英語道(トラスト英語学院のブログ)

長野県伊那市の英語塾「トラスト英語学院」の塾長ブログです(^^)/
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独り暮らしの雑感

2019年11月20日 | 閑話
授業で大学入試の過去問を解く時、その大学についてうんちくを垂れます。昨日は徳島大学の英文が出てきたので、「今だったら、地方の国立大学に進学するのも考えるかな。ゆったりとした雰囲気の中で4年間学べるんだから。高校生だった時はそんなこと、微塵も考えなかったけど。親元を一刻も早く離れ、都会のマンションで独り暮らしをしたい一心で勉強したよ」と話しました。

多くの地方高校生がそうであったように、当時の私も東京に憧れ、うるさい親から離れて、独り暮らしをするのが憧れだった。

大学に受かり、23区内、最寄駅から徒歩1分、新築のワンルームマンション、「東京03-」で始まる電話番号も手に入れ、憧れの独り暮らしが始まった。入居当日、引っ越しの手伝いに来てくれた両親が、早く長野に帰らないのもイライラした。

夕方、両親が長野に帰り、独りベッドに横になりながらテレビを見た。やっと手に入れた、自分だけの空間と時間。

なべやかん替え玉入試、若人あきら失踪事件で一色のワイドショー。少しずつ、でも確実に、虚しい何かが募る。でも、それはワイドショーのせいじゃない。

憧れていた、うるさい親のいない、独りだけの生活。そこは楽園のようなはずだった。しかし、そんな妄想は一瞬で崩れ去った。近くに家族がいてこその生活だと・・・。

浪人できたのも、家賃73,000円のワンルームマンションに独り暮らしができたのも、そのマンションで仮面浪人して大学受験をし直して早稲田に合格できたのも、両親が共に個人事業主として働いていてくれたからこそ。そんな当たり前のことに気づくのに、たいして時間はかからなかった。

母と私(早稲田大学入学記念(1992年)アルバムより)
だから、大学4年間の夏休みは実家に必ず長期帰省し、左官である父の仕事を手伝った。朝7時半から夕方5時まで、文字通り汗水流して仕事をした。夕方帰宅すると、食卓には母が準備した夕飯が並び、キンキンに冷えたアサヒスーパードライの大瓶をグラスに注いでくれた。何杯もビールをお代わりする父と私の姿を見て、呆れたように、そしてどこか嬉しく誇らし気な眼差しだった母の顔を忘れることはないだろう。

お互いに家族を思う気持ちがあるからこそ、そこには充実した時間が存在するということに、独り暮らしをして気づけた。


コメント
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