花鳥風月・・・気ままな写真日記

ようこそ、どんこの小部屋へ。ゆっくりくつろいでください。
日常を出来得れば自然と融合したいと思っています。
 

キリシタン文学の郷・大江天主堂 

2006-02-01 | 紀行
 平成18年2月1日(水)

 夜来の雨は上がりましたが、冬空が戻ってきました。昨日までの陽気がウソのようです。

 天草は熊本県の南部に位置しています。殉教の島としても知られ、明治40年には与謝野鉄幹率いる若き詩人たち・新詩社一行5人が九州のキリシタン遺跡を求めて、島原から天草へ渡ってきたのです。北原白秋、木下杢太郎、吉井勇、平野万里らはまだ二十歳前後の青年詩人でした。



 一行が立ち寄った大江天主堂です。当時47歳で、天草弁の達者なガニエル神父から親切なもてなしで迎えらました。秘蔵の品や隠れキリシタンにまつわる話は若い詩人達の心に刻み込まれ、後にキリシタン文学の花を咲かせることになります。ここには吉井勇の歌碑が建てられています。

   白秋とともに泊まりし天草の大江の宿はバテレンの宿



 教会の庭は立体的な造形で、異国情緒を漂わせていました。



吉井勇は歌碑の除幕式に昭和27年に再遊しています。「あの時の天草の旅が私の一生を決定づけた旅であった」と述懐したそうです。

  ともにゆきし友みなあらず我一人
   老いてまた踏む天草の島

 その時詠んだこの歌もまた歌碑として隣接されています。その吉井勇も既に亡く、旅をした天草は師走の空が澄み切っていました。

 天草を殉教の島、夢の島と歌う詩人や旅人とそこにずっと住み続けている島民とのギャップはあるにせよ、遙かなる時の流れの中ではささいなことなのかも知れません。




 
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