安倍晋三の安保法制と改憲意思に忠実であるなら、自公は丸山穂高の「戦争発言」譴責理由に憲法の平和主義を掲げる資格なし

2019-05-27 11:14:27 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 この記事とは無関係だが、米大統領トランプが西暦2019年5月25日午後5時過ぎ、大統領専用機で羽田空港に到着、国賓として来日した。大統領専用機の着陸時には国内線第2ターミナルに500人超が人垣を作り、頭上に掲げたスマートフォンなどで撮影したという。例えその500人が500人とも大統領専用機を撮そうとした航空ファンであったとしても、機体の主がトランプである以上、トランプを歓迎したことになる。歓迎は政策の支持に繋がる。

 トランプの政策を歓迎せずに大統領専用機を撮影できるとしたら、信念がないことになるし、トランプの政策など考えたこともないままに撮影だけに拘ったとしたら、日米間の政治の密接な関わり合いに無関心と言うことになって、例え憲法で選挙の1票を保障されていても、その1票の信用性・価値を損なうことになる。
 
 大統領専用車が目的地に向けて走行する先々の沿道に集まって見送った日本人、大相撲観戦時、特別席に着席したトランプを立ち上がってスマホで撮影した大勢の観客にしても、殆がトランプの地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱、イラン核合意からの離脱、イスラエルのエルサレム首都認定、対移民非寛容政策等々の政策と、気に入らない女性を「太った豚」、「不快な生き物」などと呼称する女性蔑視の人間性等々を、それが知らないことであっても、歓迎したことになり、支持したことになる。

 国家等の何らかの組織に縛られていて、トランプの政策を支持していなくても、組織の歓迎に従わなければならない制約下での同調行為ではなく、トランプを上記各場所で歓迎した日本国民の多くは組織に縛られていたわけではなく、主体的行為として自律的に歓迎していることになる以上、その歓迎にはトランプの政策に対する支持が含まれることになる。当然、どのような形での歓迎であろうと、トランプの政策を支持したことになるのだと自覚していなければならない。但し自覚できる人間が何人いるかである。オレは、あるいは私はトランプを見たと自慢し、そのことを勲章として終える人間が多いに違いない。

 2019年5月11日の夜、日本維新の会の衆議院議員丸山穂高が北方四島の「ビザなし交流」の訪問団に参加し、国後島の宿泊施設で酒を飲み、酔った状態で訪問団団長に「戦争で島を取り返すことには賛成ですか、反対ですか」などと質問、いわば"北方四島は戦争で取り返すべき"とする自らの主張・考えをぶっつけた。自らの主張・考えでなかったなら、このような言葉は口を突いて出てくることはない。

 この発言に対して野党からは議員辞職を求める声が上がり、与党からは不適切発言だ、政府の立ち場とは異るとの批判は起きたが、出処進退は議員自らが決めるべきだとして議員辞職には反対の姿勢を示した。

 要するに不適切発言で議員辞職が基準になった場合、失言・不適切発言に事欠かない与党としては議員辞職続出ということになって、自らの首を絞める逆作用が働くことになるからだろう。

 足元の日本維新の会は代表の松井一郎が丸山穂高を除名処分にしただけではなく、5月15日、東京都内の日本記者クラブで会見、「国会で辞職勧告になるだろうし、勿論、我々も賛成だ。本人が事の重大さに早く気付き、これからの人生のためにも早急に潔く身を処すべきだ」(時事ドットコム)と自分から議員辞職することを求めたという。

 但し松井一郎は2日前の5月13日には、「前後の脈絡を精査しないといけないが、戦争で取り返すような考えは党として一切ない。武力での解決は僕にはない。言論の自由だが、武力で領土を取り返す考え方は一切持っていない」と、「戦争発言」そのものに関しては言論の自由認定したといったツイッターが紹介されることになった。

 憲法で基本的人権の一つとして言論の自由が保障されていても、無制限の保障ではなく、言論の質に従う条件付き保障に過ぎない。例えば、〈人種、出身国、民族、宗教、性的指向、性別、容姿、健康(障害)といった、自分から主体的に変えることが困難な事柄に基づいて属する個人または集団に対して攻撃、脅迫、侮辱するヘイトスピーチ(=憎悪表現)〉(Wikipedia)は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」に於ける罰則の対象とされ、言論の自由の範疇には入らない。

 松井一郎は「言論の自由」とした自らの発言の失態に気づいて、失態を帳消しするために除名処分にとどまらない議員辞職を求めることになった可能性は疑い得ない。

 丸山穂高は野党が辞職勧告決議案の衆院提出を検討するに及んで、5月15日夕に自らのツイッターに、西暦2019年5月15日付「毎日新聞」によると、「憲政史上例を見ない、言論府が自らの首を絞める辞職勧告決議案かと。提出され審議されるなら、こちらも相応の反論や弁明を行います。野党側の感情論で議案が出され、普段は冷静な与党まで含めて審議へ進むなら、まさにこのままではこの国の言論の自由が危ぶまれる話でもある」などと投稿したという。

 丸山穂高は東京大学経済学部卒業、経済産業省入省の逸材(?)だそうだが、松井一郎と同様、言論の質を問題外として「言論の自由」に触れている。"北方四島は戦争で取り返すべき"とする自らの主張・考えを披露する以上、どのような戦術・戦略を以ってして北方四島は奪還可能か、人的・物的代償(いわば犠牲)の程度、国際政治への影響(このことは国際的な日本の立ち場に関係してくることになる)等々を具体的に立案・想定して広く公表、賛否を求めなければならない問題であって、例え反対や批判が大勢を占めたとしても、そうすることによって初めて言論の質をそれなりに獲得し得るが、そういったことを一切せずに極く人数の限られた場でイエスかノーの結論のみを性急に求めて、いわば言論の質もヘッタクレもなく、それを以って「言論の自由」だと言う。逸材に反した程度の低さは如何ともし難い。

 立憲民主党など野党6党派は5月17日に丸山穂高衆院議員に対する辞職勧告決議案を衆院に共同提出。自公の両党は5月21日午前、「譴責決議案」を衆院に共同提出。丸山穂高は5月24日に衆院議院運営委員会理事会に事情聴取の出席を求められたが、病気のため2カ月間の休養が必要だとする医師の診断書を提出・欠席で対抗。双方の"戦争"はなかなか見応えのある攻防を見せている。

 ここで注意しなければならないのは自公の譴責決議案が丸山穂高の「戦争発言」を憲法の平和主義の観点から問題視していることである。

 「議員丸山穂高君譴責決議(案)」(毎日新聞2019年5月21日 12時01分)

 去る五月十一日の国後島訪問中の議員丸山穂高君の平和主義に反する発言は、我が国の国益を大きく損ない、本院の権威と品位を失墜させるもので、到底看過できないものである。

 よって本院は、ここに丸山君を譴責し、猛省を促すものである。

 右決議する。

<理由>

 衆議院議員丸山穂高君は、四島在住ロシア人と日本国民との相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決を含む平和条約締結問題の解決に寄与することを目的とする「令和元年度第一回北方四島交流訪問事業」、いわゆるビザなし交流事業に参加し、国後島を訪問した際、五月十一日夜に、ホームビジット先のロシア人島民宅及び宿舎である「友好の家」において飲酒した結果泥酔し、宿舎内で大声を出し他団員と口論をする等の迷惑行為を行い、同行記者団と懇談中の元島民の訪問団長に対し、「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」などの信じ難い暴言を吐いたと報道され、本人も事実関係を認めている。かかる常軌を逸した言動は、元島民の方々のお気持ちを傷つけただけでなく、特に、憲法の平和主義をおよそ理解していない戦争発言は、国民の悲願である北方領土返還に向けた交渉に多大な影響を及ぼし、我が国の国益を大きく損なうものと言わざるを得ない。

 本件事業は、内閣府交付金に基づく補助金を受けた北方四島交流北海道推進委員会の費用負担により実施されているものであり、本院から公式に派遣したものではないにせよ、丸山君は、沖縄及び北方問題特別委員会の委員であるが故に、優先的に参加することができたものであり、他の団員からは、本院を代表して参加したものと受け止められており、また、その後の報道により、我が国憲法の基本的原則である平和主義の認識を欠く議員の存在を国内外に知らしめ、衝撃を与えた事実は否めず、本院の権威と品位を著しく貶(おとし)める結果となったと断じざるを得ない。

 丸山君の発言は、極めて不穏当なものであり、擁護する余地は全くないものであるが、他方で、議員の身分に関わることは慎重に取り扱う必要があり、憲法上、本院が議員の身分を失わせることができるのは、懲罰による除名及び資格争訟裁判の場合に限られ、いずれも出席議員の三分の二以上の賛成を必要としているのに対し、議員辞職勧告決議は出席議員の過半数の賛成により議決されるもので、理論上は多数会派の意思で議決できるものであり、その観点からも慎重に取り扱われてきた経緯があり、これまで、明白かつ重大な違法行為に当たる場合にのみ議員辞職勧告決議を行ってきており、問題発言を理由に議員辞職勧告決議を行ったことはない。また、除名を含む懲罰は、憲法上、院内の秩序をみだした場合に限られており、本院からの公式派遣でもない本件は直ちには懲罰事案には該当しない。そうであるからと言って、議員の発言が自由に保障されている訳ではなく、仮に、院内での発言であれば、院外で責任を問われないという免責特権が与えられている代わりに、不穏当発言の場合は議院において懲罰を課すことはあり得るものであり、実際に、不穏当発言で懲罰を課せられた事例もある。もとより、丸山君の発言は、明らかに一線を越えたものであり、懲罰の対象とならないからと言って、決して許されるものではない。

 議員の出処進退は自ら決すべきことが基本であり、議員辞職するか否かは、最終的には自ら判断することではあるが、丸山君には、有権者の負託を受け、全国民の代表として議員となっている重みを十分に自覚し、常に、言動をよくわきまえ、適切な判断を下すよう、猛省を促したい。

 以上が、本決議案を提出する理由である。 (文飾は当方)

 日本国憲法に於ける平和主義は「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」の3大要件によって成り立っている。要するに丸山穂高に対する譴責決議を衆議院に提出した自公与党は日本国憲法の平和主義を理解し、受け入れていることになる。理解だけで、受け入れていなければ、平和主義を楯にした丸山穂高の「戦争発言」譴責は不可能となる。

 安倍晋三は日本国憲法第2章「戦争の放棄」第1項の「戦争の放棄」と第2項の「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を残したまま、第3項を設けて、そこに自衛隊の根拠規定を明記する改憲意思をかねがね示している。例え第1項と第2項を残そうとも、自衛隊の活動を専守防衛のみならず、憲法解釈で容認した集団的自衛権の行使に基づいて海外にまで広げる「新安全保障法制」を2015年9月19日に成立させている。

 当然、9条1項と2項に平和主義の3大要件たる「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」を残したとしても、一方で集団的自衛権の行使を容認した自衛隊の存在を9条3項に明記することは1・2項と3項との間に矛盾をつくり出すことになるが、この矛盾を無理やり抑えつけて、矛盾そのものを遠ざけ、限りなく影の薄いものとするためには9条3項を前面に出して、9条に於ける主たる項目とする必要性が生じる。安倍晋三はそのうち、そのような意思を働かすことになるだろう。でなければ、9条1項・2項に邪魔されて、自衛隊は集団的自衛権の行使に基づいた海外活動など不可能となり、折角成立させた安保法制は有名無実化することになる。

 一方、自公与党が丸山穂高の「戦争発言」の譴責理由に憲法の平和主義を掲げることも、安倍晋三の意思通りに憲法が改正されるかどうかは不明で、現時点で改正前であっても、安倍晋三の改正意思そのものと新安保法制が既に可能としている集団的自衛権行使をウソににする矛盾を描くことになる。

 要するに自公は与党として与党親分である安倍晋三の新安保法制の精神と改憲意思に忠実でなければならないのであって、その線に添う義務を有する以上、丸山穂高の「戦争発言」の譴責理由に日本憲法の平和主義を掲げる資格はないということである。

 「我々与党は自衛隊の必要最小限度の武力行使を以ってする止むを得ない場合の戦争は賛成しているが、北方四島に限って戦争で取り返すという考えは過激過ぎて、容認できない。よって本院は、ここに丸山君を譴責し、猛省を促すものである」ぐらいにとどめておくべきだったろう。

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安倍晋三の麻生派のパーティー「民主党政権悪夢」発言は「退位礼正殿の儀」での対天皇・皇后大失態帳消しの強がりか

2019-05-20 12:05:36 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

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断念させる可能性が生じる




 人間は他人に知れる、何か取り返しのつかない恥をかくことになる大失態をやらかし、それがある種のトラウマとなって自らの記憶に残したとき、人間の常としてトラウマとなったその大失態を帳消しにし、なかった恥にしたい衝動を抱えることになる。

 このような心理劇に関して謙虚な人間は恥をかいたことを認め、素直な反省によって帳消しを図るが、不遜な人間は大失態とは無関係の自慢できる何かを誇示して、その自慢行為に比べたら大失態など取るに足らないことだと思うことによって帳消しを図ることが往々にしてある。

 大失態を大失態だと受け止めずに反省を省いて自慢行為で帳消しを図るのは単に強がリを働いているだけのことになる。強がリを以ってしても、大失態は大失態として残ることになって、自慢行為に代えることも、帳消しすることもできないからなのは断るまでもない。大失態は素直に認める以外に手はないということである。
 
 安倍晋三の大失態はマスコミ報道で知った。天皇・皇后退位を広く国民に知らせる「退位礼正殿の儀」が西暦2019年4月30日、皇居宮殿・松の間で行われ、安倍晋三が国民を代表して天皇・皇后に対する言葉――「国民代表の辞」(首相官邸サイト/2019年4月30日)――を述べた。

 そこで安倍晋三は有り得べからざる大失態を演じた。

 首相官邸サイトの安倍晋三の天皇・皇后に向けた最後の発言は、「天皇皇后両陛下には、末永くお健(すこ)やかであらせられますことを願ってやみません。

 ここに、天皇皇后両陛下に心からの感謝を申し上げ、皇室の一層の御繁栄をお祈り申し上げます」となっている。

 だが、西暦2019年5月15日付、ジャーナリスト田岡俊次名の「AERA dot.」記事は、〈「已む」読めなかった? 安倍首相が歴史的儀式で驚きの大失言〉と題して、その大失態を伝えている

 〈4月30日、「退位礼正殿の儀」で、安倍晋三首相はおそらく歴史に残る大失言をしてしまった。それが起きたのは「国民代表の辞」のほぼ末尾だ。

「天皇、皇后両陛下には末永くお健やかであらせられますことを願っていません」

 これでは、国民の大多数の願いとは全く逆だ。

 文書として公表された「国民代表の辞」には当然、「願ってやみません」とある。なぜこんな間違いが起きたのか。動画で確認すると、安倍氏は懐から出した文書を読み上げたのだが、「あられますことを願って」まで進んだところで一瞬口ごもり、その後で「あらせられますことを願っていません」と発言していることがわかる。

「願ってやまない」の「やむ」は「已む」と書く。「己」や、十二支の「巳」と紛らわしい字ではある。安倍氏が手にした原稿では教養のある官僚が漢字で書いていたため、なんと読むかためらって、「願っていません」と言ってしまったのではないかとも思われる。

