私の英語人生の原点は、小6から高1まで通っていた個人の英語塾です。1980年代の長野県の片田舎。英語塾どころか学習塾自体も珍しかった当時、私の実家から自転車で5分もかからないところにあったその塾は、普通の民家の一間に、折りたたみ座卓テーブルを4つ囲んで置き、みな畳の上にベタ座りして勉強していました。
その家の奥さんでもある先生が中央に座って、学年も学校も違う生徒を指導していました。多い時は先生一人で10人程の生徒を教えていましたが、みな黙々と自分の課題に取り組み、口コミで生徒が入ってくるほど盛況で、退塾者を見たことはありませんでした。
先生が率先して英語を教えるわけではありません。私は教科書の全ページの英文暗唱と傍用問題集を繰り返すスタイルでした。分からない箇所をたまに質問する程度でしたが、その時の先生の解説が明快でスッと頭に入ってきて、中学英語は学年トップを取り続けました。因みに、この当時の文法の説明は、今の私の授業でも使わせていただいています。
先生に指導力があり、勉強できる雰囲気が醸しだされていれば、個別かグループかといった指導スタイルなんて関係ないし、市販の問題集だのオリジナルのプリントだの、教材だって何でもいいんです。昨今の塾業界を見ていると、月謝の安さや教材、学習環境を売りにしているところは多いですが、指導者自身を売りにしているところがほとんどないということに気づきます。個人塾は、実はそこが差別化のポイントだと感じています。
受験勉強の転機となりうる夏休みが近づいてきました。どれだけの生徒にやる気と可能性を与えられるか。指導者としての資質が試される時でもあります。