家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

夏休みの経験

2012-08-20 07:40:03 | Weblog
虎太郎君は妻の行く藍染め教室について行くことになった。

事前に先生から了解を取り彼なりに染める物も準備した。

私は虎太郎君が飽きてしまったら迎えに行けるように準備した。

迎えに行く時刻は午後2時頃。

それまでに連絡が来れば即出かけるつもりでいた。

2時に到着すると虎太郎君は藍をたっぷり溜めてある容器にどっぷり手を浸けて布に藍を馴染ませていた。

指先は藍のマニキュアをしたように真っ青になっていた。

どうやら飽きることなく、それどころか夢中になって楽しんでいるようだ。

初めてのことであっても地道な仕事であっても先生や先輩の話を聞き教えを受けて初作品を仕上げつつあった。

染み込んだ藍を脱水機で抜き開いて空気に当てたら水洗いする。

何度も同じような作業を続ける。

先生が見て「もう一度漬けなさい」といい、その手順を終えて教室での作業は終了した。

それを海に持って行って洗い藍を定着させる。

おおきなヤドカリや小魚たちが祝福に来てくれた。

骨休めを兼ねた海水洗いの後水洗いして糸をほじく。

自分で縫った糸が外れると見事なシボリの柄が藍地の上に白く浮かび上がった。

蚊取り線香で作った柄や描かれたトカゲが誇らしくきれいに出た。

初めてとは思えないほど繊細な部分もきれいに仕上がった。

虎太郎君の満足感は「ああー疲れた」というため息に表されていた。

妻も私も世話してくれた先生も先輩達も苦労が報われた気分になった。

帰りの車の中では、ろくに話をすることなくぐっすり寝込んでしまった。