 安倍氏は2017年1月24日、参議院本会議で蓮舫議員に対し「訂正でんでんという指摘は全く当たりません」と答弁した。これは「云々」を、「伝々」と誤って覚えていたようだ。もし「国民代表の辞」の原稿にひらがなで「願ってやみません」と書いてあったのに「願っていません」と言ったのなら、安倍氏は「願ってやまない」という言葉を知らないほど語彙が乏しいのか、意図的に変えたのか。どちらも少々考えにくい。

 当意即妙が求められる国会答弁なら「でんでん」も笑い話で済むが、今回の舞台は憲政史上初の儀式だ。その重要な場で国民を代表し、天皇、皇后両陛下に直接あいさつをするのに、下読みも十分にしなかったなら、怠慢の極み。皇室に対する敬意を欠いていると言われても仕方が無いだろう。〉云々。

 記事は間違えた箇所を、〈「あられますことを願って」まで進んだところで一瞬口ごもり、その後で「あらせられますことを願っていません」と発言している〉と解説しているが、実際にどのように読み上げたのか、 Youtube 掲載の首相官邸動画「退位礼正殿の儀 国民代表の辞」から間違い箇所を採録してみた。

 安倍晋三「天皇皇后両陛下には、末永くお健(すこ)やかであらせられますことを、願って、(ほんの少しの間)あらせられますことを願って、(微妙に声を落として)いません。

 ここに、天皇皇后両陛下に心からの感謝を申し上げ、皇室の一層の御繁栄をお祈り申し上げます」

 「あらせられますことを願って」と繰返したのは、「已みません」の「已」が読めずに、そこでつっかえてしまったからだろう。何と読むのか背後に控えている参列者に聞くことも、ましてや天皇に聞くこともできずに何気なさを装いつつ、ゴマカシの強行突破を図った。そのために微妙に声を落とすことになった。

 上記記事は、〈天皇、皇后両陛下に直接あいさつをするのに、下読みも十分にしなかったなら、怠慢の極み。皇室に対する敬意を欠いていると言われても仕方が無いだろう。〉と批判しているが、安倍晋三が皇室に対する敬意を欠いているということはないはずだ。何しろコチコチの戦前型天皇主義者だからだ。

 だが、国民を代表して天皇・皇后に言葉を述べる以上、両者に失礼にならないように一応は目を通す下読みぐらいはしておくべきだったが、それさえしなかった。確かに記事が指摘するように「怠慢の極み」だが、戦前型天皇主義者でありながら、失礼を避ける配慮を欠くことになったのは上から目線の皇室に対する敬意だからだろう。

 歴史的に世俗権力者は天皇を上に位置させながら、その権威を利用して国家及び国民を統治する二重権力構造を延々と引き継いできた。いわば世俗権力者たちは天皇の地位と権威を自分たちの権力に変え、行使してきた。表向きは天皇に対して恭しいまでの敬意を持って仕えながら、その実、天皇を思い通りに巧みに操ってきた。安倍晋三が戦前の日本国家を理想の国家像とし、戦前回帰主義者であることを考えると、二重権力構造を密かに引き継ぐ上から目線の皇室に対する敬意だとしても不思議はない。

 混じり物の一つとしてない安倍晋三の皇室に対する敬意であったなら、原稿に目を通すぐらいのことはしただろう。読むことができない字があるかどうかを確かめるだけではなく、つっかえずに読んだり、不必要な箇所に区切りを入れない用心のためにも一通りは下読みを試みるだけの敬意を有していたはずだ。

 だが、そういった配慮はなかった。上から目線の皇室に対する敬意だからこそできた「怠慢の極み」であろう。

 記事は安倍晋三の大失態に対する世の中の反響について触れている。
 
 〈テレビや翌日の新聞は、公表された原稿の内容を伝え、言い誤りはほとんど報じなかった。記者が聞き耳をたてず、発表文書に頼る風潮を示しているように感じられる。

 私が5月3日に動画サイト「デモクラ・テレビ」の討論番組で「あきれた失言」と話すと、他の出演者は「それは初耳」と驚いていた。その後、右翼団体「一水会」が6日ごろからインターネットで批判を始めるなど、言い間違いへの非難は徐々に広がっている。〉

 ジャーナリスト田岡俊次が5月3日出演した動画サイトで「あきれた失言」と披露すると、周囲は「それは初耳」と驚いていた。その後、5月6日頃からインターネット上で言い間違いへの非難が徐々に広がっていった。

 もし安倍晋三が大失態をやらかして恥をかいたことを少しも気にしていなかったとしたら、感情のない人間扱いされる。国会答弁で痛いところを突かれると、声を荒げたり、野次を飛ばしたりするから、人間としての感情は十分に持っているはずだ。

 当然、人間としての感情を一応は持ち合わせている安倍晋三が恥をかくことになったこの大失態を何かしらの自慢行為で帳消ししたい心理が働いたとしても、当然の人間作用と言うことができ、帳消しを図っているのではないかと窺わせる出来事をマスコミ記事で知ることになった。

 「NHK NEWS WEB」(2019年5月9日 21時07分)

 西暦2019年5月9日 夜に東京都内で開かれた自民党二階派のパーティー。

 安倍晋三「統一地方選挙と参議院選挙が重なると、なかなか自民党は大変であり、12年前の参議院選挙は大敗した。あれからねじれ国会になって政治が安定性を失い、民主党政権が誕生して混迷を極めたのは事実だろう。

 再びあの混乱を起こすことがないよう、あの悪夢が再び舞い戻ってくることがないよう、しっかり勝ち抜いて、政治の安定のもとに誇りある日本をつくっていきたい」

 民主党政権のことを悪夢政権とレッテルを貼る以上、安倍政権は悪夢とは正反対の吉夢政権とレッテルを貼ることができて、そのレッテルは盤石の支持に裏打ちされることになるのだから、悪夢言説から卒業していいはずだ。だが、今以って悪夢言説から卒業できずにいる。自分の政権に自信がないからに他ならない。

 安倍晋三は西暦2019年5月14日夜の自民党麻生派のパーティーでも、続けて悪夢言説を放っている。「毎日新聞」(2019年5月14日 20時05分) 

 安倍晋三「(第1次内閣で臨んだ2007年参院選について)私の責任で惨敗をしてしまった。政治は安定を失い、経済は混迷を深め、我々は政権を失い、悪夢のような民主党政権が誕生した。二度とこのような状況を招いてはならない」

 現在の安倍政権を悪夢の民主党政権の対局に置いているのだから、もっと正々堂々としていていいはずだが、翻って自政権の正当性を訴えるとき、悪夢とレッテルを貼った民主党政権との比較に置く屈折した比較の方法を取っている。正々堂々といかないのは森友疑惑だ、加計疑惑だと、後ろ暗いところを抱えているからでもあり、直近の西暦2019年4月30日に「退位礼正殿の儀」に於ける「国民代表の辞」で恥をかく大失態をやらかして、その帳消しできない大失態を帳消ししたい心理が働くことになって、帳消しできないゆえに何かの自慢行為で強がる以外にゴマカシがきかなくなるということであるはずだ

 その手っ取り早い自慢行為が「悪夢の民主党政権」と比較した自政権の正当性である。

 勿論、本人は否定するだろう。両記事が触れているように「夏の参院選に向けた引き締めだ」とカモフラージュするに違いない。だが、4月30日に恥をかくことになった大失態をやらかし、ジャーナリスト田岡俊次の5月3日の動画サイトでの大失態の指摘によって、3日後の5月6日頃からインターネット上で大失態への非難が徐々に広がり、その3日後の自民党二階派のパーティーが開かれた5月9日頃はネット上で拡散の勢いが増し、その5日後の自民党麻生派のパーティーが開かれた5月14日頃は拡散はかなりの盛り上がりを見せることになっていたはずだ。

 安倍晋三が大恥をかいた手前、ネット上の拡散に無関心ではいられなかっただろう。その件について例えネットを検索しなかったとしても、拡散すれば拡散する程、安倍晋三の大失態の恥も拡散するのだから、少なくともネット上で拡散している状況は否応もなしに頭に思い浮かんでいたはずだ。当然、帳消しを図っているのではないかと窺わせる「悪夢の民主党政権」の強がりとの解釈も、人間心理上、決して否定はできない。

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安倍晋三の拉致解決は念頭にない、ポーズだけで解決の意気込みを振り撒いているポーズ番長 でなければ、よっぽどの外交バカ

2019-05-13 12:57:39 | 政治


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安倍自民党を大敗に追いつめれば

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 西暦2019年2月27日・28日に開催予定のベトナムの首都ハノイでの第2回目米朝首脳会談が拉致・核・ミサイル問題の解決に繋がることを日本政府は期待した。北朝鮮は非核化は段階的に進めるべきで、一方的な非核化はしないと主張、核施設の廃棄の条件としてアメリカに経済制裁の緩和や体制保証につながる朝鮮戦争の平和協定締結に向けた協議を求めていたという。
 
 こういったことが北朝鮮がアメリカに提示した条件だった。一方的な非核化の否定、非核化に向けた段階的な経済制裁の解除、休戦、あるいは停戦状態にある朝鮮戦争の終結宣言。

 一方の当事国アメリカのトランプは西暦2018年12月14日に自身のツイッターに「我々は急いでいない」と書き込み、第2回目の米朝首脳会談を控えた西暦2019年2月19日にホワイトハウスで記者団に対して次のように発言したと言う。「ロイター」(2019年2月20日 06:33)

 トランプ「北朝鮮は核実験を行っていない。核実験がない限り急がない。私はただ北朝鮮の最終的な非核化を見たいだけだ」

 但しトランプは同時に北朝鮮への制裁は当面継続すると発言、記事は、〈トランプ政権は北朝鮮に即時非核化を求めてきた強硬姿勢から態度をやや軟化させている。〉と解説している。

 要するに「即時非核化」という強硬な条件提示から、核実験がない限り非核化まで一定の期間を設けるとする、言ってみれば執行猶予の条件提示へと変化した。北朝鮮側からしたら、自分たちが提示した条件に対するアメリカ側の条件提示の変化に一部制裁解除があるのではないかと期待したとしても無理はないはずである。この期待はトランプが外交的な成果を優先して、安易に譲歩するではないかと懸念する声が出ていたことに対応しているはずだ。

 しかし米朝首脳会談の蓋を開けてみると、北朝鮮の期待通りには行かなかった。と言うよりも、期待は木っ端微塵に吹き飛ぶことになった。

 北朝鮮の非核化の進め方を巡る合意文書を交わすところにまで交渉は進展せず、実質的には交渉は決裂した。トランプは決裂の理由を西暦2019年2月28日、北朝鮮が制裁の全面解除を、いわば条件としたためだと主張。対して北朝鮮側は3月1日にニョンビョン(寧辺)にあるすべての核施設の廃棄と引き換えに国民生活に影響が及ぶ一部の制裁の解除を条件として提示しただけだと反論。

 後者の条件提示が事実としたら、その条件下での完全非核化のプロセスを求めることでトランプは自らの「核実験がない限り急がない」の言葉に合致させることができるし、首脳会談を打ち切る理由にもならないし、プロセスの内容次第で、何を以って一部制裁解除の内容とするかを話し合ったはずである。

 ところが西暦2019年3月30日付「NHK NEWS WEB」記事がロイター通信の報道としてトランプが次の非核化の条件を提示したと報道している。

 ▽核兵器と核物質のアメリカへの引き渡し
 ▽核開発計画の申告や査察の受け入れ
 ▽核開発に関連したあらゆる活動の中止
 ▽すべての核関連施設の撤去
 ▽核開発に関わる科学者や技術者の民間活動への移行

 完全非核化か、経済制裁全面解除かの当初の条件闘争に回帰したことになる。当然、アメリカ側のこの条件のすべてを金正恩が受け入れたなら、経済制裁は全面解除される。だが、会談は決裂した。金正恩側からしたら、完全非核化は呑むことのできない条件提示だったと考えるほかはない。

 日本政府はこの会談決裂を、「北朝鮮の非核化が実現しない状況で経済制裁を解除することはできないということを明確に示した」などと評価する声が上がったという。

 安倍晋三はと言うと、西暦2019年3月5日の参院予算委員会でトランプが首脳会談で日本人拉致問題を提起したこと評価したという。

 安倍晋三「米国がそこまで(拉致問題を)重視していると金委員長も理解しただろう。私は成果と考えている。次は私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と向き合わなければならないと決意をしている」(共同通信

 「私は成果と考えている」は拉致問題の提起を指しているはずである。トランプが制裁解除を一部でも応じるといった安易な妥協をしなかった首脳会談に関して「成果と考えている」なら、拉致問題は経済制裁という条件と深く関わっているゆえに拉致問題の提起を「成果」とすることは矛盾することになる。

 翻って拉致問題の提起のみを取り上げて「成果」とすることは視野狭窄に過ぎ、よっぽどの外交オンチと言わざるを得ない。

 なぜなら、金正恩にとってメインの交渉相手はトランプを措いてほかにはいないからだ。北朝鮮側の階的非核化の条件提示に対してアメリカ側の一部制裁の解除だろうが、段階的解除だろうが、全面的解除だろうが、どのような条件で応じるかの鍵は全てトランプが握っているのであり、拉致解決もトランプの鍵の開け方に応じることになるからだ。

 トランプが北朝鮮の段階的非核化の条件提示を拒否すると同時に如何なる制裁解除の条件提示も拒否した以上、日本だけの考えで制裁解除を発動、拉致解決に向き合おうことができるだろうか。要は日本は交渉相手として従の位置に置かれているに過ぎない。国連安全保障理事会の常任理事国である中国もロシアも、北朝鮮に対する制裁の一部解除を主張している。もしアメリカが一部解除に動いたなら、北朝鮮に対する安保理の制裁決議を動かすことができる。

 そうなれば、日本としても北朝鮮側の制裁に関する条件提示に一定程度のフリーハンドを持つことができて、そのフリーハンドを以ってして金正恩に対して拉致解決の誘い水とすることも可能となる。

 いわば日本側にとっても、北朝鮮側にとっても、拉致問題と制裁問題は密接に連動していて、切り離し不可能となっている。にも関わらず、西暦2019年3月5日付「産経ニュース」記事によると、安倍晋三は「北朝鮮に核兵器や生物・化学兵器を含む全ての大量破壊兵器の廃棄や、日本を射程に収める中距離や短距離を含むあらゆる射程のミサイルの廃棄を求めていく方針に変わりはない」と答弁、「拉致問題はまさに日本の問題だ。日本が主体的に取り組むことが重要で、次は私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と向き合わなければならないと決意をしている。一日も早い解決に向けてあらゆるチャンスは逃さないという基本方針で、解決に向けて全力を傾けていきたい」云々と、大量破壊兵器廃棄の条件提示を行った上で拉致解決のために金正恩と向き合いたいと条件提示している。要するに制裁解除よりも大量破壊兵器の廃棄の方が先だと条件提示し、なおかつ日朝首脳会談を所望したことになる。

 金正恩からしたら、自分に都合のよい条件だけを提示するなとカチンと来たはずだ。

 さらに西暦2019年5月3日、憲法記念日の「産経ニュース」のインタビューで、「先ずは現在の日朝間の相互不信の殻を打ち破るためには、私自身が金委員長と直接向き合う以外はない。ですから条件をつけずに金委員長と会い、率直に、また虚心坦懐に話し合ってみたいと考えています。金委員長が国家にとって何が最善かを柔軟、かつ戦略的に判断できる指導者であると期待しています」と発言したと言う。

 この「条件をつけずに」との発言の意味を安倍晋三は金正恩との会談は「拉致問題の解決に資する会談としなければならない」とかねがね条件提示していたことから、マスコミはこの条件提示の撤回の線で報道しているが、この撤回は金正恩側からしたら、どれ程の意味があるだろうか。

