安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

デクスター・ゴードン A SWINGIN' AFFAIR

2008-06-04 19:59:21 | テナー・サックス

JR東日本の新幹線車両内に置かれている同社PR誌「トランヴェール」の6月号の特集は、「東北、ジャズに酔う旅」です。東北新幹線沿線の仙台、一関、八戸などのジャズ・スポットが紹介され、旅へ誘っています。読んだところ、その昔、友人がバイトをしていた仙台のジャズ・バー「スイング」が「アドリブ」と名を変えて営業しているのを知りました。今度訪れるときには、寄ってみたいものです。直訳すると「揺れる(スイング)こと」というアルバムです。

DEXTER GORDON (デクスター・ゴードン)
A SWINGIN' AFFAIR (BLUE NOTE 1962年録音) 

 A_swingin_affair

デクスター・ゴードン(テナー・サックス)の傑作のひとつです。リズムはソニー・クラーク(ピアノ)、ブッチ・ウォーレン(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)で、ジャケットも決まっています。彼のプレイは大味なものが多いという誤解をしていたことがありました。おおらかにスイングし、バラードは繊細なこの作品あたりを聴くと、もったいないことをしていたものだと反省しています。

曲目は、「Soy Califa」、「Don't Explain」、「You Stepped out of a Dream」、「The Backbone」、「Until The Real Thing Comes Along」、「Mcsplivens」という6曲で、スタンダードが3曲含まれています。繊細なゴードンのプレイが聴ける「Don't Explain」、「You Stepped out of a Dream」や豪放な「The Backbone」が楽しめます。

ソニー・クラークの参加が価値を高めています。ここでも、マイナー調のコード、フレーズで、例えば「You Stepped out of a Dream」のプレイが光ります。付け足しですが、「Unteil The Real Thing Comes Along」で、デクスター・ゴードンは「Over The Rainbow」のメロディを引用していて、それが自然に溶け込んでおり、このへんもいいなあと感心しています。

トランヴェール6月号は、こんな表紙です。

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アイリーン・クラール THE BAND AND I

2008-06-01 21:04:51 | ヴォーカル(E~K)

今日は、きのうの雨模様からうって変わり、よく晴れたいいお天気になりました。6月は、梅雨入りし、蒸し暑くてじめじめした天候が続く月だというイメージが日本ではあります。これに対して「ジューン・ブライド」という言葉ができたように欧米では季節的にも6月(June)はいいシーズンのようです。地勢的な違いはありますが、6月を歌った「Memphis in June」が収録されたアルバムを聴いてみます。

IRENE KRAL (アイリーン・クラール)
THE BAND AND I (United Artists 1958年録音)

 Thebandandiirenkral

「Memphis in June」は、ポール・フランシス・ウェブスター作詞、ホーギー・カーマイケル作曲で1945年に作られた曲です。メンフィスは、アメリカ中西部のテネシー州にある都市で、綿花などの集積地として栄えたところです。W.C.ハンディも、「メンフィス・ブルース」を書いています。

歌詞の大意は、青い空の下の日陰になったベランダ、通りをゆっくりと渡っていくおばあさんがみえる、すべてが平和で素晴らしい。兄弟よ、6月のメンフィスに勝るものはないよというものです。いわばメンフィス賛歌ですね、ただし、細部までは意味がとれていません。ホーギー・カーマイケルの自演や、ジュリー・ロンドン、ルーシー・アン・ポークも歌っています。

「Memphis in June」は、スロー・テンポでじっくりと歌われます。クラールは、70年代にバラード歌手として大きく注目されましたが、その素地はすでにこのアルバムにも出ているかのようです。伴奏は、ハーブ・ポメロイのビッグ・バンドで、チャーリー・マリアーノ(as)が加わっており、彼のものと思えるソロもちょこっときけます。アレンジは、アー二ー・ウィルキンスとアル・コーンが担当。

曲目は、スローな「Detour Ahead」、「Lazy Afternoon」、「Menphis in June」、「The Night We Called it a Day」、ミディアム以上の「I'd Know You Anywhere」、「Comes Love」、「What's Right for You」、「I Let a Song Go out of My Heart」、「Something to Remember You By」など12曲です。

「Detour Ahead」ほか、ちょっと物憂げに聞こえてくるスローテンポの歌が印象深いですが、「Comes Love」や「I Let a Song Go out of My Heart」も軽くスイングして気持ちのいい歌唱です。

ホームページにアイリーン・クラールを掲載しました。時間があればご覧ください。モダン・ジャズやヴォーカルを聴こう アイリーン・クラール