第1144話でも書いたように私は仕事の中で予算計画が一番いやでした。なんの根拠も無いのに常に右肩上がりの予算を立てなければならないのがどうにも我慢できなかったのです。そんなことが実現するのなら世界中の企業は何時か世界一になるはずです。そんなことはあるはずが無いのに当たり前のように前年増の予算で無ければ許されない。良くもこんな馬鹿なことを毎年毎年繰り返すものだとあきれていました。つまりは、サラリーマンには向いていなかったのでしょう。
しかし、第2018回や第2145回で取り上げたブータンの「国民総幸福量」という考え方を知ってこれこそ私が求めていた考え方だと喜んだものです。しかし、現実はそんな考えが受け入れられることはないだろうとあきらめていました。ところが、そんな考えに取り組んでいる会社が日本にあるそうです。
「マイナス成長」目指す日本の中小企業・向山塗料の取り組み(07/09/26)
・・・略
■ブータンの考え、会社に適用すると。。。
向山塗料は、業務用から家庭用まで塗料の販売をしている、社員20人ほどの会社です。「私たちの仕事は、地球を美しくすることです」と、GESM(Gaia Environment Satisfaction Management)「母なる地球の環境に満足してもらえる経営・考え方」を会社経営の基盤にしています。その土台には、「いくら儲けても地球を住めない星にしてしまったら仕方ないでしょう?」という経営層の思いがあります。
昔からそういう考え方をしていたわけではありません。10数年まえまでは、上場をめざして「とにかく売り上げを上げろ、新規開拓して、毎年20%ずつ増やすんだ」という経営をしていたそうです。しかし、当時、社員は居つかず、補充も大変で、当時の社長(現会長)向山邦久さんは「自分って何だろう? 会社って何だろう? どうしたらいいのだろう?」とひどく落ち込んでいたそうです。
向山さんは、その落ち込みの淵からはい上がってくるときに、いろいろな人の影響を受け、経営に関する考えが変わりました。いまは「自分さえよければ」という資本主義社会に生きているが、自分が住みたいのは「愛」や「平和」「調和」「助け合い」「自給自足」の世界なのだ、と腹に落ちたそうです。
10年ほどまえに、ブータンという国は、GNPではなく、GNH(Gross National Happiness:国民全体の幸せ)を大事にしているという話を聞いた向山さんは「じゃあ、うちではGCH:Gross Company Happiness(社員全体の幸せ)だ」と考えました。・・・中略
■会社としての幸せは社員の幸せの総量
「予定通り(売り上げは)減っていますか?」と尋ねたところ、「同業会社の倒産などの不測の事態で、残念ながら計画どおり減っていません。でも、新規開拓の営業はしませんし、社員にもノルマがありませんからゆとりがあります。人間性を壊してまで会社をやりたくはない、人の心がすさまない経営をしたいと思っていますから、このゆとりはありがたいのです。かつては社員の半分が1年でやめるほど入れ替わりが激しかったのですが、誰もやめなくなりました」(向山さん)。・・・以下略
良いですね、こんな経営者が出てきたんですね。是非成功させて一社でも多く後を継ぐ会社が増えて欲しいものです。
私もこんな会社なら作ってみたいものです。尤も、創立当時からマイナス成長と言うわけには行かないでしょうからある程度成長して安定期に入った企業から実践すべきかもしれません。
それにしても、こうした考えの経営者が一人でも多くなってくれれば日本の国も住みやすくなりそうです。
そんな時代は来るでしょうか!