 そもそもからして安倍晋三は北朝鮮に対して「拉致問題の解決に資する会談」のみの条件提示を行っていたわけではない。「全ての核・弾道ミサイル計画の完全かつ検証可能な形で、かつ不可逆的な方法での廃棄」、当初は「対話と圧力」の条件提示だったが、「対話とは北朝鮮にとって我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と「対話のための対話の拒否」に転じ、「国連制裁決議の完全履行」等々を対北朝鮮政策の条件として提示していた。

 当然、安倍晋三の「条件をつけずに」は、これら提示した条件の撤回も含まなければならない。含んで初めて、金正恩にとって安倍晋三との会談に意味を持つことになる。だが、トランプが如何なる制裁解除にも応じなければ、安倍晋三も提示した条件の如何なる撤回も不可能となって、「条件をつけずに金委員長と会う」との条件提示は見せかけと化す。

 言葉ばかりで結果が伴わない政治家のことを産経新聞が「言うだけ番長」と造語したそうだが、政治問題を解決に向けて進める能力があるかのようなポーズを見せる点に関しては立派な安倍晋三は、さながらポーズ番長と言ったところである。ロシアとの北方四島帰属問題にしても、四島返還から二島返還の条件変更の提示にしても、それを以ってしてさも進展があるかのようにポーズだけは見せたが、ロシア側の「先ず日本側が第2次世界大戦の結果を認めよ」の条件提示を微動だにさせることができないでいる。

 いわば、進展があるかのような言動はポーズに過ぎなかった。

 安倍晋三は2019年5月9日の参議院内閣委員会で「前提条件をつけずに」の意味を西暦2019年5月9日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 安倍晋三「北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、次は私自身がキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長と向き合うという決意を従来から述べてきた。『条件を付けずに会談の実現を目指す』とは、それをより明確な形で述べたものだ。

 (朝鮮に対する制裁措置などの対応を変えるのか問われて)そういう方針ではない。朝鮮半島の非核化が進んでいないので、国連決議の厳格な履行を各国に求めているし、日本も行っている。あくまでも拉致問題を解決するうえで、努力として、私自身がキム委員長と話をしなければならないと申し上げている」

 安倍晋三は金正恩が決して受け入れることができない様々な条件提示を行いながら、金正恩と向き合う意思表示を行ってきた。北朝鮮への制裁に関わる「国連決議の厳格な履行」にしても、金正恩には受け入れることはできない条件提示の一つである。

 もしこの矛盾に気づかないとしたら、よっぽどの外交バカ、外交オンチとなる。このことは政治問題を解決に向けて進める能力があるかのようなポーズだけは立派なポーズ番長と対応することになる。

 もし矛盾に気づいていながら、金正恩との会談を願う意思表示なら、拉致解決は念頭にはないことになる。例え念頭にはなくても、そのことを隠すためにポーズだけで解決の意気込みを振り撒いているポーズ番長であることに変わりはない。

 官房長官の菅義偉も日本時間の西暦2019年5月11日にアメリカを訪問、ホワイトハウスでペンス副大統領と会談、核やミサイルの廃棄に向けて国連の安保理決議を完全に履行していくことと拉致問題の早期解決を目指し、引き続き、両国で緊密に連携していくことを確認したと西暦2019年5月11日付の「NHK NEWS WEB」記事が伝えていたが、拉致問題の早期解決と安保理決議の完全履行という相反する条件提示を同時併行させている。

 いわば安保理決議の完全履行を求めれば求める程、拉致の早期解決は遠のくという反比例関係にあることを無視している。反比例関係にあることの北朝鮮側の反応を西暦2019年5月10日付「asahi.com」が伝えている。

 2019年5月9日のスイス・ジュネーブでの国連人権理事会。北朝鮮の人権状況についての審査を行われ、日本は北朝鮮に対して拉致問題の早期解決に向けた具体的な行動を求めた。

 北朝鮮外務省担当者「2002年の日朝平壌宣言のもと、日本人拉致問題は我々の真摯な努力によって根本的かつ完全に解決済みだ」

 北朝鮮側にとっても、日本と同様に安保理決議の完全履行という条件提示と拉致問題の早期解決の条件提示が相反せず、一致させることができるなら、北朝鮮は「解決済み」といった剣もほろほろの態度は取らないだろう。喜々として安倍晋三との首脳会談に臨んで、拉致解決に努力するはずだ。

  にも関わらず、相反する条件提示のもと、拉致問題の早期解決を口にする。どこをどう見ても、拉致解決は念頭にないか、よっぽどの外交バカ、外交オンチか、そのいずれかの答しか見つけることができない。当然、安倍晋三がポーズだけで解決の意気込みを振り撒いているポーズ番長であることは否応もない次の答としなければならない。

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安倍晋三の新元号決定過程の隠蔽体質・秘密主義から見える、本命を「令和」とした、全てを自分で決定しようとした独断専行の賜物

2019-05-06 12:10:46 | 政治


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断念させる可能性が生じる


 マスコミ報道を纏めると、安倍政権が「元号に関する懇談会」を首相官邸4階特別応接室で開催してメンバーから新元号に関わる意見を聴取したのは西暦2019年4月1日午前9時を少し回った時間。その際、初めて6原案を示した。いわばメンバーは懇談会開催までは原案を知らされていなかった。

 このような経緯を取ったのは安倍政権が平成改元時に倣って採用しなかった案を公表しない方針を決めていたこと、同じように平成改元時に倣って、選定過程を記録した公文書を30年間は原則非公開とする方針を決めていたことによるということである。要するに非公表・非公開の方針を示したことによって情報の漏れを恐れる情報統制に走ることになった結果、懇談会メンバーには前以って原案が提示されないことになった。

 だが、30年前よりも情報公開がこれまで進んだ時代に、裏返すと、国民には何も知らせない公権力による情報秘匿、あるいは情報独占が悪と看做される時代に原案を隠すことと選定過程の記録を30年間も隠すことにどれ程の意味があるのだろう。情報公開よりも前例踏襲を優先させた。

 但し単なる前例踏襲からの情報の秘匿、あるいは情報の独占であるなら、その罪は前例踏襲主義にとどまるが、前例踏襲はタテマエで、ホンネが別のところにあったなら、その罪は看過できなくなる。

 懇談会開催の西暦2019年4月1日翌日の4月2日にはマスコミ各社が決定した「令和」以外の5案を「英弘」(えいこう)、「久化」(きゅうか)「広至」(こうし)、「万和」(ばんな)、「万保」(ばんぽう)だと公表している。マスコミは懇談会開催前から把握していて、懇談会終了を待って公表した可能性もある。

 懇談会開催当日に6案を知らせて、どれがふさわしいか検討を求める、この徹底した秘密主義のどこに意味があり、当日提示・聴取の各意見がどれ程の具体性を持ち得るのだろうか。

 既にリンク記事が削除されている2019年4月1日付「NHK NEWS WEB」記事が懇談会終了後に首相官邸から出てきたメンバー6人にインタビュ一して、6人それぞれの発言を伝えているが、その一つ。

 民放連会長大久保好男「事前に候補名について教えてもらっていたわけでもなく準備もできなかった。新元号の原案が入った封筒が配られ、それを開けてから説明が始まったという段取りだった。時間が限られており、候補名に対する感想のようなものを述べた。

 携帯電話は入室の前に『預かります』ということでお渡しし、封筒に入れて保管されていたと思う。終わった時点で返却されたが、部屋の中ではずっとテレビを見ながら待っていた。

 歴史的な一場面に立ち会う光栄と責任を感じながら、本当に国民の方々に広く使ってもらえる、受け入れられるような元号が決まればいいなという思いで発言をした。大役を終えて、無事にすばらしい新しい元号が決まったことで、いまはほっとしている」

 懇談会開催時間は、「新元号は令和 決定の一日」(NHK政治マガジン/2019年4月3日)によると、西暦2019年4月1日の9時32分から10時8分までとなっていて、たったの36分間に過ぎない。6案もある日本や中国の古典の意味・解釈を十分に吟味する時間はなかったはずで、漢字そのものに対する意味・印象や読みや説明から受けたメンバー個人個人の好悪の感覚で意見を述べていった様子を窺うことができる。少なくとも有識者同士が意見を交わし合って、最善の案へと統一させていくといった過程は窺うことはできない。

 そうしたくても、そうする材料と時間は与えられていなかった。安倍政権が懇談会メンバーに9人の有識者を起用する検討に入ったのは西暦2019年3月4日である。マスコミがその時点で伝えていたとおりにメンバーは9人、上がっていた名前通りとなっている。

 そして2019年4月30日付「asahi.com」 記事に元号の考案を国文や漢文等々に複数の有識者(学者)に正式に委嘱したのは2019年3月14日で、さらに複数の政府関係者の情報として、〈首相は2月末、「国民の理想としてふさわしいようなよい意味」「書きやすい」「読みやすい」といった留意事項に基づき、事務方が絞り込んだ10数案について初めて報告を受けたが、学者に追加で考案を依頼するよう指示した。〉との記述がなされている。

 「事務方が絞り込んだ10数案」と言っても、事務方自身が元号を考案したわけではなく、学者の考案によるものの中から「絞り込んだ10数案」ということであるはずだ。

 要するに安倍晋三自身、事務方が2月末に提示した学者考案の10数案が気に入らなかった。その挙げ句、〈政府は3月14日付で国文、漢文、日本史、東洋史などの専門家に正式委嘱〉と相成った。

 にも関わらず、懇談会開催に先んじて勉強の機会を何ら与えられていなかった。この決定過程に於ける有識者の扱いは粗末に過ぎ、むしろ蔑ろな扱いとさえ言うことができる。有識者とは名ばかりで、飾りでしかなかった疑いが出てくる。

 大久保好男が「無事にすばらしい新しい元号が決まったことで、いまはほっとしている」と最後に発言していることは、決まった元号に誰もが送るエールだろう。素晴らしくない元号だとは誰も口にすることはできない。

 元NHKキャスターで、現在千葉商科大学国際教養学部長も発言も伝えている。

 宮崎緑「新元号の原案が1枚の紙に印刷されていて、典拠などの説明もそれぞれ一言ずつ書いてあった。決を取ったりはしなかった。『令和』について、触れた方も、触れなかった方もいた。

 『令和』に決まったことを知ったのは、菅官房長官の発表で知り、メンバーからは拍手が湧き上がった。美しい響きで、新しい時代にふさわしい、いい元号が選ばれたのではないか。これから皆が美しく心を寄せ合い、新しい文化を生み出していくという意味が今の時代に大変合っている」

 発言のニュアンスからして、「令和」を推していなかったことが分かる。推していなかったにも関わらず、「美しい響きで、新しい時代にふさわしい、いい元号が選ばれたのではないか。これから皆が美しく心を寄せ合い、新しい文化を生み出していくという意味が今の時代に大変合っている」と言っていることは決まったことに対して伝える、これもエールの部類に入る。

 「『令和』に決まったことを知ったのは、菅官房長官の発表で知り、メンバーからは拍手が湧き上がった」と言っていることは安倍政権が公表した「元号に関する懇談会 議事概要」(首相官邸サイト)に名前を伏せたまま各メンバーの意見のあらましが記述されていて、最後に、〈(2)官房長官から、懇談会での御意見を参考としながら、内閣として新しい元号を決定させていただく旨発言し、終了した。〉との記述があり、このような手続きを前提とした宮崎緑の発言だと分かる。

 要するに新元号が正式に決まり、菅義偉が発表するまで懇談会メンバーは首相官邸4階特別応接室に待機させられていた。携帯電話も預けさせられたということだから、メンバーの中から情報が漏れるのを防ぐ意味での体のいい軟禁だったのだろう。

 上記「NHK政治マガジン」には決定までの時系列が次のように記されている。
 10:20 菅義偉が政府を代表して衆議院議長公邸で、政府による衆参両院の正副議長からの意見聴取が開始。
 10:37 衆参両院の正副議長からの意見聴取が終了。
 10:57 全閣僚会議が始まる。
 11:16 全閣僚会議が終了する。
 11:17 臨時閣議が始まる。
 11:25 臨時閣議が終了する
 11:41 菅官房長官が、新元号は「令和」と発表する。

 懇談会メンバーは懇談会終了の10時8分から菅義偉新元号発表の11時41分までの1時間33分も待たされていた。なぜこうまでも情報統制が必要だったのだろう。情報統制は秘密主義に基づき、情報隠蔽を伴う。

 有識者メンバーによる懇談会開催が6案の詳細な検討が必要であるのに対して36分、1案平均たったの6分。そして衆参両院の正副議長からの意見聴取が17分、全閣僚会議が19分、臨時閣議が8分。バタバタと決定されていった印象を拭うことができない。

 衆参両院の正副議長からの意見聴取から臨時閣議までのそれぞれに短い時間で決定していったことから考え得ることは事前に既に決定していたことを単に事後に承認するやっつけ仕事としか受け取ることができない。そうでなければ、こうまでも短い時間で進めることはできない。

 有識者の懇談会にしても、1案平均たったの6分と見ると、事後承認のやっつけ仕事でなければ、理解できない短時間の意見集約となる。

 そもそもからして、懇談会開催後に有識者メンバーに初めて6案を提示したこと自体、やっつけ仕事以外の何ものでもない。レールが敷かれていなかったら、結論は出すことはできない短い時間となっている。レールが敷かれていたからこそ、有識者とは名ばかりの飾り扱いができたはずだ。

 このことを解く鍵を上記2019年4月30日付「asahi.com」から見つけることができる。3月14日に一旦は複数の学者に元号考案を正式に委嘱しておきながら、〈その前後の3月初めから下旬にかけて、国書と漢籍の複数の学者に追加の考案を打診した。その求めに応じて提出された複数案の一つが、中西氏が3月下旬に出した「令和」だった。〉云々。

 要するに安倍晋三は3月14日の正式な委嘱にも関わらず、それ以前の3月初めから追加の考案を複数の学者に打診していた。

 天皇がビデオメッセージで生前退位の意思を示したのは西暦2016年8月8日。翌西暦2017年6月16日に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の制定。天皇が退位し、次が即位となると、新しい元号が必要となることは自明中の自明だから、委嘱に先んじて色々と案をねり、手ぐすね引いて待っていた学者もいただろうから、正式委嘱前でも、既に出来上がっていた案を直ちに提示できる状態になっていたケースも多々あったはずである。

 にも関わらず、安倍晋三は2月末に事務方から示された、学者の考案の中から絞り込んだ10数案が気に入らなかった。その結果、3月14日の正式委嘱の手続きを踏む前の3月初めから国書と漢籍の複数の学者に追加の考案を打診することになった。

 ここから見て取ることができる手続きは安倍晋三が全てを自分で決定しようとする独断専行のみである。素直に学者の考案を待ち、その案を懇談会メンバーに素直に諮って、その決定を待って、素直に元号とする公平・ストレートな手続きはどこからも窺うことができない。

 安倍晋三の追加の求めに応じて提出された複数案の一つが中西進の「令和」だということなら、安倍晋三の自分で決定しようとする独断専行との兼ね合いからして、本命を「令和」とした、そのことを気取らせないための、当て馬として提出させた「令和」以外の複数案と見ることができる。

