折角、海外進出した企業が回帰する状況になっていたにも関わらず殆ど帰ってきませんでした。
ところが、企業が海外に逃げた円高が又襲ってきそうなのだそうです。
宮崎さんが詳しく取上げてくれています。それにしても、日本は江戸末期のように又アメリカに金をかすめ取られるのでしょうか。
戦後もクリントン等に散々痛めつけられ、最悪の平成の30年でした。今や、China肺炎と消費税でもっと悪い令和だというのに、今度は円高ですか。
やはり、日本は最貧国に落ちぶれるのでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)1月7日(木曜日) 通巻第6753号 <前日発行>
円高マグマの噴火が近い。「円高」はなぜか民主党政権で起こる。
マグマとは「日米の実質金利差」である
その昔、一ドルが360円の固定相場時代、為替差損は日銀が負っていた。
固定レートがかなり長期にわたって維持できたのは、資本の自由化も、資金移動も自由化されておらず、M&A等日本では稀で、ひたすら貿易黒字を積み上げていけば、緩慢に円高傾向となることは明らかだった。
日本人の海外渡航が自由化されたのは昭和四十年代だった。自由化されても暫し、持ち出せる外貨は千ドル以内だった。日本人の海外旅行者数が百万を超えたのは昭和四十八年度頃だった。ドルを日本は必至で貯めて、賠償金を支払ったのである。
1971年のニクソンショックで米ドルは金兌換システムから離脱した。
すなわち米ドルは紙切れとなった。1972年のスミソニアン合意から1985年の「プラザ合意」を経て、円ドル・レートは完全に変動相場制に移行した。つまり為替差損が政府から民間へするりと移転したのだ。
為替レートは、実体貿易の数十倍の規模で行われる通貨取引によって決まる。したがって、通貨は商品でもあり、投機対象となる。ジョージ・ソロスはポンド危機に便乗して一夜で10億ドルを稼ぎ出し、97年のアジア通貨危機でも裏面で暗躍したという。
この場合、皮肉にも準固定相場制度をとる香港、台湾、中国のようなドルペッグ体制の国々のほうが為替の乱高下が起こりづらい。
通貨がいったん穀物や石油のように、投機商品と化ければ、従来の為替理論は通用せず、実体経済や貿易バランスは横に追いやられ、第一に金利、第二に経常収支、第三が政治相場、そして主要国の政治環境によって左右される。
これらの変動指数から次の相場形成の傾向を先読みする投機筋が通貨戦争を仕掛けるのだ。
レーガン政権二期目、ベーカー財務長官は日本に強引にプラザ合意を押しつけた。クリントン政権の時代、1ドルは124円から83円台となった。オバマ政権は日本のことなど眼中になかったかのように1ドル=78円という記録的な「円高」がきても、日本の悲鳴を無視した。
バイデンは、政権発足前すでにドル下落が始まっており、1月6日には1ドル=102円台までドル安がすすみ、100円台割れは時間の問題である。
▲円高はなぜか民主党政権で起こる。
「円高マグマ」が爆発寸前だと産経編集委員の田村秀男は言う。
「財政、金融の連携が(アメリカと逆に)緩い日本とのギャップで、円高を(アメリカの金融環境が)加速させかねない」とする。
マグマとは「日米の実質金利差」であり、「実質金利は名目金利からインフレ率を差し引いて算出する。金の裏付けのない現代のお金の値打ちはその通貨建ての市場金利と、その通貨でいかほど購買できるかを占めるインフレ率に左右される。実質金利が高い通貨が選好され、低い通貨は売られる」(田村前掲論文、12月19日産経新聞)。
中国がこのところ、日本国債を購入しているのは、ドルから円への転換で得られる金利差であり、つまるところ日本国債の金利が05%であっても、十分に投資価値があるというわけだ。
オバマ政権のときの円高は、アメリカの通貨供給の増発に、緊縮財政に固執した日本の政財界と日銀によって、日本がひたすら愚策を続けた結果であり、もし通貨増発で対応しておれば問題はなかった。白川日銀総裁の責任は重いと言わざるを得ないのである。
コロナ災禍による財政出動は記録的天文学的巨額となっているが、アメリカはお構いなく赤字国債を出し続けていく。日本は、かなりの巨額並びに補正予算で真水を増やしてはいるもののこの程度では円高マグマを冷却するには到らない。
円高マグマの噴火が近い。
それにしても、これを防ぐ人材はいないのでしょうか。つまりは、江戸時代から変わっていないということでしょう。
やはり、これもトランプさんの当選とChina潰しこそが助けてくれるのじゃないでしょうか。