どんな編成でも板橋節は変わりませんが、やはりソロがいいですね。1998年に北海道の北見市で開かれたソロ・コンサートは、「North Wind」というタイトルでCD発売されております。最高のソロです。機会があれば是非お聴きください。ライナーノーツには私の名前もクレジットされております。
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motoさん こんばんは (azumino)
2014-09-08 21:15:54
motoさん こんばんは

板橋文夫は、この5月に長野市で、森山威男グループの一員として久しぶりに聴きました。ソロスペースが多く、彼のピアノをたっぷりと聴くことができました。

板橋文夫は、希有なコンポーザーズ・ピアニストです。そういう点からすると、ソロ作品もよいと思い、このアルバムを取り上げてみました。
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dukeさん こんばんは (azumino)
2014-09-08 21:47:44
dukeさん こんばんは

北海道では、ライブの名盤が生まれていますね。熱心なファンが多いせいだろうと思います。「North Wind」探してみます。

新宿のピットインや長野市のバックドロップなど、最近ライブにも足を運んでいます。演奏は様々ですが、ライブならではの面白さはあります。
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azuminoさん,こんばんは。当方ブログにコメントを... (中年音楽狂)
2014-10-14 23:30:52
azuminoさん,こんばんは。当方ブログにコメントを頂きまして,誠にありがとうございました。

私は,本当につい最近になって,この作品を初めて耳にしたわけですが,想像以上の素晴らしさでした。こういうことがあると,日頃の不勉強が明らかになりますが,最近はジャズ喫茶で浴びるように音楽を聞くってこともないだけに,まぁ仕方がないかもしれません。

ともあれ,貴ブログは,私のものと違って,極めて真っ当なディスクの選定をされており,雑食の私は恥ずかしくなってしまいますが,今後ともよろしくお付き合い下さい。

ということで,TBさせて頂きます。
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中年音楽狂さん こんばんは (azumino)
2014-10-15 22:23:27
中年音楽狂さん こんばんは

コメント、トラックバックありがとうございます。僕のブログに登場するアルバムは、ハードバップとヴォーカルで、幅広く聴いているわけではありません。その点、中年音楽狂さんは、最新のアルバムやライブの記事などいろいろとあって、幅が広いです。

年代の違いもあるかもしれません。また、僕は長野県内あちこちでかけて、そんな話題も書いています。どうぞ、引き続きよろしくお願いします。
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