 4月1日開催の「全閣僚会議・議事概要」の最後に次のような記述がある。
 
 〈(2)官房長官から、構成員からの意見を踏まえ、新元号については総理に一任することとしたいとの発言があり、了承された。

(3)総理大臣から、新元号を「令和」としたいとの発言があり、了承された。〉――

 「元号に関する懇談会」でも決を取らず、〈(2)官房長官から、懇談会での御意見を参考としながら、内閣として新しい元号を決定させていただく旨発言〉があったにも関わらず、「全閣僚会議」でも決を取らなかったのだから、内閣として決定したのではなく、優先されたのは安倍晋三が決定の一任を握った、全てを自分で決定しようとする独断専行であり、その賜物であろう。

 「令和」決定が安倍晋三の全てを自分で決定しようとする独断専行であったからこそ、懇談会メンバーの発言等の非公開・非公表が単なる前例踏襲ではなく、ホンネが別にあったと見ることができ、懇談会メンバーとは名ばかりで、飾りでしかなかったとしても無理はないことになる。

 さらに「令和」がバタバタと決められていった経緯も、本命として事前に既に決定していたことを単に事後承認するやっつけ仕事だったからこそ可能となった決定であるはずで、このことも安倍晋三の全てを自分で決定しようとする独断専行に基づいているはずだ。

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安倍晋三の情報機関はスリランカテロ事件の情報収集と在留邦人保護対策に役立ったのか、国民に明らかにせよ

2019-04-29 12:45:05 | 政治
 
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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる


 西暦2019年4月21日、スリランカの最大都市コロンボを始めとしたキリスト教徒の教会やホテル8か所で同時多発テロ爆発事件が発生、スリランカ政府は当初発表していた死者数359人を253人に訂正している。

 発生時間を「Wikipedia」で調べると、午後2時前の1件と午後2時過ぎの1件を除いた残る6件のうち5件は午前9時前にほぼ同時に、あと1件は9時を5分過ぎたところとなっている。

 この午前9時前後の6件の全ては自爆テロだという。女1人を含む9人の実行犯グループはスリランカ国内のイスラム過激派組織「NTJ=ナショナル・タウヒード・ジャマート」に所属、過激派組織IS=イスラミックステートがインターネット上に実行犯らを写したとする動画や写真と共に犯行声明を出したことなどから、ISの関与が強く疑われているとマスコミは伝えている。

 マスコミ報道を見る限り、日本政府の対応は素早かった。事件発生の西暦2019年4月21日の翌日の西暦2019年4月22日の午後の官房長官菅義偉の記者会見。「NHK NEWS WEB」(2019年4月22日 16時08分)

 菅義偉「現時点ではまず大使館によって懸命に対応させていただいている。そのうえで、外務省の『海外緊急展開チーム』が、本日中にスリランカに向けて出国できるよう調整を進めている」

 記事は「海外緊急展開チーム」について医師や通訳などからなる外務省所属の組織だと説明している。

 菅義偉の発言は外務省の「海外緊急展開チーム」が西暦2019年4月22日中に出国できるように調整を進めている、いわば記者会見時点ではまだ出国前であった。但し2019年4月22日付「asahi.com」記事を見ると、首相官邸直轄の「国際テロ情報収集ユニット(CTUJ)」は西暦2019年4月21日夜にスリランカに派遣したと出ている。

 要するに「海外緊急展開チーム」よりも「国際テロ情報収集ユニット」チームを約1日早く、テロ事件発生の当日の夜早々に派遣していたことになる。このことを以って政府の対応を素早いとすることができたとしても、別の側面を抱えていることに留意しなければならない。

 2019年4月22日付「NHK NEWS WEB」記事は、スリランカの捜査当局は10日ほど前に国内のイスラム過激派組織がキリスト教の教会などを狙った自爆テロを計画しているという情報をつかんでいたことが分かり、警察は今回の事件との関連を調べていると伝えている。

 〈NHKが入手した捜査当局の内部文書によりますと、今月9日、「ナショナル・トウィート・ジャマーアト」という国内のイスラム過激派組織が、キリスト教の教会などを狙った自爆テロを計画しているという情報をつかみ、国防省が全国の警察に警戒態勢をとるよう指示を出していたことが分かりました。

 しかし、計画がいつ実行されるのか、日付までは特定できていませんでした。

 この組織が今回の同時爆破テロ事件を実行したとはまだ断定できていませんが、捜査当局はこの組織と事件との関連を捜査しています。〉

 実行日が特定できていなかったとしても、そのような情報を掴んでいたなら、真偽を確認するために監視対象下に置いていたはずだ。だが、テロは発生した。

 テロ事件発生の翌日の西暦2019年4月22日にはスリランカ・コロンボの警察は実行犯として「ナショナル・タウヒード・ジャマート」のメンバー24人を拘束している。要するに実行組織は情報通りの過激派組織であった。
 
 自爆テロ計画の情報提供元と情報提供日は「CNN」(2019.04.24 Wed posted at 11:35)記事が伝えている。

 政府報道官が4月22日の記者会見で明らかにした情報となっている。

 情報提供元はインド。治安機関か捜査機関かということなのだろう。詳細な情報提供日は4月4日。そしてこの警告は事件の2日前の4月19日と事件発生の2時間前にも繰り返されていたとしている。

 伝えられた情報内容はキリスト教会や観光名所を狙った自爆テロの計画。

 記事はインド当局者の1人がCNNに語った内容として、スリランカ当局に提供した情報内容の少なくとも一部は、インドで逮捕されたISメンバーの容疑者に対する取り調べから得られた情報だったと伝えている。

 インド当局からテロ計画を警告する情報がスリランカ当局に提供されていて、現実にテロ事件が発生した。しかも6箇所にも亘る同時多発自爆テロ事件だった。スリランカ政府は国民に謝罪することになった。「NHK NEWS WEB」(2019年4月23日17時58分)

 4月22日のスリランカ政府報道官の記者会見。事前に外国(インド)の情報機関から複数回に亘ってキリスト教の教会やホテルなどを狙ったテロ事件が計画されていると警告を受けていたことと、提供情報どおりにテロ実行グループは国内のイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマート」であり、そのメンバー7人による自爆攻撃だったことを明らかにしたうえで、「全て我々の責任だ」と述べたという。

 記事は、〈事前に情報が寄せられていたものの政府内部で十分に共有されず、事件を未然に防ぐことができなかったことを認め、国民に謝罪しました。〉と伝えている。

 このようなスリランカ当局の、広く言うと、スリランカ政府のテロに関わる危機管理能力機能不全に対して日本政府は「海外緊急展開チーム」と首相官邸直轄の「国際テロ情報収集ユニット(CTUJ)」の派遣で幕を閉じることができるだろうかという問題を見なければならない。

 先ず「海外緊急展開チーム」がどのような組織か、「海外における安全確保について~日本人と日本企業に対する脅威と政府の対応~」(外務省/西暦2016年8月26日)の記事から見てみる。

 記事は〈外務省邦人テロ対策室首席事務官江端康行〉の署名付きとなっている。

 「外務省の取組」として「情報収集・発信能力の強化」や「即応体制の強化」、その他を挙げている。

 〈テロと邦人保護

 外国でのテロの発生は防げない。しかし,邦人の被害は避けなければならない。

 被害の可能性を減らすため,様々な情報やノウハウを提供。

  最終的には各人が「予防」と(テロ発生時の)「対処」を行うことが必要。〉

 最後の〈最終的には各人が「予防」〉云々の自己責任論は「様々な情報やノウハウ」提供が前提とならなければならない。満足な情報提供も満足なノウハウの提供をせずに自己責任論を振り回すのは安倍晋三なら当然と見られても、世間には通用しない。

 次に「海外緊急展開チーム」の「テロ事件の緊急事態発生」前の取組みについて上記PDF記事の中のリンクを付けておいた左の画像から説明してみる。

 「危機の危険・不穏な兆候」を察知した場合、「海外緊急展開チームの派遣」を行い、

 ①事態・展開状況の把握
 ②取るべき体制の検討・策定
 ③情報収集など初動として必要な対応

 等を行うとしている。

 首相官邸直轄の「国際テロ情報収集ユニット(CTUJ)」に関しては次の記事から見てみる

 「国際テロリズムに対する取組~テロの未然防止に向けて」(内閣官房)
  
シリア邦人事件やパリ連続テロ事件等、一段と厳しさを増すテロ情勢を踏まえ、我が国における国際テロ情報収集・集約体制の抜本的強化が必要であるとの認識の下、平成27年12月、「国際テロ情報収集・集約幹事会」、「国際テロ情報集約室」、「国際テロ情報収集ユニット(CTU-J※1)」が設置されました。

また、国際テロ対策等を更に効果的に推進するため、平成30年8月、国際テロ情報等の迅速な共有・分析を行う「国際テロ対策等情報共有センター(CTI-INDEX※2) 」が「国際テロ情報集約室」に設置されました。

我が国は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック等の開催を控えており、こうした国際テロ情報の収集・集約体制の強化を通じ、テロの未然防止に全力を尽くしていきます。

 組織図(省略)

国際テロ情報収集・集約幹事会

●内閣官房副長官(事務)を議長とし、情報間係省庁及び政策・事態対処部門の代表が構成員として参加。
●国際テロに関する情報及ぴ情報関心の共有、情報収集の焦点や優先度について集約。

国際テロ情報集約室

●内閣官房副長官(事務)が室長、内閣情報官が室員代理。
●官邸幹部や関係省庁の情報関心の取りまとめを行うほか、内外の関係機関との連絡との連絡調整を行うなど、国際テロ情報収集ユニットと緊密に連携

国際テロ情報収集ユニット/在外公館 国際テロ情報収集担当

●4名の幹部級職員の下、東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカの4地域を中心に国際テロ情報を収集。
●拠点となる公館に、国際テロ情勢、現地情勢や語学に精通する適任者を省庁横断的に配置。
●官邸の直轄部隊として、①邦人関連テロ発生時に備えた各国の治安・情報機関との迅速な協カラインの確立、②我が国としてのファーストハンドの情報収集に取り組む。

国際テロ対策等情報共有センター

●テロ組織・活動との関連が疑われる事案等に関する端緒情報について、関係11省庁で迅速に共有するとともに、各省庁が保有するデータベースその他関連情報との照合・分析を行い、当該事案等の詳細の解明に努めている。

 安倍政権のテロ未然防止対策に向けた組織は錚々たる名前のものが並んでいる。

 あくまでも、「テロの未然防止に向けて」である。「国際テロ情報収集ユニット」は主として4名の幹部級職員の下、東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカ4地域の在外公館を拠点とした「邦人関連テロ発生時に備えた各国の治安・情報機関との迅速な協カラインの確立」を謳っている。

 これらの国々の在外公館に派遣したテロ防止要員は他の国に関わるテロ情報を把握した場合、その国の在外公館に派遣される仕組みを取っているか、全ての在外公館に最少人数は配置していなければ、詳細な銃砲把握できない。

 ともあれ、各国の治安・情報機関と迅速な協カラインを確立させていて、つまり緊密に提携して、テロその他の情報の収集に努め、収集した場合、政権内部の関係機関に報告、各国の在留邦人保護に動かなければならない。例え計画がいつ実行されるのか、日付が特定されなくても、少なくとも在留邦人に対して注意喚起しなければならない。

 スリランカ政府は今回の自爆テロ計画の情報を前以って把握していた。対してスリランカ政府の危機管理が満足に作動しなかったとしても、安倍政権の「国際テロ情報収集ユニット」はスリランカ治安機関、あるいは情報機関からテロ計画の情報提供を受け、その情報を共有していなければならなかった。

 そのような情報の提供も受けていなかった、当然、情報を共有してもいなかったでは、「国際テロ情報収集ユニット」は情報をただ座して待つだけの組織に成り下がる。全ての国々の全ての治安機関、あるいは全ての情報機関と情報を迅速に共有できる関係を前以って構築させて置くのも役目で、そのような前以っての備えを前提とすることによって情報は速やかに共有できることになる。

 もしスリランカ当局から何の情報の提供も受けていなかったとしたら、良好な関係構築を築くこともできていなかったことになり、政府が垂れ流しているテロ防止に関わる膨大なお題目は見せかけだけとなり、有名無実、看板倒れとなる。

 テロが発生した、在留邦人が犠牲になったからといって、それが迅速な対応だったとしても、事後に「海外緊急展開チーム」を派遣した、「国際テロ情報収集ユニット」を派遣したでは済まないということである。

 テロの未然防止に向けた組織ではなくて、何の組織なのかということになる。

 インド政府当局からスリランカ当局に提供を受けたテロ計画情報をスリランカ当局から日本の情報機関がさらに提供を受け、それが政府内にも伝わっていたのかどうか、伝わっていなかったとしたら、どこに問題点があったのかなかったのか、あるいは伝わっていたが、スリランカ政府が計画実行日が特定できなかったからと放置したことに右へ倣えしたのかどうか、検証し、国民に明らかにしなければならないはずだ。

 あるいは情報の一端を把握していて、万が一を想定し、スリランカ在住邦人に何らかの警告の形で情報を発信していたのかどうか、その内容がどのようなものであったのか、にも関わらず、犠牲になった邦人女性が警戒を怠ったことから巻き添えとなった自己責任で片付けることができるのかどうか、全ては政府側の全責任はのかどうか、安倍晋三は全てを国民に明らかにすべきだろう。

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安倍晋三と同じ自民族優越主義者であり、同じ言葉に節度のない中西進の「令は善なり」は支配者側の価値観

2019-04-22 12:02:28 | 政治


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断念させる可能性が生じる



【お断り】西暦2019年4月28日までブログを休みます。この記事をトップページにとどめて、なるべく多くの読者の目に入るようにするためです。

 安倍晋三が自民族優越主義者であり、そうであるばかりか、国粋主義者、国家主義者であることは何度もブログに書いてきたが、最近では西暦2019年4月4日の《安倍晋三の選ぶべくして選んだのか、国粋主義・国家主義・自民族優越主義と見事一致した新元号「令和」 - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に書いた。

 そして安倍晋三が言葉に節度がないのは国会で野党の追及を受けて事実でないこと・ウソをついて自己正当化を謀るとき、国会答弁が関係ない事柄にまで踏み込んで不必要に長々と喋ったり、最初の説明と最後の説明が繋がらず、小説で言うところの起承転結が終始一貫しないことを平気で押し通すといったところに現れている。

 例を挙げると、ブログに取り上げたことだが、2018年8月12日に地元山口県下関市内で開催の長州「正論」懇話会の設立5周年記念講演会講演(産経ニュース/2018.8.14 10:00)の際、「近年でも『自衛隊を合憲』と言い切る憲法学者はわずか2割で、違憲論争が存在しています。その結果、多くの教科書に自衛隊の合憲性に議論があるとの記述があり、自衛官の子供たちも、その教科書で勉強しなければなりません。ある自衛官は息子さんから『お父さん、憲法違反なの?』と尋ねられたそうです。そのとき息子さんは、目に涙を浮かべていたと言います」と憲法で自衛隊合憲の明記がないことの障害が子供にまで及んでいることのエピソードを述べた。

 立憲民主党の本多平直が2019年2月13日の衆院予算委員会に引き続いて、2019年2月20日衆院予算委員会で、「このエピソードは事実なのか」と問い質した。対して安倍晋三は要約すると、「防衛省担当総理秘書官を通じて航空自衛隊の幹部自衛官から伺った話で、秘書官自身が自衛隊、自衛官本人から、直接聞いたものであると、このように考えております」といった答弁を行っている。

