女性の刺青師彫S嬢来廊。昨年のグループ展に来てもらったのにハスノハナの前を通過。呼び止める。私も今まで2回通過している。駅前の焼き鳥屋夫婦にいわせると「段ボールでいいから看板書いとけばいいんだよ」。「こんどいってあげようと思ってさ」。大丈夫。看板のかわりにそばに交番を設置してある。 彫Sは若いのに師匠宅に住み込みで修行。和風と古典的な墨を得意とする。刺青といっても、少女マンガのような弁天様など散見する昨今。こうでなくては。と感心している。プロでもあるし彫Sでもないのだが、いずれヌードを撮らせてもらう予定であるし、念のため。 本来彼女を被写体とする予定であったが、自身の背中は未完成で、プロとしてこれを残すわけにはいかない、と、彼女のお客を仕事場で撮影することになった。テーブルの上の物も、床に置いたものも、片付ける必要なし、と撮影した。案の定、なんだか解らない雑物にもオイルプリントならではの味が出た。今回同じネガを使った別バージョンを含めて4点出品しているが、実際の風景からどれだけ変化したかは当事者は面白いであろう。 彫Sはオスの蛇を2匹飼っており、いずれ彼女と共演してもらう予定である。彼女の蛇好きは呆れるばかりで、“結婚したいくらい”と悪戯っぽく笑うのだが。お望みなら、私なら結婚させることも可能である。と蛸に絡まれた女の作品の前で真顔の私。 “写真”はマコトを写すという意味であろうが、ホントのことなどどうでもよい私は画面からできるだけマコトを排除したい。人形を作り、写真に撮り、オイルプリントにする。嘘に嘘を重ね、1周したら私なりのホントになっていた。これが私のイメージしているところである。理由も判らず熱中したあの頃。何故オイルプリントだったのか。今頃になって合点がいっている。
石塚公昭個展『ピクトリアリズムⅡ』
2015年4月25日(土)〜5月9日(土)
没後50年『谷崎潤一郎展』谷崎像出品
神奈川近代文学館 4月4日~5月24日
オイルプリント制作法
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