明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


午前9時過ぎにT屋に行くと、近所の運送会社のKさん。夜勤明けで、このくらいの時間に飲み始める。10代で鹿児島から東京出てきた当時、人形町の寮から銀座まで裸足で出かけ、帰りにホステスにサンダル借りて帰ったことがあるという。その頃すでに酔っ払いだったのか、と思ったらそうではなく、中3の終わりまで、郷里の村では常に裸足だったという。砂利道など平気で走り回っていたというから、さぞかし足裏が鍛えられたことであろう。エチオピアの話ではなく、Kさんはまだ50代である。 私が4キロ四方誰も住んでいないところで、学校の先輩2人と焼き物を作っていた時、他の2人が1週間ほど帰ってこなくなり、退屈のあまり、狼少年のようなノリで、飼っていた犬と一緒に、素っ裸で山道を奥まで行ってみようとしたことがある。5メートルも行かないうちに、砂利が痛くて引き返した。普段靴を履いている人間にできるものではない。銀座で裸足といえば、小学生の私も、歌舞伎座の前を走ったことがある。母が怒って殺気を感じたら、裸足だろうとなんだろうと、家から飛び出し鎮まるのを待ったものだが、その日も靴が脱げても、とにかく逃げた。
アダージョ用の人物、頭部の仕上げも終わり、そろそろ身体のほうに取り掛からなければならない。私が仮にアダージョの読者で、読者プレゼントで表紙に使われた人形をくれるなら、私はこれにする。

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