 この答弁は前段だけで済む話で、後段は二重の説明になっていて、余分な説明であるということだけではなく、前後の説明に矛盾がある。前段は自身の秘書官が航空自衛隊の幹部自衛官から直接伺った話だという断定形を取っているが、後段は「直接聞いたものであると、このように考えております」と推測形になっている。もし安倍晋三が総理秘書官から「航空自衛隊の幹部自衛官から伺った話」を直接伝えられていたことが事実なら、「直接聞いたものであると、このように考えております」と推測しなければならない必要性は生じない。前段が事実でないから、念を押さざるを得ず、非事実に対応させて、ついつい推測形になってしまったといったところなのだろう。

 言葉に節度がないから、必要もない長々とした国会答弁を繰返して、野党からヤジられるたりする。

 先ず元号「令和」の考案者であり、国際日本文化研究センター名誉教授であり、万葉集研究の第一人者の誉れ高い中西進が自民族優越主義者であることを証明しよう。文飾は当方。

 記事は、〈自身の著書を出す筑摩書房(東京)に対し、万葉集は「令(うるわ)しく平和に生きる日本人の原点です」とのコメントを送っていた。同社は増刷にあわせて中西氏のコメント入りの帯を使い、18日をめどに書店に出荷する予定。〉と伝えている。

 具体的には、〈増刷は1万部。2日、中西氏に重版決定の連絡を入れたところ、中西氏からファクスで〉件のコメントが送られてきたと紹介している。

 万葉集は「令しく平和に生きる日本人の原点です」・・・・・

 この「平和に生きる日本人」とは個人性を指した「日本人」ではなく、「日本人」全体を指し、民族性を持たせて「平和に生きる」という姿を取らせている。このことを一言で言うと、中西進は日本人性善説を唱えていることになる。

 果たして現在の日本人は民族として常に「平和に生きる」姿を取っているのだろうか。あるいは民族として歴史を通して常に「平和に生きる」姿を取ってきたのだろうか。そうであるなら、違法建築だとか、検査データ改竄、あるいは検査偽装だとか、省庁の文書書改竄だとか、不正統計だとかは起こさない。常に常に正しい行いをしているだろう。戦前、天皇の名のもとに侵略戦争起こす歴史をつくり出すことはなかったろう。

 いわば「令しい」か「令しくない」かにしても、あくまでも個人性であって、「平和に生きる」か、「生きない」かにしても、同じ個人性であり、それを日本人性善説に即して民族性で解釈するのは自民族優越主義以外の何ものでもない。

 万葉集の成立の時期は奈良時代末期と考えられているという。時代は西暦710年から西暦794年の 85年間。この85年間は7世紀後半から10世紀頃まで続いた律令を基本法とする政治体制である律令制下にあった。

 《律令公民制の研究- 京都大学学術情報リポジトリ》(鎌田元一)には次のような記述がある。

 大化の改新を経て律令国家へと繋がっていき、朝廷や皇室、豪族に隷属して奉仕・貢納する人々を編成した部民制(べみんせい)としての〈部は(1)品部、(2)子代・名代、(3)部曲の三つの類型に分けられ、それぞれ(1)は天皇(朝廷)の民、(2)は皇室・皇族の私有民、(3)は諸豪族の私有民とされる。〉

 いわば大化の改新の際に打ち出され、以後律令制下の「公地公民」の制度は土地と人民は全て国家(=天皇)の所有とし、私有を認めないことを原則としていたが、天皇の私有のみならず、皇族や諸豪族がそれぞれ分けて私有していた。

 こいった支配階級に所有された人民に自由はなく、与えられた土地を耕し、決して軽くない税を課せられることになった。ネットで調べると、生活が楽だったといった表現は見つけることはできず、〈貴族が律令制下で贅沢な暮らしを享受する一方、農民は重い税金により貧しい暮らしを余儀なくされた。〉といった趣旨の記述を見つけることになる。

 皇族や貴族は働かざる者の特権として和歌を詠み、蹴鞠などして麗しい優雅な生活を送ることができた。要するに万葉集はこのような皇族・貴族によって詠まれた和歌の世界でしかない。元号「令和」の発案者中西進は作品の世界だけを見て、万葉集は「令しく平和に生きる日本人の原点です」と言う。

 自民族優越主義者は優秀な国民の優秀な事績のみに焦点を当てて民族の優越性を言い募ることから、国家に最高の価値を置き、個人を国家に従属させる国家主義と近親関係にある。結果的に国がどう動いてきたのかの視点に限った歴史や文化・伝統を重要視し、そういった世界の裏側にある一般人民の世界などには目もくれない。中西進について言うと、和歌の世界の裏側にあるどのような世界も覗こうとしない。
 
 「高志(こし)の国」文学館の館長をしている中西進は西暦2019年4月14日に同館で新元号について解説したと西暦2019年4月16日付「毎日新聞」が伝えている。

 「(新元号の考案者)私ではない。神とか天とか呼ばれるような人。

 (中国では令月は2月を指す一方、日本は1月からであることに触れて、目を細め)正月を迎えると我々は春が来たと喜ぶ。(日本の)風土に感謝、尊敬したい。令和という時代を国民の1人として喜んで迎えたい」

 歴史上の多くの時代に於いて一般国民が支配階級に虐げられてきたことを棚に上げて、「(日本の)風土に感謝、尊敬したい」とことほぐ(寿ぐ)ことができる。このように歴史的視野狭窄者だから、言葉に節度を与えることができない。

 「神とか天とか呼ばれるような人」。考案者が自分だからこそ、このようにはぐらかすことができる。他人が考案者なら、このようにはぐらかすことはできない。膨大・豊富な知識から苦労して紡ぎ出すことになる元号のはずだから、そういった知識を無視して「神とか天とか呼ばれるような人」の一瞬の才能の閃きが紡ぎ出したかのように言うのは逆にバカにしたことになる。「考案者は私です」と喋ったも同然で、黙っていればいいものを、言葉に節度を持たせることができずにペラペラと喋るから、喋れば喋る程、「考案者は私です」と正体を明かすことになっている。

 西暦2019年4月2日付「時事ドットコム」記事になると、ニュアンスがかなり違ってくる。西暦2019年4月2日に京都市内の自宅で時事通信の取材に応じた発言だという。

 考案者かとの質問に「ノーコメント」

 但し「元号は中西進という世俗の人間が決めるようなものではなく、天の声で決まるもの。考案者なんているはずがない」

 これも考案者が自分だからこそ言うことができる。現実には「天の声」から比べたら、世俗そのものの人間が考案し、政治家を混じえた世俗の人間が決めていく。それを「天の声」が決めたとしている。つまり「天の声」に絶対性を与えて、その「天の声」が決めたことなのだからと、「令和」なる元号そのもに絶対性を纏わせていることになる。

 そして元号が天皇の存在性とそ時代を表す以上、元号の絶対性は天皇の存在性とその時代に対しても絶対性を付与することになる。元号の絶対性に対して天皇の存在性とその時代は非絶対的だとしたなら、論理矛盾を来すことになる。元号に絶対性を置き、併せて天皇の存在性とその時代に絶対的価値観を対応させること程、危険な思想はない。

 西暦2019年4月12になると、中西進はまた言葉を変えて「令和」を説明している。言葉に節度なきこと底なしである。「asahi.com 」(西暦2019年4月12日18時38分)

 東京都内で開いた市民講座で「令和」について解説したのだという。

 「辞書には『令は善なり』と書いてある。令と言えば善いことだ。こんなにすばらしい字はない。

 (「れい」という発音について)『玲瓏(れいろう)玉のごとし』や『容姿端麗』など非常に美しいものに使われる。(「令」が「命令」の意味を含むとの指摘について)「文脈が違えばそれぞれ際だった側面が強調される。こじつけだ。

 (自身が考案者であるかどうかについて)たまたま同じ名前の人が考案したかのごとく言われているが、たぶん今ここに座っている人間とは違う」

 最後の発言に対して記事は、〈とけむに巻いた〉と解説している。

 「令」が「命令」の意味を含むとの指摘が「こじつけ」なら、「れい」の発音が「『玲瓏(れいろう)玉のごとし』や『容姿端麗』など非常に美しいものに使われる」としていることも、同じ字を使っているわけではないから、こじつけそのものである。

 「辞書には『令は善なり』と書いてある」と言っているが、どの辞書か根拠を示さないのは学者として卑怯である。根拠を示して、初めて第三者に対しても証明されることになる。根拠となる辞書を示さずに言うのは言葉に節度がないだけではなく、情報操作に当たる。

 ネットで調べてみた。「ニコニコ大百科」

 〈〔爾雅・釈詁〕に「令、善なり」「令、告なり」とある。字形亼+卩の会意。解釈に諸説ある。甲骨文や金文の字形は△のものの下に人が跪く姿の象形である。△については、口を逆さまにしたもので号令を発して人が跪くという解釈(〔文源〕)、礼冠を被って神のお告げを聞くという解釈(白川静)、廟屋を表し廟で命令を受けるという解釈(〔古籀補補〕)がある。〉(一部抜粋)

 「爾雅」(じが)とは中国最古の字書であり、「釈詁」(しゃくこ)とは爾雅が19編に分類されて現存している字書の一つだそうだ。

 「解釈に諸説ある」としているが、どれも上に対して下が従属している姿を表している。「神のお告げ」を伝えるのは上位者、あるいは支配階級の役割であり、被支配階級を従える意を取る。

 〈漢字の起源と成り立ち 「甲骨文字の秘密」〉記事中の〈新元号「令和」が本当に意味するものとは?〉(2019年4月1日月曜日)は次のように述べている。一部抜粋。

 〈新元号「令和」の由来と起源

 新元号が今日(2019年4月1日)の閣議で決定発表された。

 出展は万葉集ということだそうで、これでの元号は基本的に漢籍から取られたものだそうだが、そういう意味からもこの新しい元号は、これまでとは一線を画するものかも知れない。

 しかし、この新元号の解釈を如何にしようとも、漢字の解釈から引き出される意味は、「命令に和すること」以外はないようである。

 漢字「令」の成り立ち

 漢字「令」の甲骨文字の上部の三角形は、許慎は上古の時代青銅楽器の外形の輪郭と考えた。即ち、鈴、鏡、の一種。下部は左を向いて跪いている男の人である。両形の会意で命令を発することを表示する。古典の典籍では、「古きもの将に新令あるときは木鋒を奮い上げ大衆に警告をする。木鋒は木の舌であり、文事には木鋒、武事には金鋒を奮う。

 「金文は基本的には甲骨文の形態を受け継いでいる。小篆の下の部の人の形はいくらか変化し、楷書の形態は即ち根本的には鈴の字の人の形は見られない。其の実、令の字は別の角度からの解釈が合理的なのかも知れない。

 大腿のマタを広げ佇立する男性の眼前に一人の跪いた人がある様がまさに「令」の源である。

 この意味からまた拡張して「~させる」という意味が出る。

 因みに、藤堂明保編「漢字源」による解釈では以下のようである。
「△印(おおいの下に集めることを示す)+人のひざまづく姿」で、人々を集めて、神や君主の宣告を伝えるさまを表す。〉(以上)

 この甲骨文字「令」が意味しているところは「ニコニコ百科」の記事と何ら変わらない。

 律令制下の天皇、あるいは諸豪族は絶対権力を握っていた。この支配階級の絶対権力は軍人までが加わって、戦前まで続いていた。律令制下の天皇は戦前の天皇に譬えることができる。天皇は現人神で、日本国民に対しては絶対権力を担わされていた。天皇の命令は絶対で、批判は許されなかった。批判すれば、不敬罪で罰せられた。

 先に触れたように律令制下の天皇や諸豪族の支配階級は絶対的権力を握り、被支配階級を成していた領民・農民は天皇や諸豪族の所有物であり、この関連性から支配階級の価値観が被支配階級の価値観に対して支配的・絶対的であったことを示す。戦前の日本を思い浮かべれば、簡単に理解できる。

 そういった時代に於ける「令、善なり」、あるいは中西進が言う「令は善なり」を解釈した場合、「上の言うことを絶対とすることを善とする」、あるいは「上の命令を絶対とすること善とする」という価値観を取る。

 要するに支配階級の価値観を「善」と看做させ、その価値感をそのまま受け入れることを「善」とする被支配階級の価値感を相互対応させた時代性以外に読み取ることはできない。

 この相互対応形の価値観は戦前の「天皇陛下バンザイ」にも現れている。

 このような時代性が背景にあるとも知らずに無視して、中西進は元号「令和」を正当化するために「令は善なり」を意味すると唱えることになった。言葉に節度のないばかりか、時代性の無視は国家を優先させる自民族優越主義者だからこそできる解釈そのものであろう。

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「安倍・麻生道路」の不必要性が安倍晋三指示から始まり、忖度へと発展した政治権力の私的行使を証明

2019-04-18 11:54:00 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる


 

 2019年4月4日参議院決算委員会で立憲民主党の小川敏夫と安倍晋三の間で次のような質疑応答があった。

 小川敏夫「総理、端的にお尋ね致しますがね、この道路(「安倍・麻生道路」と言われている下関北九州道路のこと)について総理としてはやはり建設したいというお考えはお持ちなんですか」

 安倍晋三「総理として建設したいかどうかということはですね、まさにこここで私がそういうこと申し上げるとですね、そういう、小川先生としてはそういうプレッシャーをかけているのではないかという誤解を呼びますから、私はそういうことは申し上げませんが、しかし私は議員個人としてですね、先程麻生大臣が述べられたように関門トンネルはですね、相当古いものでありまして、しょっちゅう工事をしておりまして、片側一車線、あるいは閉鎖になっているときが非常に多いわけでありまして、九州と本州を繋ぐですね、大事な幹線がそういう状況になっている。

 勿論、一方橋梁もありますけども、橋もありますけども、もう一つの方はそういうことになっているということででしてね、あの、これでいいのかっていう問題意識はずっと、これは持っていたわけでありまして、例えば本州とですね、本州と四国をつなぐ橋は3本かかっているわけでありますが、人口規模としては相当大きな九州と繋ぐ道路はそこだけ。

 あるいは地震が起こったときにですね、果たしてそれでいいのか。九州で大きな、例えば火山の噴火というがあったときにですね、本州と繋ぐもの、そこであれが、関門トンネルがですね、不通になっているときに橋の状況もですね、厳しくなったときにそれでいいのかということは、随分、これは議論になっていた訳で(小川敏夫が席から何か言う)、あのちょっと説明してくれと言われたんで、あの、説明をさせて頂いているところでございまして、それはそういう議論がありですね、私も地元の議員としてはそれはよく承知をしているところでございますし、理解もしているところでございます」

 先ず「Wikipedia」から下関北九州道路の概要を見てみる。

 〈山口県下関市彦島から福岡県北九州市小倉北区に至る約6 km(陸上部:約4 km、海上部:約2 km)〉で、〈現在、関門海峡を横断する交通網として、関門橋、関門トンネル(国道2号)、関門鉄道トンネル(山陽本線)、新関門トンネル(山陽新幹線)があるが、そのほとんどが壇ノ浦から門司港にかけてのルートを通過しており、異常気象や不測の事態などで壇ノ浦付近が通行不能になると、代替交通網がほとんどなくなる事態に陥る。この状況を解消するため、下関市彦島から北九州市小倉北区を横断する新たな交通網の整備が検討されている。

 最初に構想が浮上したのは、1980年代後半の「北九州地域産業・港湾都市計画調査」であり、1991年(平成3年)11月には関門海峡道路整備促進期成同盟会が設立された。

