英語道(トラスト英語学院のブログ)

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センター試験を変える必要性はあるのか?

2019年11月02日 | 2020年大学入試制度改革
本日(11月2日)の信濃毎日新聞朝刊の社説で、英語民間試験導入延期について取り上げられました。以下に本文を引用します。
民間試験見送り 判断遅れた責任は重い

もっと早い段階で立ち止まる機会はあったはずだ。大学や高校の現場から上がった懸念や不安の声に耳を傾けず、あと半年足らずで実際に受験が始まるこの時期まで判断を先延ばしした政府の責任は重い。

現在の大学入試センター試験に代わる共通テストに、英語の民間試験を来年度から導入するのを見送ることが決まった。萩生田光一文部科学相が発表した。

そもそも、日程ありきで急ごしらえした仕組みはずさんと言うほかない。準備不足もあらわだった。押し切れば、混乱がさらに広がるのは避けられなかっただろう。民間試験を使うかどうかを含め、制度を見直すのは当然だ。

とりわけ見過ごせないのは、住む地域や家庭の経済力によって受験機会が不公平になることだ。7種類ある民間試験の多くは都市部でしか受験できず、交通費や宿泊費の負担が生じる。受験料が2万円を超す試験もある。

当初から指摘されながら根本的な是正策は取られていない。低所得世帯の受験料の軽減を試験業者に要請した文科省の対応はおざなりに過ぎる。「身の丈に合わせて頑張って」という萩生田氏の先日の発言は、制度の不備を正当化し、諦めを強いるかに聞こえた。

民間試験の導入は、「読む・聞く」に「書く・話す」を加えた4技能を評価するためだという。だとしても、共通テストの枠に位置づけるなら、統一した試験を新たにつくるのが本来だろう。

民間の試験はそれぞれ目的も尺度も異なり、結果を一律に比べるのは難しい。入試としての公正さを確保できない心配がある。

実際、入試改革の検討過程では、民間試験に頼らず“自前”の試験を開発することも視野に入っていた。なぜそれが消えたのか。理由も経緯もはっきりしない。

入試改革は官邸直属の会議で大枠が示され、文科省が具体化を進めてきた。主体であるべき大学を押しのけて政府が前面に立つことにそもそも無理がある。

センター試験の詳しい検証を経て移行が決まったわけではなく、大学や高校での議論が土台になったのでもない。共通テストの初回を再来年1月とした日程も明確な根拠は見当たらない。

再検討が必要なのは英語の民間試験だけではない。国語に記述式の問題を導入することにも現場の異論は強い。共通テストへの移行そのものをいったん見送り、各大学の2次試験も含めた入試のあり方を議論し直すべきだ。(11月2日)
信濃毎日新聞の社説やコラムは、2020年度大学入試制度改革において首尾一貫して否定的な姿勢を貫いてきました。過去の社説・コラムは以下をお読みください。

信濃毎日新聞コラム「斜面」(10月29日)
大学入試改革の混迷 見切り発車を止めねば(9月29日)
英語民間試験 導入を無理押しするな(8月28日)
英語民間試験 今ならまだ立ち止まれる(7月8日)


大学受験の当事者である大学と高校生が蚊帳の外に置かれ、政治主導で誘導された今回の大学入試制度改革が破綻をきたすのは自明でした。なのに、ギリギリまでその最終判断を遅らせた国の責任は大きい。

大学入試共通テストのその他の問題点や論点を以下に挙げておきます。
①国語と数学における記述式の採点の公平性。
②採点効率化のため、その記述式問題が本当に思考力を問うものなのか。
③英語から排除された発音・アクセント・文法・英文整序問題の復活。

特に③については、リーディングとスピーキング・ライティングの相関性は認められます。4技能の計測が主目的であった民間試験導入が見送られた今、スピーキング・ライティング能力と関連する発音・アクセント・文法・英文整序などを排除したままでいいはずがありません。

共通一次を含めれば40年以上の時間をかけて磨かれてき大学入試センター試験。この日本国民の財産とも言える試験を安易に変える必要性は見当たりません。

受験生の論理性や思考力や表現力・記述力を問いたい?そんなことは、これまでも国公立大学の二次試験でやってきたことです。

私立大学はどうする?国公立大学と同じく、各大学が必要とするなら独自に問題を作成し、入試で課せばいいだけのこと。50万人以上が一斉に受けるセンター試験でそんなことをやろうとすること自体に無理があるのです。


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