やはり河童の甲羅を作り治すことにした。三度目の正直である。大きな甲羅を背負ったまま着物を着せると大きくなりすぎる。鏡花作品で河童を描くのであるから、それこそアトムのブーツ式で良いと思うのだが、改めて思いついたことがある。 河童の案山子から剥いだ着物は粘土で作るつもりでいた。小学校の家庭科2の私である。とても布は扱えない。ところがこの河童はずぶ濡れである。濡れて張り付いた着物から甲羅が浮き上がって見えたら面白いのではないか。特に河童初登場シーンは、石段を歩く後ろ姿である。透けて見える亀甲状の紋。ちょっと薄気味悪いところが良い。ということで甲羅を作りなおすことにした。 河童は小さいほうにはいくらでもサイズが変えられるようだが、普段90センチ程の身長である。案山子の着物はダブダブであろう。しかもボロに違いないし、ズブ濡れである。ちゃんと着物状に縫われている必用は無いのではないか。そういえば、かつて黒蜥蜴のドレスを、ただ布を巻いてごまかした前科もある。 昔JリーグにいたアルシンドがTVに出ていた。昔の映像を映していたが、ファンが床屋で自分の子供をアルシンド風河童頭にしていた。親はああいうことをしたがるものである。私もリボンやスカート姿の写真が残っている。あの頃の可愛らしさで親孝行はすでに済んでいるのだ、という説もあるが。親も私が後に、こんなことになるなんて想像もしていなかったのであろう。哀れな話ではある。写真を処分するなら今のうちである。 河童の毛は、最初人毛を使ったが、素材としての縮尺が合っていない。人毛の気持ち悪さが狙いであったが、小さな河童に人毛ではまるでピアノ線である。濡れそぼった河童の顔に張り付いた毛。この感じが欲しい。結局人形用の毛髪を粘土製の皿に張り付け、これを頭にかぶせることにした。とりあえずこの皿一つを使い回すことにする。
過去の雑記
HOME