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A KILLER MARKET

2008-01-02 22:54:57 | 日記・エッセイ・コラム

チャンネルを回していたら、BS1でインドの農薬被害をやっていた。終わるときタイトルを見たら「A Killer Market」で、2006年のデンマークのドキュメント作品だった。番組を探すと「インド綿花地帯からの告発 『農薬の危険』」というものだった。

インド綿花地帯の農薬の過剰散布と、それを使っている農民にガンが増えている。毎朝ガン患者を乗せた列車が病院のある町に向かって農民を運んでいく。人々はその列車をガン列車と呼んでいる。農民がガンになった原因は綿花畑に散布する農薬。農薬に無知な農民たちは農薬をたくさん散布すれば収穫も上がると思い込んでいる。マスクも手袋もしないで農薬をまきちらしている。農薬を販売しているのはデンマークの農薬製造会社だ。農薬は確実に虫も殺すが人間も殺す。

まさに「豊かさの裏側」そのもの。「豊かさの裏側」は1986年制作の私たちの作品だが、環境先進国のデンマークが発展途上国でこんなことをしていては国際信用にも傷かつく。

デンマーク工科大学のクヌーセン教授や環境団体が自国の企業の実態を取材し、告発している。インド現地で綿花を布にし、タオル、カーペット、シーツなどに加工し、染色を施しているのだが、その染色現場はさらにひどい。労働条件もひどいものだが、素生地を脱色するのに、塩酸や硝酸溶液の中に素足で入り、素手で糸を脱色している。さらにもうもうとあがる塩素ガスをマスクもしていないので、がっちり吸い込んでいる。脱色した糸を染めるのは化学染料。これだって素手で染めている。悪いことに廃液はそのまま川に捨てられている。その川の水は農業用水として使われている。農民たちは廃液の池が臭い、流れ出した廃液で健康被害が出ていると訴えるが、工場は安全だを繰り返すばかり。

取材者たちは、こういう地元の工場で生産された物資を購入しているマーケットを直撃し、こういう状態で生産されていることを見せる。一様に先進国のマーケットの責任者たちは、社の方針には明らかに違反している、それが事実であるかどうか確かめると約束はするが、ほとんどは違反していなかったという回答を出している。

インドのNGOはヨーロッパの消費者たちが実態を知って、こんな製品は買わないと言ってくれれば、現場も改善するだろうと願っている、しかし、天然染料で作られた、安全だが、コストが高いものはマーケット業者は買い付けない。

環境先進国の環境に留意していますという奇麗事は、単なる奇麗事に過ぎない。

EXPO70(大阪万博)でいち早く公害を取り上げたのは北欧だった。公害という言葉は合言葉のように世界に広まっていったのだ。う~ん、びっくりした。ヨーロッパのアパレルメーカーがバングラデシュで低賃金で働かせている実態は知っていたが、こんなことがまかり通っていたとは。人間の健康、尊厳にかかわる問題は国際機関が関与して解決して行かないといけない。元日から、ガツンと一発食らった感じだ。

コメント
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