農協から誕生日プレゼントに鉢植えの白いアゼリアの花と化粧石けんの詰め合わせを貰った。毎年のプレゼントである。知らなかったと見え、Papasanが「ボクも農協に取引があるのに」という。「これは年金を農協で受け取っている人だけ」と私が笑って説明。化粧石けんはいつものように大阪でホームレスの介護をしている「おおぞら」に送ることにした。
「おおぞら通信」が届いている。表はセイフティネットの整備を訴えている。たしかに、そのとおりだと思う。リストラ、不安定雇用、倒産、スキル不足などなどからホームレスにならざるを得ない例はたくさんある。
裏面におおぞら代表者の大川記代子さんの「社会復帰に担うことは何か」という記述がある。これをかいつまんで紹介しよう。
Nさんは59歳、野宿生活10年になる。働き者で、よく体を動かし、いつもにこにこしてている。
野宿生活者になってしまったのは、生まれつきの脳性小児麻痺だったことが関係している。どちらかといえば軽度の方なのだが、細かい作業が出来ないのと、言葉がスムーズでないことが雇用の機会に恵まれなかった。
小さいときから小児麻痺のためにいじめられてきたこともあって、弱いものに対してはとても優しい。アルミ缶を回収しないで暮らしている野宿者にもNさんは非難もせずに温かい手を差し伸べる。
苦労して集めた山ほどの空き缶を何時間もかけてつぶして袋につめ、自転車につけ、遠方の回収業者に持っていく途中、野宿仲間に盗られてしまったことも度々ある。それでもNさんは怒りもしないで、気を取り直して働いている。
そのNさんが野宿生活を抜け出す決心をした。そのためにNさんは貯金目標を定め、それから3年経って、Nさんは地域の人となった。彼は60歳近いし、障害もあるので、普通の雇用は絶対にのぞめない。社協の相談員が細かいサポートをしてくれた。もっとも健康チェックのために入院している間に、彼の自転車が盗まれてしまったので、おおぞらが代わりの自転車の手配や携帯電話の提供、デ支援していくこととなった。
社会復帰したNさんが希望している明確なプランがある。それは「大川さんたちがやっているボランティアを自分もするのだ」というのである。
大川さんによれば、地域に戻ることが出来た人たちで、まだ外に残されている人たちに思いを寄せ、何かを担おうとする人たちがいない、Nさんのような人はめずらしい、というのだ。実際、何をしたらいいのか具体的な方策が見つけられないのかもしれない。Nさんはさっそくフリーマーケットのボランティアに参加してくれた、という。
Nさんのような心の温かい人が一人でも増えることを願ってやまない。
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