粉寒天が品質の良いものだとは思っていなかったが、水分補給だから品質はとやかく言わない、と買ってきてもらっていた。とはいえ、買ってきてもらうと、メーカ-や表示はちゃんと見ている。
初めの一つは原材料は天草(テングサ)、オゴノリとなっていた。へ~、オゴノリなんか使っているんだ。オゴノリにも寒天成分がある。オゴノリは刺身のツマについている、あの緑の海草のことである。ここらへんでは、「ウゴ」と呼んでいる。もっともあの緑は熱処理してあるからだ。熱処理しない生のオゴノリを食べて、中毒を起こした例もある。
海育ちの私は、子どもの頃、海にもぐってテングサをとっていた。テングサは赤褐色の海草で、水をかけ、日光に干すと脱色して、白っぽくなる。これを煮溶かして作るのがところてん。よく母親が作ってくれた。洗って、煮溶かして、濾して、と結構手間がかかっていたが、腰のある、磯の香りのするところてんは好物だった。
このところてんを凍らせて、乾燥させたのが寒天。同じく子どもの頃、海の産物のところてんを、寒い信州などで、凍らせ、乾燥させて寒天をつくるのだと教わった。ついでにエピソードとして、京都でさる大名が食べ残したところてんを外に出しておいたところ凍ってしまい、それを再び溶かして固めると、ところてんとは違った成分になった。それが寒天のそもそもの始まりだとも。
さて、次の粉寒天の表示をみると、原産国インドネシアと書いてある。えっ、インドネシアで天草とれるんだ~。で、寒天を調べると、東南アジア諸国からの輸入も多い。遠い所ではポルトガルからも来ているようだ。あちこち拾い読みすると、日本ではどこでも天草はとれるが、太平洋岸のものの方が品質が良いとあった。
ところてんと言えば、伊豆だよね。いまはどうか知らないが、以前、海岸線を走ると、道路わきにテングサがたくさん干してあった。当たり前の光景だった。ここ真鶴でも、囲いの中でテングサに水をかけ、干して脱色していたのを見ていた。
寒天の内容を探すと、次のような説明を見つけた。
http://tengusa.shop-pro.jp/?tid=4&mode=f3
そこで、伊豆のテングサを使って寒天を作っているメーカーを見つけ、糸寒天、粉寒天をごっそり取り寄せた。papasan曰く「また酔狂が始まりましたね」
さっそく、粉寒天を使ってみた。初めは表示通り、500ccの湯に4gの粉寒天を入れてかき混ぜながら3分煮た。濾し網に通して型に流し、冷蔵庫で冷やし、いつものように黒密をかけて食べてみた。うん、美味しい。いままでのとは、味が違う。酔狂結構!と喜んでいる。
糸寒天の方が品質はいいみたいだ。和菓子の材料に使われているのも糸だそう。いろいろためしてみなくっちゃ。
ほんとは、秋になったし、そろそろ寒天も御用済みにしてもいいんだけど。
糸寒天を使ってみた。6gの糸寒天を6時間強水に浸し、水切りをして500ccの湯で煮溶かした。固まった寒天は、粉寒天より、澄んでいて、味も上品。美味しい。なるほど和菓子の材料にするには向いている。
次いで、夜寝る前に8gの糸寒天を水に浸しておいて、翌朝、600ccの湯で煮溶かした。この分量でもいいかな。今夜、10gを浸してみよう。水は600ccにするか700ccにするか、考え中。
寒天を使った和菓子はいろいろあるが、淡雪かんにしろ、黄身ふくりんにしろ、錦玉羹などの類はあまり好きではない。せいぜい水ようかんぐらいだ。昔は錦玉羹の液をうすく流して固め、型で抜いて乾燥させ、グラニュー糖をふったりして、かわいいお抹茶用の菓子をつくっていた。が、これとて好きではなかった。
なんかいいものないかな?