家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

奪う

2009-09-23 07:48:34 | Weblog
シチリンに火を起こそうとした。

ハチがブンブンと私の回りを回る。

巨大なミツバチのような形の奴だ。

攻撃はしてこないようだが油断は出来ない。

あまりにも頻繁に出没するので巣のありかを確かめた。

悪いことに最も使用回数の多い場所に近かった。

巣に2匹のハチが丸太の割れ目に入る所を確認して殺虫剤を吹き付けた。

殺虫剤が乾いてから出入り口をコーキング剤で固めてしまった。

何となく気が重かった。

妻が私の顔色を見て「夫婦だったのかねぇ」と言った。

「新婚家庭をぶち壊したみたいで嫌な思いがしているよ」と答えた。

すると即座に「そうじゃないよ。不倫だよ」と妻が言った。

妻は私がそう思えば重かった気が軽くなるのだろうと思ったらしい。

だが複雑に感じた。

不倫のバツは厳しいということを私に言いたかったのかもしれない。

そうではないとしても人間の倫理で虫を殺すのは、やはり気が重い。

その後落ち葉を集めて火をつけた。

落ち葉を拾っていると、その下から隠れていたコオロギやクモが逃げてゆく。

顔に触るクモの巣がうっとうしいので棒で巣ごと切り落とす。

木の椅子の上に置いてあった鉢をどけるとシロアリが巣食っていた。

チンチンに沸かした湯をかけて退治した。

余った湯を塀代わりにしている枕木にかけるとムカデが出てきて熱死した。

いったいどれだけ住み家を奪い殺戮するのか私。

だが彼らの思いのままにしておくと「幽霊屋敷」と呼ばれることになる。