今週の初めのことです。
前にも書きましたけど、停止していたプロジェクト(僕とは直接関係が無い)が再開され、海の向こうから来ている連中が連日ドタバタ。
で、彼らはシステムのコア部分には入れないし、触ることすら許されないので、 何か必要が有る度に僕のオフィスに呼びにやってくる。
例の、付随同行しているシビリアンが検査官で、 業者は各種調整の結果を彼に見せ、記録を取ってOKを貰わなければ成らないわけだが、
この検査官がかなり厳しい。
莫大なお金を払っているので当然なのだが、何度も作業のやり直しをさせられている。
”コンコン”とドアをノックして お願いします的に来る業者に”面倒くせ~~~!!”とか思いながら、でも やってやらないと作業が中断してしまうので、嫌中をせずに応対する。
酷いときは、大体15~30分感覚でシステムを切り替えたり、遮断させたりの繰り返し。
そんなのを毎日続けていたのだけど、測定器の横にかならず居る検査官は、測定結果だけ見ている事も有って、
ある意味?暇なことから色々と話になる。
そんなおり、旅行から年収の話になって、幾らもらってんだ?と聞かれたので XXXですよと答えると。
いきなり、「こっちに来ないか!?」と言われた、 ”なんだなんだ???”と思っていたら、
「あなたなら最低でも年収1000万、多分1500万、いやそれ以上もらえるぞ」と、唐突にそんな事を言われたので驚いていたら、
「なんでそんなに貴方の価値が低いんだ?」と追って聞かれた。
「我々は、扱える者が殆ど居ない(数が少ない)、数少ない技術者ほど高額な収入が当たり前で、また、容易に就職できるのが普通」、
「どうだ来ないか!」
検査官の職を得るには、電子、電気、機械、通信、ネットワーク全てに精通している必要があり、さらに今は希少になってしまったアナログ技術を解らなければならない。
彼の話を聞きながら、なんとなく言わんとしている事が判るのだけど、日本の国全体に散らばっている各所に所用で来る彼らにとって、
最大の障壁は日本語でもある事も、理由の一つ。
そして、そこに居る日本人達との技術的コミュニケーションは彼らにとってかなり難しいもので、何とかそれを楽にしたいと思っているようだ。
通訳を入れれば良いじゃ無いか!という考えも有るが、上記の技術用語全般に強く精通している通訳ほぼ皆無。
希に居たとしても非常に高額。
簡単に言うと居ないわけだ。
故に、こんな僕でも入れば、彼らは激的に楽になり、やりやすくなるわけだ。
特に返答もせずに居たら、 また、「どうだ?」と聞いてくる。
そこで、なんで給与が安いのかを説明。
「自分みたいな身分の人間は、国が定めた大雑把なテーブルによる収入しかないんだ」と、僕は彼に笑顔で答えた。
検査官である彼は、その組織のトップクラスなので、問いかけが冗談では無い事は、真顔で言っていることからも判る。
こうしたところに、国籍なんか気にしない国民性がもろに現れている。
他にも同じような知識と経験をもつ一般の日本人技術者は沢山居るはずだが、それを絶対に受け入れないのは、
セキュリティの問題があって、それが半端なく厳しいので決して募集などしない。
なので、自分みたいに人生の殆どを組織の一員として身を浸してきた場合、上記問題は完全にクリアされているので別扱いになる。
彼からしたら、僕は同じ国籍の人間とみている訳だ。
「場所はどこなん?」と聞くと
行き先は「オクラホマ」とのことで、 ”あちゃちゃ! 四方八方真っ平らで ”ウインドできね~じゃん!!” ぶぁははは! と心の中で爆笑。
*でかい湖が有るので、実際は可能ですが
でも、僕に対して、”そういった評価をしてくれているんだ・・・・”と彼に感謝。
実際、そこに行くと年中世界を飛び回るので、家に帰れないし、大変な仕事でもある。
まあ、向こうに行っても、言葉の問題は殆ど無いし、組織に長年身を浸しているので慣れているから、慌てる事も無いし、驚くこともないので良いのだけど、自分には老いた二人の親が居る。
それを置いて行くわけには行かない。
家族を置いて単身で行けないし、先も書いたが、”ウインドできね~じゃん!”アホみたいなのも理由。
人に指図されるのが嫌だから、どんな人間より上であるように知識と経験を積み重ねて生きてきたのが僕の人生で、
果たしてそんな人間が本当に通用するのかどうか? と言う方が大きい。
まあ、メッキ剥がれないように?(笑)、穏やかに今の仕事を全うして行く方がよいのだろうな・・・・・と 僕は思う。