安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ハンク・モブレー A SLICE OF THE TOP

2013-03-06 08:42:37 | テナー・サックス

この冬は、飯田市でも朝の寒さが厳しく、朝食を作るのにも気乗りがしなかったのですが、ようやく億劫でなくなってきました。メニューは、パン、卵料理(今日はハムエッグ)、野菜(キューリとトマト)、オレンジジュースに珈琲で、だいたい毎日似たようなものです。今日のパンは、「トップ」というお店で買ってきたバケットで、チーズを乗っけてトーストしました。野菜不足かもしれませんが、美味しくいただきました。アンサンブルも美味しい作品。

HANK MOBLEY (ハンク・モブレー)
A SLICE OF THE TOP (Blue Note 1966年録音)

 Asliceofthetop

EMIミュージック・ジャパンの999円のCD再発では、ブルーノートの発掘シリーズまで出てきたのには驚きました。かつて米国盤LPをレコード店でよく見かけたのですが、ジャケットもつまらなかったので、手がのびませんでした。CDサイズになり地味なジャケットもなんだか様になったような気がします。そこで、これだけはと、真っ先に購入したのがハンク・モブレーのこのアルバムです。

メンバーは、リー・モーガン(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ジェームス・スポールディング(as、fl)、キヌア・ザワディ(ユーフォニウム)、ハワード・ジョンソン(tuba)、マッコイ・タイナー(p)、ボブ・クランショー(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)、デューク・ピアソン(編曲)。チューバとユーフォニウムを入れた5管の厚く柔かいアンサンブルも聴けます。ピアソンは優れたピアニストですが、この時代はアレンジャーとしての活躍が目立ちます。

モブレーのオリジナルが、「Hank's Other Bag」、「Cute 'N Pretty」、「A Touch of Blue」、「A Slice of The Top」の4曲で、それにスタンダードの「There's A Lull In My Life」が加わり全5曲。モブレーのオリジナルは、アドリブの素材という意味合いが強いのか、どれもテーマからアドリブにスムーズにつながっています。

アルバム全体にリラックスしたハンク・モブレー(ts)の演奏が聴けますが、「A Touch of Blue」や「A Slice of The Top」などではモーダルなアプローチも出ています。バラード「There's A Lull In My Life」では、夢みるようなクリーミーなサウンドをバックに、モブレーは悠然とソロをとっていきますが、ビリー・ヒギンズ(ds)のブラシに煽られながら早いテンポでメリハリのある旋律を綴っていくところがハイライトで、この曲が最も印象に残りました。モブレーがお蔵入りを嘆いたのももっともなアルバムです。

【朝食 2013年3月】

    Choushokutansinfuniniida201303
    
テーブルは、長野県下伊那郡根羽村産の杉で作ってもらった
     もので、スギの木目がよく見えます。

【トップ】
パンもケーキも美味しい飯田市の洋菓子店。お客さんが多く、僕も気に入っているお店です。

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 住所:長野県飯田市東新町1-27
 電話: 0265-23-9001
 営業:8:30~19:30 


森山威男 HUSH-A-BYE

2013-03-03 13:17:25 | ベース・ドラムス

長野県の南部には、ジャズ喫茶がほとんどなく、現在毎日お店を開けているのは、伊那市にあるkanoyaだけのようです。単身赴任の行き帰りにたまによりますが、先日も、店主と1時間ばかり四方山話をしてきました。その時ちょうど、森山威男グループの懐かしいLP「hush-a-bye」がかかっていて、その話題でも話が弾みました。偶然ですが、それが先月2月20日にCD復刻されたので、僕も購入しました。

森山威男 
hush-a-bye (テイチク・ユニオン 1978年録音)

 Hushabyemoriyamatakeo

kanoyaの店主と私でこのアルバムの話で盛り上がりましたが、二人とも当時の森山グループのライブを聴いていたという共通点がありました。僕はそのライブにおける「Hush-a-bye」の演奏は未だに記憶の片隅に残っています。前に一度再発されたという記憶はありますが、今回のCD再発を待っていた方もいらっしゃると思います。

メンバーは、小田切一己(ts, ss)、板橋文夫(p)、望月英明(b)、森山威男(ds)、向井滋春(tb)。当時の森山威男のレギュラー・グループに向井滋春が客演した形です。小田切一己は、残念なことに、31歳の若さで亡くなってしまったので、29歳の時に吹き込んだこのアルバムがことに貴重なものとなりました。他にも録音はあるのでしょうが、アマゾンなどで調べた限りでは、彼の他の録音を見つけることはできませんでした。

曲は、板橋文夫作が2曲で「Sunrise」(サンライズ)と「North Wind」(ノース・ウインド)、森山威男作「Snow Tiger」(スノー・タイガー)、そしてスタンダードが2曲で、「Hush-a-Bye」と「Lover Man」です。メンバーのオリジナルも工夫が凝らされていて、それらも興味深いのですが、「Hush-a-Bye」は森山威男グループの代表的な曲となってライブでも演奏されているので、注目が集まります。ジョニー・グリフィンの「The Kerry Dancers」(Riverside)などに同曲は収録されているので、聴き比べも面白いです。

森山威男グループの真正面から取り組んだ力強く熱い演奏に共感を覚えます。「Sunrise」における板橋文夫(p)のプレイは、はじめはマッコイ・タイナーの影響が色濃いのですが、途中からフリー風になり、個性を発揮しだします。「Hush-a-Bye」では、板橋文夫や小田切一己(ts)が、哀惜といった言葉まで思い起こすようなソロをとります。向井滋春(tb)もフューチャーされた「Lover Man」をはじめ好演。ことに当時、彼らのライブを聴いた世代の方にとっては記念碑的なアルバムではないでしょうか。

【kanoya】

住所:長野県伊那市荒井3487
電話:0265-73-1213

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     ピアノも置いてあって、ライブやジャムセッションも開催しています。