朝日新聞の社説が京都の景観を守る条例を取り上げていた。
条例によって眺望を守ると指定された地点では新しい建物やデザインが規制される。市街地の建造物の高さを、今まで45mだったところを31mに低くするのだ。31mだってかなり高い。
なんてったって、京都だもんね、町並み保存はしてもらいたいよ。私も京都は大好きだ。
かつて三条町の町屋がマンション攻勢で失われてしまう、と町ぐるみで反対運動に乗り出したのをテレビで見た。さっそく現場へ行ってみた。ほとんどが2階建ての町屋で、手仕事関係の工場が立ち並んでいた。京都の、人々が暮らしている、いい雰囲気の町並みだった。しかし、もうそこに高い真四角のマンションが建っていた。さらに工事も進んでいた。町内の細い通りには「マンション反対」の旗が、ずらっと並んでいた。数えると80本余り立っていた。みると2町の連合会が反対運動に乗り出しているようだった。住んでいる人たちには住環境破壊は切実な問題だ。
近くには市の文化財保存として「川崎邸」という瀟洒なお屋敷が公開されていた。でもその屋敷の門に立つと、門の向こうに四角い建物が威圧感を持ってにらんでいた。なんてこっちゃ。文化財もあったものじゃない。素敵なお屋敷は町の雰囲気、借景もあってこそ生きるのに、これじゃ~形無しだよ。と怒って帰ってきた。古都保存法が働かないのか、と京都の条例を調べてみたが、全体としてのまちづくりの条例はなく、ほとんど一般住宅の町には町並み保護はかかっていなかった。行政はなにしているんだ。怠慢もいいところだ。京都は他所とは違うんだぞ、とまたまた怒った。
あれから10年余、遅きにしっしたと言えないことはない、しかし、遅くとも規制が出来たことは結構なことだ。100年計画で古くなった建物を取り壊した後は、31mに規制していくのだという。長期計画で、京都を京都らしくつくってほしいね。なんてったって、京都は一朝一夕に出来た都じゃない。やはり他にはない京都の魅力が、よそ者を惹きつけているのだから。