読書の秋、実はマンガに明け暮れている。「駅弁ひとり旅」を買ってきて読んだ。たのしかった、というと若い人がお勧めを教えてくれた「MASTER KEATON」。前の教室に並んでいたなぁ、と探して読み出すと、おもしろい。前にあったのは4巻が抜けた6巻までの5冊。BOOK 1に行くと抜けていた4巻があったので買ってきた。7巻からはなかった。そこで小田原に古本屋が何件もあることを思い出して探しに行った。それにしてもその手の古本屋が多いいねぇ。はじめて気がついた。数件まわったがなかった。なら新品でいいやとマメヤにいったら、古いものだからもうおいてないと言われてしまった。そこで調べると、なるほど10年以上前の連載だ。内容もニュース性としては古いのは分かったが。で、本をくれた先に捜索願を出した。すると、最終巻の9巻は見つかったけど、後が見つからないので、古本屋に寄ったら7,8を見つけたので、mamasanの誕生祝に買ってくれたというメールが届いた。優しいね。うれしいなぁ。まだ手許には届かないけど。
同じ作者の「MONSTER」という作品を読み始めた。はじめ、好きになるかどうか分からないので3巻だけ買った。神経に障るような怖さがあるので、どうしようかな、と思ったが、読みついでだからと昨日13巻まで買ってきた。はじめに感じた怖さはなく、スリリングでおもしろい。また小田原まで行って残りを買ってきた。
全18巻、読み上げた。はじめはなんとなく神経に障るような怖さを感じたが、4巻以降はそういうえもいわれぬ怖さは感じず、スリリングな謎解きのような感じで、集中して一気に読み上げてしまった。おもしろかった。手塚治虫賞を受けたのもうなづける。
主人公の医師・天馬が助けた少年が、殺人をして逃げる。その罪を主人公がかぶせられる。その少年を追うと、実は彼は旧東側の非人間的な実験施設で訓練されたた子どもの一人であったことが浮かび上がってくる。そしてそれに付随したもろもろが明らかになってくるといった展開。主人公の天馬より、途中現れては殺されていく、もろもろの人物の方が印象にのこった。が、疑問も数多く残った。マンガだよ、と割り切ってしまえばそれだけのことだけど。
先ず、ヨハン・ニナと呼ばれている双子、兄と妹と絵には描かれているが、ほんとうはどっちがどっちなんだろう、もしかしたら二人とも同性なのではないだろうか、なんて感じもした。「キミがボクで、ボクがキミ・・」単に経験が逆転しているだけのことなのかどうか。
感情のない闇の世界に育てられた子の方がノーマルで、母親の手に残されたほうがアブノーマルであることの皮肉。アクションに引き込まれて、そういった面はうまく表現されていない。本当の悪は憎しみを消すことが出来ない母親の手だろう。 そしてラストの空のベッド。振り出しに戻ったようなシーン。彼はどこへ行ったんだろう。ママのところではなかろうか。
いま、しきりに疑問を論理的に考えている。
日本の現在は、意図された訓練施設ではないが、いや大きな意味では意図されているのだろうが、大きな実験場だ。大人も子どももおかしくなっている。心の隙間に忍び込むMONSTER。よそ事ではない。それを思うとまことに皮肉な話である。
「25時」という小説があった。20代のときに読んだきりだから詳しいことは忘れてしまったが、ゲルマン民族の体系、優秀性を作り出す研究をしている人物がいた。
心理学の講義で、こんな話を聞いたことがある。日本の話である。敵城を落とした武将が捕虜とした中に乳飲み子がいた。報復を恐れて、遺児は殺すのが決まりだった。ところが彼の后には同じぐらいの子どもがいた。彼女のたっての頼みで、その幼子は一命を取り留めた。ただし条件がつけられた。一命は助け、育てるが人間らしい感情を育てることを禁じられたのである。最低限必要なこと以外、人間との接触はなく、食事のときも給仕する者は仮面をかぶって接する。その子は人間として感情豊に育てられなかった。結果、その子は狂ってしまったという話であった。
こういったいろいろなことを思い出させてくれた。と、同時にまだまだ論理的に考えている。
ところでこんなお話を思い出した。
ある町の近くにMONSTERが住み、人々を苦しめていた。そこで市長が「MONSTERを退治した者をこの町の市長にする」というお触れを出した。ある若者がこれに挑戦。ついにはMONSTEを倒すが、MONSTERも強かったので、若者は重傷を負って倒れてしまうが、若い娘に助けられる。MONSTERが倒されたことを知った市長は、MONSTERを倒したのは私だと人々の前で言いふらす。人々は喝采して市長を賞賛する。娘が「MONSTERを倒したのは市長ではない。あの若者だ」と言っても人々は娘の言葉を信じるものはいない。若い二人は、こんどは人々の心の中に住み着いてしまったMONSTERを追い出すこと努力をすることになった、というお話。
ついでに古本屋で一冊100円で遠藤周作の「死海のほとり」を買ってきて、読み始めた。