 現在は構想段階であり、ルート、構造等の調査を行っている。開通すれば、関門橋や関門トンネルのバイパス路線として道路ネットワーク全体の信頼性向上に重要な役割を果たす道路になる。〉――

 確かに〈開通すれば、関門橋や関門トンネルのバイパス路線として道路ネットワーク全体の信頼性向上に重要な役割を果たす道路になる。〉だろうが、この記事は費用対効果について触れていない。

 2019年3月5日付「しんぶん赤旗」記事に、〈2013年に公表された関門海峡道路建設促進協議会(当時)の試算によると総事業費2000億~2700億円〉と出ている。最近工事単価、人件費が高騰しているから、3000億円近く掛かるかもしれない。

 道路ネットワーク全体の信頼性向上の利益が一部にとどまった場合、税金のムダ遣いとして国民全体に降り掛かってくる。

 では、安倍晋三のここでの答弁を見てみる。関門トンネルは経年劣化(年数経過による品質・性能の低下)を来していて、頻繁に工事が行われ、片側一車線とか全面閉鎖といった交通規制が掛かることが多いだけではなく、関門トンネルの不通に重なって九州で地震誘発の大規模な火山の噴火が発生した場合、地上剥き出しの関門橋の交通は噴石、火砕流等の影響を受けることになり、3本の本州四国架橋と比較した四国に対する九州の人口規模から言っても、もう一本道路が必要だという議論がなされていたといった趣旨の発言をしている。

 だが、安倍晋三にしても費用対効果に触れていないし、構想されている下関北九州道路(安倍・麻生道路)にしても地上剥き出しの道路であって、大規模火山の影響は受けませんとすることできないのだから、ご都合主義な建設推進論となっている。

 勿論、全面的にカバーを掛ければ、火山の影響は受けないが、総事業費はもっと掛かることになるし、カバーを延々と掛けることは不可能で、必ずある出入り口は噴石、火砕流等の影響を受けることはありませんとすることもできない。

 つまり「安倍・麻生道路」だけ、大規模火山の影響は受けませんと請け合うことはできない。多くを納得させるとは言い難い、かなりデタラメな論理展開となっている。

 安倍晋三がどうして地震誘発の大規模な火山噴火を持ち出したのか分からないが、九州にしても、四国にしても、地震列島日本の一部だから、大規模地震発生とそれに伴う火山噴火は想定内としなければならない道路ネットワークであることは間違いない。「やまぐち経済月報2013.11」《関門トンネル、関門橋の現状と関門海峡道路の必要性》は大規模地震はを前提とした「必要性」となっている。文飾は当方。

 〈2.高速道路としての関門橋(一部抜粋)

〈関門トンネルは片側1車線の対面通行道路であるから、ひとたび事故等が発生すれば、たちまち通行止め、あるいは大渋滞となる。関門橋も、台風等の影響で風速25m以上になると通行止めとなる(その点トンネルは風に強い)。このように片方が通れなくなったときは、もう一つのルートが使える。補修時期に限らず、日常的に補完し合っている。もしどちらか1本しかルートがなかったら、通行止め期間中は九州と本州の自動車ルートが完全に途絶えてしまう。〉

 要するに関門橋が台風や豪雨の影響を受けて通行止めになったとしても、これらの影響を受けない関門トンネルが補完してくれる。現実がそうなっている以上、〈もしどちらか1本しかルートがなかったら、通行止め期間中は九州と本州の自動車ルートが完全に途絶えてしまう。〉という仮定は成り立たない。

 但しトンネル部以外の国道や一般道路が台風や豪雨の影響受けずに関門トンネル内のように通行止めとならないとすることはできない。このことは「安倍・麻生道路」を新たに建設したとしても、風速25m近辺で通行止めとなるだろうから、関門トンネルと同様の条件(トンネル部前後の通行止め)ということになる。

 関門トンネルの条件と変わらないことは左に上げた画像が証明する。約1センチが2キロメートルとなっていて、関門橋から下関側の「安倍・麻生道路」の始点が7~8キロ、終点が12~13キロの距離であって、まともに台風や豪雨に直撃されたなら、「安倍・麻生道路」にしても、関門橋にしても、どちらも通行止めの影響を受けることになるだろうし、関門トンネル外の国道や一般道路が通行止めされない保証もなくなる。直撃でなければ、どちらも影響を受けないことになる。「安倍・麻生道路」と関門橋の一方だけが影響を受けることになるとすることはできないし、あるいは関門トンネル外の国道や一般道路が絶対的に影響を受けないと保証することもできない。

 つまり台風や豪雨の影響を受けた通行止めといった条件を付さない、純粋に費用対効果で建設の必要性を論じなければならないと言うことになる。

 〈3.耐用年数は限界に近いのか

 関門トンネルは開通して55年が経つ。関門橋も、ちょうど開通40周年を迎えたところだ。そろそろ耐用年数的に限界に近付いているのだろうか。

 結論的には、関門トンネルはまだまだ持つ。トンネル本体には厚さ1mのコンクリートが打ってある。55年前、良質のコンクリートで丁寧に作り上げてあるので、いまのところ、トンネル本体に劣化はない。関門トンネルの断面形状が、車道の床版で仕切って下部に人道を配置した円形形状になっていることも、トンネル本体が強さを保っている要因となっている(周囲からの負荷が均等にかかる)ようだ。

 ただし、トンネル本体に劣化がなくても、車が走る床版、あるいは天井板など、本体に付随している部分は年月とともに傷んでくる。また漏水対策としての手入れも必要となる。適切な補修・管理は続けなければならない。そのためにしばしば通行止めにしなければならない状況は続く。逆に言えば、適切な管理をしている限り、まだまだ関門トンネルは持つ。〉

 〈一方、40年前に日本の土木技術の粋を集めて作られた関門橋についても、現状劣化が著しいわけではない。ただ、通行車両に大型車が多いことに加え、通常の道路と違って常に潮風にさらされていることもあって、経年による傷みはみられる。そこで、本格的に傷んでから補修する事後保全ではなく、計画的に維持・補修を行う予防保全、いわゆるアセットマネジメントの観点から、現在「百年供用」を目指して様々な学術的検討を行いながらリフレッシュ工事をしているところだ(2019年に完了予定)

 なお、この間で実際に補修工事を行う時期には、片道3車線のうち2車線を通行止めにして、1車線で車を通過させる形をとっている。補修工事時期も全面通行止めになるわけではない。

 このようにして「百年供用」が目指されている関門橋は、まだまだ持つ。

 関門橋は「百年供用」を目指したリフレッシュ工事を行っていて、「2019年に完了予定」。つまり2019年から先100年の耐用年数を手に入れることになる。つまり関門トンネルにしても、関門橋にしても、耐用年数に問題があるわけではない。

 〈4.交通量は飽和状態か

 前述のように、関門橋の交通量は1日当たり37,600台、関門トンネルは1日当たり28,600台である。いずれも、開通当初と比べれば激増している。そろそろ交通量が飽和状態に近付いているのだろうか。

 関門橋と関門トンネルを合わせると、1日当たりざっと65,000台が関門を通っていることになるわけだが、関門橋が6車線(片道3車線)、トンネルが2車線、合わせて8車線ある。これは1日当たり80,000台の通行が可能な容量である。現状は65,000台だから、数字的にはまだ余裕がある。九州自動車道の太宰府~筑紫野~鳥栖の間のように6車線道路で100,000台以上の交通量があるところもあるわけで、関門間の道路の容量が飽和状態に達しているわけではない。

 ただし、関門橋は一般の高速道路と違って、海上に架かっている橋である。関門トンネルも、一般の道路と違って対面通行の海底トンネルである。飽和状態ではないものの、後述するように、道路交通として様々なリスクや課題を孕んでいる。〉

 関門トンネルと関門橋合わせて〈1日当たり80,000台の通行が可能な容量である。現状は65,000台だから、数字的にはまだ余裕があ〉り、〈関門間の道路の容量が飽和状態に達しているわけではない。

 交通量に関しても何ら問題ではない。但し〈道路交通として様々なリスクや課題を孕んでいる。〉

 では、その「様々なリスクや課題」を見てみる。

 〈1.唯一のルートであることの怖さ

 道路とは、地域と地域を繋ぐものであり、地域間をネットワーク化するものである。関門橋は、九州ブロックと本州を繋ぐ経済活動の大動脈である。人の移動だけでなく、トラック物流も担う。物流品目には、工業製品だけでなく、一大農業地域である九州の農産物もある。また九州ブロックで発生した貨物だけでなく、アジアのゲートウェイである九州到着の海外貨物の国内各地への陸送もある。

 この大動脈が、九州-本州間は関門橋というたった一本の橋で支えられている。関門橋が不測の事態になったとき、九州経済は麻痺する。ひいては日本経済も麻痺し、九州と本州を結ぶ経済・社会活動全体が機能不全に陥る。これを関門トンネルで代替するにしても、対面通行の一般国道では不十分だし、もし大規模災害等で関門橋がダメージを受けたときには、同じ位置に並行している関門トンネルもまたダメージを受ける可能性が高い。

 そこで、現在の関門橋や関門トンネルから距離が離れたところに、もう1本、高規格道路を通しておく必要がある。関門海峡道路がそれである。国土強靭化のため、大規模災害発生時における代替機能確保、いわゆるリダンダンシー(大規模災害時における代替機能)の確保が必要なのだ。

 また、前述したように、関門橋は現在「百年供用」を目指してリフレッシュ中だが、全面更新は百年後でも、ケーブルの取り換えなど部分更新の時期はその前に必ず来る。その工事中は、長期間に亘って全面通行止めとならざるを得ない。そのときに九州ブロックの経済が止まらないようにする用意も必要である。関門海峡道路がそれである。この用意は早くから進めておかないと、必要になったからといってすぐに出来上がるものではない。そして、この用意がなかったら、関門橋は部分更新ができず、寿命を縮めてしまう。

 九州と本州を繋ぐ唯一の大動脈という、極めて重大な交通システムにおいては、バックアップシステムが組み込まれていなければならない。これは現在の交通量が容量オーバーであるかどうかといった議論とは別次元の重要課題である。〉

 ここで言っている「関門海峡道路」とは下関北九州道路のうちの海上部と前後取り付け部を指す名前だそうだ。

 〈大規模災害等で関門橋がダメージを受けたときには、同じ位置に並行している関門トンネルもまたダメージを受ける可能性が高い。〉と言っている「大規模災害等」とは南海トラフ地震のことなどを指しているのだろう。

 この必要性に関わる論理には説得力がある。

 大規模災害時に於けるこのような関門橋と関門トンネルの共倒れダメージに対して関門橋から橋の中間点までの距離が10キロから11キロ程度しか離れていない「安倍・麻生道路」をダメージゼロとするには南海トラフ巨大地震クラスの地震が発生しても耐え得る耐震設計を持たせた橋梁の建設を目指すということなのだろう。

 では、南海トラフ巨大地震での予想震度を、「南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ」(気象庁)から見てみる。
 
 〈政府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震(以下、「南海トラフ巨大地震」という)が発生した際の被害想定を実施しています。

 この被害想定によれば、南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。〉

 この記事が載せている強震動生成域を陸側寄りに設定した場合の「南海トラフ巨大地震の震度階級図」を左に掲げておく。 

 「安倍・麻生道路」にしても、関門橋と関門トンネルにしても、この周辺の震度階級は5弱から4となっている。勿論、南海トラフ巨大地震の予想最大震度7に備えた耐震設計であっても、構わないわけではある。

 関門橋と関門トンネルはどの程度の耐震設計となっているのだろうか。

 「日本共産党北九州市議団」(2015年9月議会報告)なる記事から見てみる。

 〈ネクスコ西日本によると、関門橋・トンネルともに阪神・淡路大震災クラスの震災でも耐えられ、完成後100年間はもつと太鼓判を押しています。〉

 阪神・淡路大震災の最大震度は神戸市の一部地域で7だそうだ。因みに東日本大震災の最大震度にしても宮城県栗原市で観測された7だという。南海トラフ巨大地震の予想最大震度7であり、阪神・淡路大震災の最大震度も7ということなら、このクラスの地震が発生したなら、関門橋と関門トンネルがダメージを受けるとすることは無理があり、当然、「安倍・麻生道路」だけがダメージを受けないとすることも無理が生じる。

 となると、既に触れたように費用対効果のみで必要性を論じなければならないが、上記「やまぐち経済月報2013.11」《関門トンネル、関門橋の現状と関門海峡道路の必要性》はこの点に関しては一切触れていない。

 要するに様々な無理で成り立たせた建設必要性の正当性であって、このような正当性を押し通そうとすること自体が牽強付会以外の何ものでもない。つまり合理的な必要性を論じることができないでいる。建設の合理的な正当性がないままに不必要を必要に変えようとすると、ある種の強権が必要になる。国交副大臣だった塚田一郎の発言や安倍晋三に近いとされる参院幹事長の吉田博美の動き、さらに「安倍・麻生道路」の一方の麻生派であり、この道路の北九州側の起点である福岡県選挙区選出の参議院議員大家敏志の動きを見ていると、ある種の強権とは安倍晋三の指示という名の政治権力の私的行使以外に何があるだろうか。指示を吉田博美や大家敏志や塚田一郎が忖度して動き出した。

 無理が通れば道理が引っ込むことになるのは政治権力の世界の常であろう。

 
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安倍晋三の桜田義孝任命責任を国民の目から逸らさせる、ここへ来ての東日本大震災関連の発信

2019-04-15 12:16:11 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 ご存知ように桜田義孝オリンピック・パラリンピック担当大臣が2019年4月10日夜、衆議院比例代表東北ブロック選出、岩手県出身自民党の高橋比奈子議員のパーティーで「東京オリンピックは来年でございますんで、世界中の人が日本に来ますんで、岩手県にも行くと思いますんでね。おもてなしの心をもって復興を協力していただければありがたいと思います。そして復興以上に大事なのは高橋さんでございますので」(NHK NEWS WEB)と発言、発言即日、安倍晋三によって辞任の形を取らせた更迭の裁きを受けることになった。

 桜田義孝はこれまでも何回かの失言、担当大臣にふさわしくない幼稚な発言を繰返して、その不適格性が指摘されてきた。2月12日に競泳の池江璃花子選手が白血病と診断されたことを自身のTwitterで公表、公表を受けた桜田義孝の同じ2月12日の発言、「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」は発言の順番から言っても、趣意から言っても、金メダルの獲得数を人命よりも優先させていて、醜悪そのものであった。

 だが、安倍晋三の擁護によって命拾いすることができた。

 そしてとうとう最後にやっちゃったという感じで自爆&自滅の結末を迎えることになって、当然、安倍晋三の任命責任が問われることになる。

 そもそもからして桜田義孝は大臣就任会見で、〈「東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣の桜田義孝です」と自己紹介するところを「東京ぱらんぴっく、ぱらぴっく、パラピック競技大会、東京パラリンピック競技大会担当大臣の桜田義孝でございます」と3回も間違えた上に「オリンピック」を飛ばして自己紹介した。〉と「Wikipedia」に永久保存されることになっている。

 2018年11月5日の参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫に東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本コンセプトと大会ビジョンを聞かれて、事務方から渡されたメモの間違えた箇所を読み上げ、事務方に注意されて、どうにか答えることができたといった醜態を曝け出している。

