明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一滴  


昨日のロケハンで不思議に思ったのが、店や展望台で働く人に、目の前にそびえるビルに光がいつ当たってるか、どう当たってるいるかなど、何を聞いても誰も知らない。毎日見ている景色だろうに、と思うのだが。そんなものらしい。予定時間に喫茶店の窓際に陣取る。景色を眺めるうち、昨日までの構想と、少々フレーミングを変えることにした。撮影はあっという間に終わり帰宅。現像を済ませネガを選んでいると、一階下に住む映画プロデューサーのYさんからK本より電話でお誘い。「今日はネガ選ぶのに時間かかりそうなので行けるかどうか」といったものの、使えそうなカットを1カット見つけたとたん、安心して出かける。行くとYさんが常連席で、コーラの1リットル瓶から、500ccのペットボトルへキンミヤ焼酎を移している。一見、火炎瓶製作中である。 K本は女将さんが、コーラの1リットル瓶ごと冷やした焼酎を、いったん年季の入ったガラスコップに表面張力を最大限に生かして注ぎ、それを一滴もこぼさず客のコップに注いでくれるのが嬉しいわけで、そのリズムは芸の域に達しているのだが、重いコーラ瓶を扱うのがいかにも大変そうであった。日ごろ、これができなくなったら止めるといっていた女将さんだが、それでは客のほうが困るわけで、軽いペットボトルに換えてみようという初の試みなのであった。作業後、数滴あまった焼酎を自分のグラスに垂らすYさん。すかさず常連から「ずるいぞY」実にたわいがない。Yさんは明日が早いし、定年退職のGさんは、もう少し飲みたいが1杯は飲めない。かといってこぼさないように注いでくれる焼酎を残すわけにいかない。半分お願いと両サイドからいわれ、私のグラスは減ることがない。

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