安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

黒岩静枝 HEART OF JAPAN

2013-11-10 15:41:07 | ヴォーカル(E~K)

札幌2日目(11月4日)の夜は、ブログ「デューク・アドリブ帖」を主宰しているdukeさんとオフ会を行いました。美味しい焼鳥屋を経て、黒岩静枝さん経営のジャズクラブ「Day By Day」(デイ・バイ・デイ)へ。連休最後の夜とあって、お客さんは僕ら二人だけだったのですが、1時間を超える演奏、歌をしっかりと聴かせてくれました。「Everything Must Change」など黒岩さん(スージー)のソウルフルではあるけれど決してオーバーにならない、琴線に触れてくる歌声に、札幌に来たかいがあったとつくづく思いました。彼女の最新作です。

黒岩静枝 (SUZIE KUROIWA)
HEART OF JAPAN (beyond 2012年録音)

  Heartofjapansuziekuroiwa

今回の札幌訪問でも、ジャズ喫茶の「BOSSA」(ボッサ)と「JAMAICA」(ジャマイカ)を訪れましたが、相変わらず営業を続けているのでほっとしました。そして、「Day By Day」は、今回で3回目の訪問になりますが、こちらも変わらない営業を続けていました。お店で黒岩さんに会えないこともありますが、dukeさんの依頼により休みの予定を営業していただき、ご本人の歌も聴けました。

このアルバムは、Day By Dayで購入し、サインをしてもらったものです。日本の歌が収録されていると聞いて、驚いたのですが、ステージではそれらを取り上げることもあるようなので、自然とそういうコンセプトになったのでしょう。メンバーは、黒岩静枝(vo)、山下泰司(p)、鈴木由一(b)、佐々木慶一(プロデュース、ds)。伴奏のメンバーは、Day By Dayのレギュラーで、それぞれ札幌を中心として活躍しています。

曲は、「時代」、「無縁坂」、「紙のピアノ」、「涙そうそう」、「黄昏のビギン」、「赤い花」、「街の灯り」、「みんな空の下」、「なごり雪」、「白い思い出」、「人生の扉」、「陽はまた昇る」、「今日の日はさようなら」、「蒼氓」、「一輪の花」の15曲。僕は、このあたりの元歌はほとんど聴かなかったので、「時代」、「無縁坂」、「なごり雪」くらいは、メロディが出てきますが、あとは初めて聴くものばかりです。

すべてジャジーさが感じられる、黒岩さんの曲になっています。歌詞の意味もストレートに飛び込んできて、ニュアンスも細やかに伝わります。ベースの伴奏だけでスタートする「時代」は、もうその冒頭部分だけで彼女の世界に引き込まれます。歌、伴奏ともにブルージーでジャズ寄りな「街の灯り」、強弱をつけた情景描写が素晴らしい「なごり雪」、英語も交えてダイナミックに歌う「人生の扉」、ピアノの伴奏も効果的な「陽はまた昇る」などもよく、ジャズ、ヴォーカル・ファンにも大きくアピールする作品。

Day By Day(デイ・バイ・デイ)】   

住所:札幌市中央区南5西2 中銀ビルB1 
TEL: 011-521-6635
お店のブログ:スージーとジャズとデイバイデイ

    Daybyday201311
完全にぼけていますが、雰囲気は伝わるでしょうか。いいカメラがほしいところ。  


チャールス・ロイド DREAM WEAVER

2013-11-06 16:22:35 | テナー・サックス

連休を利用して北海道札幌市に行ってきました。友人ら数人で行ったので、観光スポットにつきあったり、宴会と忙しかったのですが、ジャズ喫茶やジャズクラブに出かけることもできました。この時期、札幌はちょうど紅葉を迎えていて、木々が美しく、ベストシーズンだったのかもしれません。北海道大学のイチョウ並木や中島公園を一人でゆっくりと散策して「札幌の秋」を感じてみました。2回続けて札幌関連の記事になりますが、まずは、「秋の情景」から。

CHARLES LLOYD (チャールス・ロイド)
DREAM WEAVER (ATLANTIC 1966年録音)

  Dream_weaver

紅葉の時期に札幌を訪れたのは、初めてで、北大の構内も初めて入りましたが、自然が残され、また、景観にも配慮が行き届いていて、素晴らしいたたずまいでした。イチョウ並木やポプラ並木といった有名スポットばかりでなく、構内全体がみどころ一杯でした。そこで、曲目に「Autumn Sequence」(秋の情景)がある、チャールズ・ロイド(ts, fl)の作品を取り上げました。