 蓮舫は桜田義孝に三つの基本コンセプトと大会ビジョンを聞く前に安倍晋三に「総理、櫻田大臣をなぜオリパラ担当大臣に指名したんですか」と尋ねている。

 安倍晋三「東京オリンピック・パラリンピックに向かって、まさに当時、文部科学副大臣としてしっかりと担当として頑張ってこられた方でございまして、この情熱を再来年に迫ったオリンピック、パラリンピックの成功に生かしていただきたいと、こう思っております」

 要するに安倍晋三は桜田義孝が東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣として適任者だと保証を与えた。この保証はダイヤモンドの鑑定書よりも確かでなければならない。でなければ、総理大臣の価値がなくなる。

 少なくともダイヤモンドの鑑定書より確かであるとの心積りのある保証でなければならないはずだ。

 蓮舫は返す刀で桜田義孝を「御自身でオリパラ担当にふさわしいと考えるのはどこでしょうか」と追及、桜田義孝は「なぜ選ばれたかは私は分かりませんが、それは総理が適材適所と思って選んでいただけたと思って、その選んでいただいた人に、立派に任務を果たすようにしっかりと取り組んでいくつもりでございます」と、国民を対象に任務を果たすべきところを安倍晋三に置き換える答弁。じゃあ、というわけで蓮舫から基本コンセプトと大会ビジョンを問われて、自分では答えることができなかった。

 桜田よしたか政策広報誌「絆 170号」には、〈私は現在、文部省副大臣として、特に学術・スポーツ・東京オリンピック準備の分野で業務をしております。国会だけでなく、日本全国のみならず、世界を飛びまわる日々を過ごしております。〉の記載がある。

 桜田義孝は2013年9月30日に文部科学副大臣に就任、2014年9月4日に退任している。約11カ月間、「学術・スポーツ・東京オリンピック準備の分野」で活動してきた。安倍晋三が「東京オリンピック・パラリンピックに向かって、まさに当時、文部科学副大臣としてしっかりと担当として頑張ってこられた方でございまして」と答弁していることは、桜田義孝のこの自己紹介に当たることになる。

 そして2018年10月2日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣に就任した。約1カ月後の2018年11月5日の参議院予算委員会を迎えて、東京オリンピック・パラリンピックの三つの基本コンセプトと大会ビジョンに関して自力では答えることができなかった。

 要するに文部科学副大臣就任の間、東京オリンピック・パラリンピックについて何も勉強してこなかった。そのような不勉強、その程度の心掛けしかない桜田義孝に安倍晋三はダイヤモンドの鑑定書に優る閣僚としての保証を与えた。

 この適材適所どころではない見当違いな任命責任は重大であるが、その見当違いが「復興以上に大事なのは高橋さんでございます」の発言によってこれまでにない先鋭な形で曝け出されることになった。

 桜田義孝が4月10日夜の不謹慎な発言で即日辞任し、その翌日の4月11日の午前、安倍晋三は後任について記者団に発言している。「産経ニュース」(2019年04月11日))

 安倍晋三「被災地の皆様に内閣総理大臣として、この発言について深くおわび申し上げたいと思います。任命責任はもとより内閣総理大臣たる私にあります。こうした事態に至ったことにつきまして、国民の皆様におわびを申し上げる次第でございます」

 記者「副大臣と閣僚の辞任が相次いだ」

 安倍晋三「こうした結果となったことについて、内閣全員がより一層身を引き締めていかなければならない。さまざまな批判があることも真摯(しんし)に受け止めなければならない。内閣全体で信頼を回復し、復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていきたい」

 「内閣全体で信頼を回復し、復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていきたい」と言っている。前段の「内閣全体で信頼を回復」は理解できない発言ではない。だが、後段の「復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていきたい」をおかしいと思わないのはまともな感覚とは言えない。

 桜田義孝は東京オリンピック・パラリンピック担当大臣であって、被災地でも競技が行われるということ以外に東日本大震災の復興政策そのものに関係する所管大臣ではない。被災地岩手県盛岡市出身で衆議院比例代表東北ブロック選出の高橋比奈子議員のパーテイの挨拶で「復興以上に大事なのは高橋さんでございます」と見識ゼロの発言をしたのみである。自身の所管ではないにも関わらず足を引っ張って復興政策に何らかの打撃を与えたわけでもない。

 つまり「復興に向けて全力を傾けていくことで国民の負託に応えていく」は桜田大臣の不謹慎な不適切発言があろうとなかろうと、あるいは国交副大臣塚田一郎の問題発言があろうとなかろうと、そんなことは他処に置いて安倍晋三のリーダーシップのもと、常に進行形を持たせて執行していなければならない政策課題であるはずだし、そうでなければならない。

 なぜなら、繰返しになるが、この進行形自体は桜田大臣の不適切発言とは関係していないし、塚田一郎国交副大臣が辞任したこととも関係していないし、安倍晋三の桜田義孝や塚田一郎に対する任命責任とも関係していないからだ。

 だが、発言全体がこの進行形の加速を以って任命責任とするニュアンスとなっている。言い換えると、安倍晋三の塚田一郎や桜田義孝に対する任命責任と復興とは何ら関係していないにも関わらず、これら関係のないことを結びつけて、復興に向けた全力傾注を国民の負託だと前面に押し出して、それをダシに任命責任を巧妙にも誤魔化そうとしている。

 この誤魔化しは自身の任命責任を国民の目から逸らさせる作為となる。

 2019年4月12日の参議院本会議で野党側が桜田義孝を「適材適所と擁護し続けてきた」と安倍晋三を追及。対して安倍晋三は「私からも、被災地をはじめ、国民の皆さまにおわび申し上げます。任命責任はもとより、内閣総理大臣たる私にあります。被災地に寄り添いながら、復興に全力を傾けるのは、安倍内閣のゆるぎない方針だ」と答弁したと「FNNPRIME」(2019年4月12日 金曜 午後0:51 )記事が伝えている。

 桜田義孝の被災住民の神経や心情を逆撫でする不謹慎な発言を任命権者として安倍晋三が被災住民に対して謝罪するのは当然であるし、任命責任が自身にあると認めることも当然中の当然である。但し「復興に全力を傾けるのは、安倍内閣のゆるぎない方針だ」とするのは任命責任とは無関係、別物の固定化された政策前提であって、あるいは政策責任であって、にも関わらず任命責任と一続きの文脈に収めるのは復興への全力傾注を以って任命責任とする意図を持たせているからに他ならない。

 でなければ、任命責任について別の発言がなければならないが、全て復興への加速を約束する発言と結びつけている。

 そして4月14日の日曜日、安倍晋三は原発被災地福島を訪問している。これは前々から予定していた行動であろう。福島では第1原発の視察、大熊町役場新庁舎開庁式でのテープカット、原発事故の際、一時閉鎖されて国管理の原発事故対応拠点となっていたが、2018年9月8日に全面復旧の形を取り、2020年3月には復興五輪聖火リレーのスタート地点となるJヴィレッジを訪問したりしている。

 「首相官邸サイト」(2019年年4月14日)

 安倍晋三「廃炉に向けて、多くの課題があります。これから正に正念場を迎えなければなりません。今後も廃炉汚染水対策について、国が前面に立って、取組を進めてまいります。廃炉作業の前線基地であったJヴィレッジは近く全面再開します。今日もサッカーを楽しむ中学生高校生の笑顔があふれていました。

 来年の3月には、そのJヴィレッジから復興五輪の聖火リレーがスタートします。その際、私も訪問して、福島の皆さんと共に、復興五輪の開幕を、そして復興が進んでいる福島の姿を世界に発信をしたいと、こう思っています」(一部抜粋)

 「復興が進んでいる福島の姿を世界に発信をしたい」と復興の進捗を請け合っている。だが、復興の基本はそこに住む人間の数である。立派な高速道路や公共施設を復興させたとしても、人の数が少なければ、復興の持続性が限られることになる。
 
 「住民基本台帳人口移動報告2018年結果」(総務省統計局/2019年1月)

 〈2018年の岩手県,宮城県及び福島県の転出超過数の合計は,1万4541人となり,前年に比べ523人の拡大となっている。男女別にみると,男性は6627人,女性は914人の転出超過となっており,前年に比べ男性は196人の縮小,女性は719人の拡大となっている。県別にみると,岩手県,宮城県及び福島県の3県全てで転出超過となっており,転出超過数は前年に比べ,福島県は554人の縮小,岩手県は639人,宮城県は438人の拡大となっている。〉

 転出数に関して一部縮小はあるが、8年も経過していながら、転出超過であることに変わりはない。特に福島県は2017年から554人減っているものの、2018年は7841人の転出超過となっている。

 2019年3月9日付「時事ドットコム」/ 14時50分)記事は、〈2017年3月に避難指示が解除された川俣町山木屋地区では、昨年4月から小中学校が再開したが、小学生は6年の児童5人だけ。今年の新入生もおらず、4月から休校する見通しだ。住民の帰還率は約4割だが、60代以上が4分の3を占め、「子育て世代は避難先の学校で子供の友人関係ができたり、家を新たに建てたりして生活基盤を移している」(町教育委員会)という。〉と人口減少を伝え、更に、〈小中学生合わせて79人となった飯舘村では、教材や給食など教育関連費用は全て村が負担する。近隣自治体から通う子供もおり、送迎のスクールバス12台の運営費は年間約6500万円に上る。「村で育てば、将来何らかの形で貢献してくれるのでは」(村教委)との期待から、故郷への愛着を育てる「ふるさと学習」に多くの時間を取っている。〉と被災自治体が人口減少に四苦八苦している姿を映し出している。

 人口減少の上に少子高齢化では真の復興とは言えない。

 そもそもからして安倍内閣は2012年12月26日閣議決定の「基本方針」で、〈まず何よりも、「閣僚全員が復興大臣である」との意識を共有し、東日本大震災からの復興を加速する。国自身が被災地の現場に出て、単なる「最低限の生活再建」にとどまることなく、創造と可能性の地としての「新しい東北」をつくりあげる。〉と大々的に謳った。

 この基本方針に添って、安倍晋三は2012年12月26日の「首相就任演説」で、「閣僚全員が復興大臣であるという意識を共有し、あらゆる政策を総動員してまいります。これにより、単なる最低限の生活再建にとどまらず、創造と可能性の地としての新しい東北をつくり上げてまいります」大々的に公約している。

 2018年10月24日の「197回国会所信表明演説」でも、「東北の復興なくして、日本の再生なし。この決意の下に、『創造と可能性の地』としての東北を創り上げてまいります」と力強く謳い上げている。
 
 人口減少が復興の足を引っ張りかねない状況を改善できないままに単に原状回復の復興ではなく、恒久性を持って人が集まる「創造と可能性の地としての『新しい東北』」の姿を被災3県の住民のみならず、日本国民にチラとでも垣間見せることができているのだろうか。原状回復もままならないではないか。

 桜田義孝等に対する任命責任から国民の目を逸らさせる目的で復興への全力傾注を持ち出し、当然、福島訪問の発言もその延長としての姿を自ずと纏うことになる。本にがいくら否定しようとも、ここへ来ての東日本大震災関連の数々の発信であろう。

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「安部・麻生道路」建設推進は安倍晋三から吉田博美へ指示、その指示を体した吉田博美の意を塚田一郎が忖度、これで決まり

2019-04-11 11:51:17 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 ご存知のように地元では「安倍・麻生道路」と呼ばれている下関北九州道路の建設に向けた政界の動きが安倍晋三への忖度がベースとなっているのかどうか、一騒動起こしている。事の発端は4月8日(2019年)のブログにも書いたが、国道等の道路建設を所管の一つとしている国交省の副大臣塚田一郎の2019年4月1日の福岡県知事選自民推薦候補応援演説から発している。

  「西日本新聞」(2019年04月03日 10時10分)

 塚田一郎国土交通副大臣の主な発言内容

 塚田一郎麻生太郎衆院議員にお仕えして、はや20年近く。最初の総裁選は大変でした。その時代から、麻生太郎命、一筋でやってきた。筋金入りの麻生派です。

 実は公務で(福岡県に)来ました。福岡空港の民営化の開設式です。私は新潟の自民県連会長もやっているので、50人の同士の応援要請があったが、かわいい弟分の大家敏志参院議員(麻生派)の要請があり、おやじ(麻生氏)の顔が浮かんで足を運びました。麻生派は渡世の義理だけで動いている。ほとんどやせ我慢の団体です。私は夏に参院選があるが、自分の票を削って北九州に参りました。

 国交副大臣なのでちょっとだけ仕事の話を。大家さんが私が逆らえない吉田博美・自民参院幹事長と一緒に「地元の要望がある」と副大臣室に来た。下関北九州道路(の要請)です。これにはいきさつがありまして、11年前に凍結されています。何でか分かります? 『コンクリートから人へ』の流れで、とんでもない内閣があったでしょ(※事実上凍結した2008年当時は自公政権)。総理は悪夢のようだと言ったがその通りです。

 何とかしないといけないと。下関と北九州ですよ。よく考えてください。下関は誰の地盤ですか? 安倍晋三総理です。麻生副総理の地元でもある北九州への道路事業が止まっている。吉田先生が私の顔をみて、『塚田、分かっているな』と。『これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ』と。『俺が何で来たか分かるか』と。私は物わかりがいい。すぐ忖度(そんたく)します。『分かりました』と。

 そりゃ総理とか副総理はそんなこと言えません。私は忖度しました。この事業を再スタートするには、いったん国で調査を引き取らせてもらいます、と。今回の新年度の予算で国直轄の調査計画に引き上げました。

 別に知事に頼まれたからではありません。大家敏志が言ってきた、そして私が忖度したということですので。

 いろいろ計画があります。トンネルが良いという人がいるが、橋がいいのではないかということで、おそらく橋を架ける形で調査を進めて、できるだけ早く、みなさまのもとに橋が通っていけるように頑張りたい」

 下関北九州道路に関わるこれまでの経緯をざっと振り返ってみる。

 2008年、福田康夫政権時代、財政難で建設に関わる国の調査を凍結
 20162月24日、「関門会」の懇談会開催。第二関門橋の早期建設促進を話題。関門会の総意として要請活動を行うことを決定 
 2016年3月、山口県下関市と北九州市周辺の与党有志議員がメンバー、筆頭に安倍晋三名の「関門会」が国交省に下関北九州道路の事業化に関わる要望書
        を提出。
       <1>下関北九州道路の早期実現を図ること
       <2>実現に向けて、具体的な検討を進め、調査を実施するとともに、これらに必要な予算を確認すること(「日刊スポーツ」/2019年4月8
           日21時42分)
 2017年度、地元自治体の予算と国の補助で調査を再開。
 2018年10月25日、吉田博美と大家敏志、首相官邸に安倍晋三を訪ねる。安倍晋三「早期建設に向けた活動をしっかりと取り組むように」と指示
 2018年11月2日、自民党参院議員有志60人「下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会」設立。会長自民参院幹事長吉田博美
 2018年12月16日、「下関北九州道路の早期実現に向けた整備促進大会」を北九州市小倉北区のステーションホテル小倉で行う。
   吉田博美会長挨拶「自民だけでなく公明、野党の力を集めたオールジャパンで行動し、早期実現に向け頑張っていくことをお約束する」
 2018年12月20日、国交副大臣塚田一郎、吉田博美と福岡県選出自民参院議員大家敏志2人と副大臣室で面会
 2019年3月29日、2019年度からは国が下関北九州道路の調査費用の全額負担を発表、調査を国の直轄事業として行うこととする。
           2019年度予算に調査費用約4000万円計上
 2019年4月1日、塚田一郎「忖度」発言
 2019年4月5日、塚田一郎辞任
 2019年4月8日、国交省、衆議院国土交通委員会の理事懇談会に塚田一郎に対する吉田博美と大家敏志の面会記録を提出
  吉田博美「総理、副総理の地元とは関係なく、経済や後世のためオールジャパンで必要な道路だ。早く国で引き取って進めてほしい」
  塚田一郎「前向きに検討していきたい」
  吉田博美「総理、副総理と言うと、国交省もやりにくいだろう。与党、野党で協力して進めていく」(「NHK NEWS WEB」(2019年4月8日 20時)
          59分)
 2019年4月9日、吉田博美、コメント発表。「メモでも明らかなように、私は『総理、副総理の地元とは関係なく中国・九州の経済や後世のため、オールジャパンで必要な道路』と発言している。(「総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう」と述べたことについて)その直後の『与党、公明党、野党で協力して進めていく』という発言につながるもので、誤解を生まぬようにという考えを表したにすぎない。あくまでも地域経済などに必要な道路で、幅広い賛同の中で進めていきたいという趣旨で発言したことが改めて裏付けられた」(以上)

