家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

足音

2013-06-21 07:24:42 | Weblog
毎朝我が家の前を走り抜ける若者がいる。

「ザッザッザッザッ」と力強い。

もう1年以上になる。

真夏にも彼は毎朝走った。

我々の散歩ですら敬遠したのに彼は続けた。

熱中症や日射病を心配したが無事だった。

この雨で、その足音が聞こえないのが残念だ。

近所に住んでいるらしいが、はっきりした住所地は知らない。

我々の散歩コースと一部一致しているので家の前でなくてもすれ違う。

当初「おはよう」と言っても彼は無視して通った。

聞こえないふりだけでなく目を合わせようとはしない。

どのくらい経ってからかは忘れたが彼も「お早うございます」と小さな声で言うようになった。

「よく続くね」」とか「がんばるね」とか「やせたね」と声をかける。

事実彼はやせた。

それもそのはずだ。

1年以上も走り続けているのだから。

走り始めの頃は、お腹のでっぷりとした青年だと思っていた。

だが、やせてみるとまだ少年であることが分かった。

最近は足音に気付かずにいても彼の方から「お早うございます」と言って走り去る。

足音は力強いが体重が減ったことは、その音を聞いているだけで分かる。

軽やかになったのだ。

やせただけでなく社交的になって顔つきも良くなったと思う。

この夏は、少し自重したほうが良いような気もするが。