明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



試写会開場が中央公論新社の真ん前で、せっかくなので次号のアイディアスケッチを持ってお邪魔する。今号の『夏目漱石と本郷を歩く』が地味なので、次号は少々ハデにと、主人公にジェットエンジンを背負わせ空を飛んでもらおうと考えている。タイトルに毎号“歩く”がつくのに、歩かずに飛んでるじゃないか、ということもなく、背景になる撮影場所も決まる。 映画はかつてのロシアバレ団の名ダンサー達が、数十年ぶりに集まるところから始まる。現役当時のフィルムは目も覚める美しさ。ディアギレフ以前は、ほとんどフィルムが残っていないのが残念だが、彼の死後のロシア人ダンサー、その他ロシア名で活躍した各国ダンサー、バレエ・リュス初の黒人ソリストの証言など、貴重かつ興味深い。上映時間を2倍にして当時のフィルムを長く見せてほしいくらいである。給料は安かったようだが、老人達はバレエ・リュスに在籍していた誇りを、みな持ち続けていた。それにしても、あの名花がこの老婆。時以上に残酷なものはない。 帰りの地下鉄車中、ジェットエンジン背負った人物が○○背景に飛んでいるというのは、よく考えたら、とんでもない図である。こんなことを考えている間は、私はすこぶる付きで機嫌が良い。鼻息が荒くなってきて、K本でキンミヤ焼酎胃袋に放りこみ、馬力をつけて作業を再開したのであった。

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