当時の若手の清新なメンバーが揃っています。チャールス・ロイド(ts,fl)、キース・ジャレット(p)、セシル・マクビー(b)、ジャック・デジョネット(ds)。発売当時から話題となったアルバムであり、ジャズ・ファンばかりでなくて、ロック・ファンにも歓迎を受けたようです。リズム・セクションの3人により、後年のキース・ジャレットのスタンダード・トリオの原型というような演奏を行っているトラックもあります。

曲は、スタンダードの「Autumn Leaves」以外は、ロイドの自作です。「Autumn Sequence」(秋の情景)は、「Autumn Leaves」(枯葉)をはさみ、自作の「Autumn Prelude」と「Autumn Echo」を付けたもので、いわば前奏と後奏が「枯葉」についた形です。後は、2部作の「Dream Weaver」、「Bird Flight」、「Love Ship」、「Sombrero Sam」で全5曲。「Love Ship」は、ジョン・コルトレーンの曲想に近いものです。

フリーがかったもの、ジャズ・ロック、バラードといった盛りだくさんの内容です。チャールス・ロイド(ts,fl )のコルトレーンの影響がみられる情熱的なプレイとともに、キース・ジャレット(p)のアバンギャルドな演奏も聴きものです。ハードな曲もありますが、ロイドがフルートを吹く「Autumn Sequence」、コルトレーンライクなテナープレイが聴けるバラードの「Love Ship」が、とりわけこの季節には似合います。

【北海道大学イチョウ並木・構内光景2013/11/04】

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ラッキー・トンプソン LUCKY STRIKES

2013-11-02 22:08:07 | テナー・サックス

長野県の飯田下伊那地域では、果樹や野菜の販売等を中心とした秋の収穫祭があちこちで行われています。そのような時季なので、この地域の食材を使った料理をいただける食事会が催されたので、参加してきました。地域色と季節感が感じられる料理に幸せを感じ、お酒もかなりすすみました。そのような気分にしてくれる作品。

LUCKY THOMPSON (ラッキー・トンプソン)
LUCKY STRIKES (Prestige 1964年録音)

 Lucky_strikes

ラッキー・トンプソン(1924~2005)の名前は、マイルス・デイビスの「Walkin'」(Prestige)に参加していたので覚えました。リーダー作については、今回取り上げるアルバムが知られているものの、他に目立ったものがなく、彼自身が話題に上ることもほとんどなかったように記憶しています。しかし、旋律を大事にした演奏は、広く聴かれていいように思います。

メンバーは、ラッキー・トンプソン(ts、ss)、ハンク・ジョーンズ(p)、リチャード・デイビス(b)、コニー・ケイ(ds)。ハンク・ジョーンズの落ち着いたピアノとコニー・ケイのでしゃばらないドラムスは、気品のあるアルバム作りに寄与しています。

曲は、スタンダードとトンプソンの自作です。スタンダードは2曲で、デューク・エリントン作「In A Sentimental Mood」とブロウニアス・ケイパー作「Invitation」、あとは、トンプソンの自作で、「Fly With The Wind」、「Mid-Nite Oil」、「Reminiscent」、「Mumba Neua」、「I Forgot to Remember」、「Prey-Loot」で、全8曲。親しみやすいメロディの曲が多く、ミュージシャンの自作ばかりいう印象は受けません。

トンプソン(ts、ss)のプレイは、モダンではあるけれど、少し古い時代の感じも残していて、味わい深い。ソプラノ・サックスで演奏した「In A Sentimental Mood」は、美しい旋律を美しい音色で吹くとこうなるといった見本のような演奏。「Reminiscent」は、バウンドする楽しい曲で、ハンク・ジョーンズ(p)やリチャード・デイビス(b)のソロも入り、トンプソンが細かなフレーズを使っています。「Invitation」では、トンプソンがテナーを吹いていますが、陰影に富んでいて素晴らしい。

秋の収穫祭食事会のお料理2013】

下記に掲げた他にも、マツタケご飯、果物のデザート(リンゴのシナノゴールドとシナノスイート、洋梨のバラード)、アルプスサーモン、梨(南水)などが提供されました。今年は春の凍霜害や秋の台風があって、厳しい年ですが、皆で実りの秋に感謝しました。

    Seinajikabochharowin
     清内路かぼちゃの皮で作ったランプ(ハロウィーン用らしいです)

    Tizanasuninniku2013
    手前:天龍村産ていざなすの洋風田楽 
    後列:下条・阿智にんにく、下栗芋、JA青年部謹製ウィンナーの串焼き

     Shinshuugyuunikomi2013_2    Kiiroipotatesalada2013
        南信州牛のどて煮          清内路黄芋とハナビラタケのポテトサラダ

     Seinaijikabochpotaaju2013 清内路かぼちゃのポタージュ