歯医者の予約は9時半だったので、抜歯されなかったら、MOA美術館で茶道具展をやっているから見て来ようと、出かけた。幸い抜歯されなかったので、MOAに行った。いつものように三階からエレベーターで二階におり、チケットを買った。
まずは人間国宝三人展を見た。紬織の佐々木苑子、蒔絵の室瀬和美、竹工芸の藤沢昇の三氏の作品展だ。どれも、さすが見事な作品。感じ入っている。もちろん基本的な工程はどれも知っている。
ロビーで佐々木苑子さんの仕事工程が放映されていた。33分、じっくりと見させてもらった。糸の染めは草木染め、緑は初めに糸をクチナシで染め、その上に藍をかける。藍をどのくらいかけるかは、長年の経験だという。デザインした柄の型紙をつくり、着尺にあわせて、配分を確かめ、作業に入る。もちろん絵柄のくくりも時間がかかる。いやはや、手がかかっている。手仕事とは本当に細やかな手がかかるものだ。さらに、その熟練の上に彼女の表現が生まれている。
彼女はクリスチャンなのかな、仕事に入る前には精神を集中させるため、教会に行くと言っていた。アトリエには、たぶん自分で描いたものだろうが、イエスの素敵なスケッチが飾ってあった。そう、作品にはその人の人生が込められているものだ。
茶道具展は、収蔵品を掛け軸、棗(茶入れ)、仕服、茶碗などが、だれそれが所有していたもの、などセットで飾られていた。それとは別に、茶碗や棗、水差しなどなどの茶道具も、わかりやすい説明つきで展示されていた。収蔵品なので、おなじみのものばかり、でもおなじみになるのは大事なことだ。だんだん見えてくるものがある。
じっくり見ていたので、くたびれてしまった。1階はさっさと見て、レストランに行った。少し休みたかったからもある。MOAの農産物はかなり信頼しているが、なににしよう、カレー類があったが、好みに合わないと厭なので、カツサンドと紅茶を頼んだ。papasanはカツカレー。カツサンド、カツの肉がおいしい。衣をはいで、肉だけを食べてみた。この肉、美味しい!ジューシーで甘みもある。「papasan、カツ、美味しいよ」と言いながら、papasanのカレーをひと匙もらって食べてみた。やはり好みではない。カツサンドでよかった。食事をしながら、今日の展示の印象は、人間国宝の3人の作品が圧巻だったねぇ、出会いだねぇ、と一つ一つ思い出しながら、話し合った。