香

外に出ると、ふっといい香りがした。うんん、ほのかだけどこの香り。急いで金木犀を見上げ、花のありかを探した。まだ咲いているようには見えなかったが、目を凝らすと、膨らんだ蕾をいくつか見つけた。おそらく、どこか葉陰で花が咲いているのだろう。そんな季節になったのだなぁ。季節は巡るだね。この金木犀は気の毒だが、いい立地条件ではない。植えたときは日あたりはよかったのだが、今や集合住宅の陰になり、柿の木に押され、花をつけてくれるだけでもありがたい存在なのだ。とはいえ、移植するには大きすぎる。まぁ私が生きている間はほのかでも香っておくれ。

この間から色づいていたハゼの葉が散り始めた。そして実った実が現れた。すこし黒くなっているから熟れて来ているのだろう。ハゼが熟すと、野鳥たちが集まって来る。最近はツグミやアカハラが来なくて残念なのだが、今年は来てくれるだろうか。前の庭の方にはツグミも来ているようだ。去年は飛ぶ姿は見た。
そうだな、冬鳥、もう帰って来はじめたと思うんだが、モズの高鳴きも聞いていない。裏の餌箱にはスズメの姿もここ数日見ていない。