家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

講師は大谷康子さん

2013-06-15 08:56:27 | Weblog
軽やかな話の中に軽やかなヴァイオリン演奏が入る。

見れば赤と緑の衣装に身を包んだ美女。

耳も目も忠実にその現実を脳に伝え脳はさらにプラスアルファーして今の現実を夢のように感じ取る。

シューマンと彼の妻のクララそしてブラームス。

作曲家や演奏家として有名な彼らだが人間として考えると、そこに3角関係が浮かび上がる。

ゴシップが大谷さんの口から出てくることに会場は皆一様に歓迎ムードになり、その視点からブラームスを聴いてみたくなるという「目からウロコ」的な発見をした。

曲の一部を取り出して分析し演奏してくれる。

「ちょっと強調して弾いてみますね」というサービス付きだ。

とても解りやすくなって音楽の楽しみが増す。

これから成長していく子供たちに、そしてもう複雑な話は聞きたくなくなってきている我々にも心地よい。

「美しいメロディーが心の中に入ったとき、とてつもない強い力が出てくる。ある人は落ち着き、またある人は勇気が出てくる」

大谷さんの語る、そんな音楽感が私には心地よかった。

アンコールを弾き終えて「気合が入っちゃって早くなっちゃってスリリングでした」と感想を述べた。

なんと飾らない人なのだろうと大谷さんの性格を好ましく感じた。

最後に我々の間を縫って演奏された。

大谷さんが後ろを向くと裏側の音になり、こちらを向けば表の音になる。

目の前を通過するとき強大なエネルギーを感じた。

1708年製のグァルネリの300歳を超えた響きだ。

低音のウナリと高音の透明感が素晴らしい。

私の後ろに位置した少年は思わず立ち上がって逃げ出した。

ちょっと驚いたが「そうだよな。それくらいエネルギーの強さを感じるよな」と彼の素直な行動を見て自分の感受性が彼と同じくらいあることを嬉しく思った。