明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



高校野球を見たら、その昔、高校2年の修学旅行で、喧嘩を売ってきた高校が出ていた。当時も野球で有名だったと思う。 九州を回り、帰りの京都駅だったろう。昼間、土産物屋で、一部の生徒同士で悶着があったらしく、夜、たまたま両校が集合している広場で10メートルおいて睨み合った。といっても睨んでいるのはあちらばかりで、教師も抑えられないようで、恥ずかしそうに見て見ぬ振りをしていた。その時、我が校の英語のH先生が、一人、間に進み出て、相手校で、もっともいきり立っている生徒に向かい、その詰襟の制服を指さし、「君、ホックがはずれてるよ」。 この先生は陸軍中野学校出だという噂があったが、“鉄の爪”フリッツ・フォン・エリックがナチスの将校でなかったように、歳を考えればありえないのだが、そのくらいの迫力の持ち主であった。ノーモーションから繰り出すビンタの威力。 「ホックがはずれてるよ」の一言で事を収めてしまった一件は、私も含め全員目にして、しばらく語り草になったものだが、あまりの名場面に、今になると本当だったのだろうか、という気さえする。その夜寝台車で寝ていると、担任のK先生が、一人々のカーテンをめくり、「お前ら舐められやがって、さっき、なんで行かなかったんだ」と低い声でいって回った。今思うと20代のはねっかえり教師であったが、しばらくすると学年主任のI先生に説教され、うなだれているのがカーテンの隙間から見えた。I先生はK先生とは人品レベルが違い、翌年私の担任となり、大変お世話になった。先月電話をいただき、数十年ぶりにお話させていただいたが、定年を向かえ3年だそうである。お元気でなによりであった。

01/07~06/10の雑記
HOME

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




手のひらサイズになったカーナビを自転車に、というのは考える人も多いようだが、音声案内を使えば走行中、画面に気を取られることもない。ただ車載用で、自転車の振動に耐えるようにできていないので、工夫が必要である。そこでハンドルに着けるマップケースに入れることにした。これなら画面も見えるし、雨からも守ってくれる。さらに充電だけでは心もとないので、12Vのバッテリーケースをつなげて、それは携帯用ケースにいれ、装着することにした。これで病的な方向音痴の私でも、心置きなく夕日に向かって走れるというわけである。ごく近所なのにもかかわらず、目的地にたどり着かずに、ただ汗かいて帰宅することもなくなるだろうし、憧れの、行く先を決めず、ただやみくもに真っ直ぐ行く、なんてことも可能になった。

01/07~06/10の雑記
HOME

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )




我々の世代はシェーをしている写真が1枚はあるだろう。 私は子供の頃、床屋が大の苦手であった。ありもしないヒゲを剃られるとき、布を隔てたすぐ近くに、床屋の親仁の顔があると思うと可笑しくてたまらず、その鼻息を浴びながら、太股をツネって耐えたものである。その苦行は、ヒゲはいいです、といえばいいことに気付くまで続いたが、ある日、『おそ松くん』を読んでいて、何がそんなに可笑しかったか、笑いが止まらなくなった。親仁はそれが収まるのを、手を止めて待っているのだが、『ローマの休日』に出てくる美容師に、イメージがそっくりな親仁と鏡越しに目が合い、それがまた可笑しい。笑ってはいけない状態、それ自体が可笑しいことを初めて知った。 アニマルズのエリック・バードンと赤塚不二夫は似ていると昔から思っていた。

01/07~06/10の雑記
HOME

コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )




妹が毎年恒例で、サンフランシスコより息子二人を連れてきている。1年ぶりに会うと、中2の長男は180センチ近くになっていた。顔もなんだか濃くなっている。父親はイタリヤ系米人。中学生の甥っ子のたとえとして適切な気はしないが『昼顔』のピエール・クレマンティを数倍甘くしたような顔である。一方小学生の次男坊は、落ち着きがない窪塚洋介風である。『われらが歌う時』ではないが、兄弟で随分顔が違う。長男は、私が岐阜の山奥で陶器工場で働いていたとき、チャーリー・パーカーにはまって買った、ヤマハのアルトサックスを吹いているようで、こちらにはクラリネットを2本持ってきていた。学校のオーケストラで、こんどファースト・クラリネットになったそうである。試しに吹かせてみると、案外達者。あのアルトはジャズやる時に使っている、などと生意気なことをいう。弟もトランペットをやっているが、どちらかというと空手に夢中で、茶帯じゃ中途半端なので黒帯を取りたいなどという。転んで骨折したらしく、松葉杖をついていた。混血一家の音楽物語なので、『われらが歌う時』を持って帰らそうと思ったが、荷物になるからと妹に拒否される。そりゃあ、読みたきゃ連中は原書を読めばよいわけだが。

01/07~06/10の雑記
HOME

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )


   次ページ »