 どう見ても、2018年10月25日の首相官邸で安倍晋三が「早期建設に向けた活動をしっかりと取り組むように」と指示を出した吉田博美・大家敏志の三者密談が8日後の2018年11月2日の自民党参院議員有志60人による「下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会」の設立、更にこの日から4日後の2018年12月20日の国交副大臣室での塚田一郎と吉田博美と大家敏志の三者密談に繋がったとしか見えない。

 安倍晋三筆頭名の「関門会」が国交省に下関北九州道路の事業化に関わる要望書を提出したことについての質疑が2019年4月4日の参議院決算委員会で行われている。

 立憲民主党小川敏夫「安倍総理はですね、これまでの政治家としての活動の中で下北道路についてどのように取り組んでいらっしゃいましたか」

 安倍晋三「(下関九州横断道路に関して)話があったのは事実でございます。一国会議員としてそういう可能性を追求していきたいということは私が申してきたことなんですね、かつて。あったわけではございますが、総理大臣でございますから、総理大臣として当然、そういう要望することはないわけでございます。

 勿論、地元の陳情等は伺ったことはある。ま、こういうことでございます」

  共産党仁比聡平「私の手元に平成28年3月31日付の石井国土交通大臣宛のですね、『下関北九州道路の早期実現に向けて』の要望書というのがございます。これは関門会という名前で出されていますけども、その筆頭にですね、安倍総理のお名前があるんですけど、冒頭部分を読みますが、『関門海は関門、即ち下関北九州にゆかりのある自民党・公明党国会議員の有志によって結成された会である。去る2月24日、安倍総理を囲み、懇談会を開催させて頂いたところ、その際、第二関門橋の早期建設促進の件が話題となり、関門会の総意として要請活動を行うこととなった』

 北九州道路の早期実現を図ること、具体的な検討を進め調査を実施すると共にこれらに必要な予算を確保すること。

 これ安倍総理がですね、総理大臣なのに国土交通大臣に要望すると。これ異様な話でしょ。こうやって忖度させてきたんじゃありませんか。大体総理がこんなところに名前を連ねていいんですか。

 総理自身が加わった、まさに『安倍・麻生道路』ではありませんか」

 安倍晋三「この関門会と言うのは、えー、今趣旨を読んで頂いたように親睦会でございます。私自身、そういう要望書が出されたっていうことは、実は、今、この拝見するまで知らなかったのでございますが、メンバーではございますが、いずれに致しましてもですね、例えば私は総理大臣として、そうした、そこに名前を載せているのではなくて、関門会のメンバーの名前が載っているということだけなんだろうと、こう思うわけでございます。

 そもそも私は陳情する立ち場には、総理大臣として陳情する立ち場には、そもそもないわけでございます」

 小川敏夫に対しては「総理大臣でございますから、総理大臣として当然、そういう要望することはないわけでございます」と言い、仁比聡平に対しては「関門会のメンバーとして名前が載っているだけで、自身承知していない」ことであり、「総理大臣として陳情する立ち場には、そもそもない」と答弁している。

 「関門会」メンバーの筆頭に総理大臣である安倍晋三の名前が刻まれていながら、会の立ち場からの国交省への要望書提出に関して何も知らされず、何も報告がなかったということになる。あるいは20162月24日の「関門会」の懇談会に出席していなかったとしても、第二関門橋の早期建設促進の要請活動を行うことを決定していながら、その決定を後日、何ら知らされていなかったことになる。

 総理大臣とは名前ばかりの飾りであったなら、そういうこともあり得るが、"安部一強"と言われる強権を誇っている以上、あり得ない話で、虚偽答弁以外の何ものでもない。虚偽答弁で対応しなければならない必要性は安倍晋三の指示が動いた建設促進であり、その指示を受けた腹心たちが周囲に忖度の輪を広げて、建設の実現を謀ろうとしていること以外に考えることはできない。

 要するに政治の私物化を隠さなければならなかった。

 と言うことは、「総理大臣として陳情する立ち場には、そもそもない」が事実だとしても、加計学園獣医学部認可に見たように自身を隠れた場所に置いた政治の私物化以外の何ものでもない"指示"はできる立ち場にあることは否定できない。

 吉田博美は上に記載してあるように国交省が副大臣室での2019年4月8日の塚田一郎、吉田博美、大家敏志の三者面談の記録を公表したことに対して翌4月9日、コメント発表した。マスコミが報道した吉田博美の発言は「総理、副総理の地元とは関係なく、経済や後世のためオールジャパンで必要な道路だ。早く国で引き取って進めてほしい」、あるいは「総理、副総理と言うと、国交省もやりにくいだろう。与党、野党で協力して進めていく」といったものであった。

 真に「経済や後世のためオールジャパンで必要な道路」であり、そうであるからこそ、「与党、野党で協力して進めていく」確固たる必要性を自身の意志としていたなら、自身も2019年4月9日のコメントで、「幅広い賛同の中で進めていきたいという趣旨」の発言だとしている以上、2018年11月2日設立、自身が会長に収まった「下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会」は賛同者を広く野党にまで広げなければならなかったし、野党の中からも多くの賛同議員が出てこなければならなかった。

 ところが、ネットで調べてみると、どんな顔触れかは見つけることができなかったが、自民党参院議員有志60人とか、67人となっていて、何度か口にしている「与党、野党で協力して進めていく」という言葉を自から裏切っている。

 少なくとも「参議院議員の会」設立から1カ月半後の2018年12月16日に北九州市小倉北区のステーションホテル小倉で開いた「下関北九州道路の早期実現に向けた整備促進大会」の際には公明党や野党議員を賛同の渦に加えていなければならなかった。

 だが、会長として行った挨拶は「自民だけでなく公明、野党の力を集めたオールジャパンで行動し、早期実現に向け頑張っていくことをお約束する」であって、この時点でも、「自民だけでなく」と言わざるを得なかった。裏返すと、自民党だけだったから、「公明、野党の力を集めたオールジャパンで行動し」と約束しなければならなかった。
 
 既に公明党と野党の参賛同者を加えていたなら、「公明、野党と共に」という体裁の発言になる。「公明、野党の力を集めたオールジャパンで行動し」ではなくて、「我々は公明、野党の力を集めたオールジャパンで行動しています」の宣言となったはずだ。

 1991年11月設立の下関北九州道路建設促進期成同盟会には自民党衆議院が20人程がメンバーとなっていて、他に自民党参議院議員5人程、公明党や国民民主党、立憲民主党の衆参議員が何名かずつ加わっているが、会長は山口県知事であり、副会長は福岡県知事となっていて、主体は地方自治体であって、吉田博美会長の「下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会」のように国会議員主体の組織ではない。

 前者が地方自治体主体なのは山口県議会議員や下関市議会議員、あるいは福岡県議会議員や北九州市議会議員がメンバーとして加わっていることからも分かる。

 要するに吉田博美が国交省副大臣室で副大臣の塚田一郎との面会時に「与党、野党で協力して進めていく」と言いながら、「下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会」を野党議員を加えずに自民党参議院の有志議員のみで発足させたのは安倍晋三の指示で頭となって動くことになった吉田博美や大家敏志の建設促進だからであり、同じ与党の公明党議員であっても、ましてや野党議員には知られたくない任務であるからこそ、公明党や野党に門戸を開かない閉鎖的な組織とせざるを得なかったということなのだろう。

 吉田博美が「総理、副総理の地元とは関係なく」とか、「総理、副総理と言うと、国交省もやりにくいだろう」と言っていることは、そのように言いつつ、実際には「総理、副総理の地元に関係している道路である」ことと、「総理、副総理と言うと、国交省は表向きはやりにくいだろうから、そこは頼みますよ」といったニュアンスを伝えることになる言葉でもあり、当然、相手の忖度を誘う仕掛けが仕込んであることになる。

 「オールジャパンで必要な道路」だ何だとか、「与党、公明党、野党で協力して進めていく」意図の発言だとか、本人が釈明しているような意味ではない。そのような意味にするには公明党や野党の賛同者が「参議院議員の会」には加わっていなければならない。

 塚田一郎が2018年12月20日の国交副大臣室で忖度を誘う仕掛けに打てば響くように応えた。そのように応えた自分を褒めたくなって、2019年4月1日の福岡県知事選自民推薦候補応援演説で「私は物わかりがいい。すぐ忖度します」と自慢した。

 塚田一郎はどちらかと言うと、政治家として正直者の口に入るのだろう。少々口は軽いが。

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安倍晋三の任命責任者としての無責任が盗人猛々しいまでに露わになった国交副大臣塚田一郎「忖度」発言

2019-04-08 11:05:48 | 政治


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 2019年7月28日任期満了実施参院選で

安倍自民党を大敗に追いつめれば

政権運営が行き詰まり 

2019年10月1日の消費税10%への増税を

断念させる可能性が生じる



 国土交通副大臣の塚田一郎(中央大学法学部卒・55歳 新潟県選挙区)の2019年4月1日、北九州市内開催福岡県知事選自民党推薦候補集会での発言がマスコミに問題視されて、繰返し報道され、野党も批判の俎上に載せることになった。

 その発言の主な内容とマスコミに問題視された以後の福岡県政記者クラブに文書で送った「忖度」発言撤回と謝罪のコメントの要旨を2019年4月2日付「asahi.com」から取り上げてみる。

 私は麻生太郎(副総理)命、一筋でやってきた。筋金入りの麻生派です。

 私は新潟県連の会長をやってまして、地元も県議選、市議選(が行われている)。帰って応援しようと思ってたが、かわいい弟分の(自民麻生派の)大家敏志(おおいえ・さとし)参院議員が小倉に来て激励してくれと。渡世の義理には勝てません。麻生派は渡世の義理だけで動いています。ほとんどやせ我慢の団体。私はやせてませんが。私は夏に参院選があるが、自分の票を削って北九州に参った。

 国交副大臣なので、ちょっとだけ仕事の話を。大家さんが吉田博美・自民参議院幹事長と一緒に、「地元の要望がある」と副大臣室に来た。下関北九州道路(の案件)です。

 これは11年前に凍結されているんです。何とかせにゃならん。下関と北九州ですよ。よく考えてください。下関は誰の地盤ですか。安倍晋三総理です。総理から麻生副総理の地元でもある北九州への道路事業が止まっている。

 吉田幹事長が私の顔を見て、「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」と。私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度(そんたく)します。「分かりました」と。

 そりゃ総理とか副総理がそんなこと言えません。でも私は忖度(そんたく)します。この事業を再スタートするには、いったん国で調査を引き取らせてもらいます、と。今回の新年度の予算で、国で直轄の調査計画に引き上げました。

 別に知事に頼まれたからやったわけじゃないですよ。大家敏志が言ってきた、そして私が忖度した、ということですので。

 おそらく橋を架ける形で調査を進めて、できるだけ早くみなさまのもとに、橋が通るように頑張りたい

 「私は麻生太郎命、一筋でやってきた。筋金入りの麻生派です」とか、「かわいい弟分の大家敏志」だとか、「渡世の義理には勝てません」、「麻生派は渡世の義理だけで動いています」等々は感覚的にはヤクザの世界に身も心も置いている人間の言葉遣いそのもので、特に「麻生派は渡世の義理だけで動いています」は「政策で結びついているわけではありません。政策はそっちのけです」と言っているも同然で、このような程度の低い、みすぼらしい政治感性の人物を副大臣にふさわしい資質の持ち主として起用した安倍晋三の人物を見る目の不確かさ・いい加減さとその任命責任は重大となる。

 記事は、〈下北道路は、関門海峡を挟む安倍首相の選挙区の山口県下関市と中選挙区時代に麻生氏の地盤だった北九州市を結ぶ構想だ。財政難で福田康夫政権時代の2008年に凍結されたが、2017年度に地元自治体の予算と国の補助で調査を再開。国は3月29日、2019年度からは国が調査費用を全額負担することを発表した。〉と解説していて、今のところ安倍晋三と麻生太郎が陰で指示を出した凍結ゾンビなのかどうかは不明だが、自民党参議院幹事長吉田博美の「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」の一言を塚田一郎が「総理とか副総理がそんなこと言えません」とばかりに忖度して、地元自治体の予算と国の補助で調査してきた案件を自らの一存で2019年度から事業化に向けた調査を国直轄で行うよう取り図らったという話の展開となる。

 塚田一郎が「忖度」発言の翌日の4月2日に福岡県政記者クラブに送った謝罪・撤回のコメントの要旨。

 1日に行われた自民推薦候補の応援演説で、「総理とか副総理が言えないので、私が忖度(そんたく)した」「これは総理と副総理の地元の事業だよと言われた」「私は物わかりがいい。すぐ忖度する。分かりましたと応じた」と発言しましたが、一連の発言は事実と異なるため撤回し、謝罪申し上げます。

 下関北九州道路については今般、国において事業の必要性などを鑑み、直轄調査を実施することとしたところです。

 要するに発言したような事実はなかった。自分でつくり上げた何の根拠もない妄想・虚構に過ぎなかった。

 もしこのことが事実なら、日本の国旗である日の丸と「必勝」の文字を書いた鉢巻をしてまで口にした妄想・虚構ということになって、この点からも副大臣としての資質と共に安倍晋三の任命責任が問われることになるが、4月4日の参議院決算委員会で安倍晋三は野党の罷免要求に対して「本人の発言撤回と謝罪がある上に説明責任を肝に銘じて職責を果たしてもらいたい」といった趣旨のことを述べて、逆に職にとどまることを容認、自らの任命責任をそこに置く、国民感覚とズレていないはずはない人事対応を披露することになっている。

 この解釈が間違っていないことは塚田一郎は4月4日の参議院決算委員会で野党側から厳しい追及を受けて翌5日に辞任することとなったが、辞任についての安倍晋三の「記者会見発言」(首相官邸/2019年4月5日)からも証明できる。

 安倍晋三はこの記者会見で「行政においては、国民の信頼が何より重要であります」という名言と、「その場において政治家が語る言葉は真実を語らなければならないと、このように思います」との名言を、二つ吐いている。この名言は、当然のことだが、塚田一郎の事実と異なることを喋ったとしていることに対する裏返しの意味を取ることになる。要するに塚田一郎は「政治家が語る言葉は真実を語らなければならない」にも関わらず真実に反する言葉を聴衆に向かって吐き連ねたことで何よりも重要である「国民の信頼」を失ったとなかなか手厳しい批判を加えている。

 但しこの二つの名言は、その中で示すことになった手厳しい批判にしても、塚田一郎を職にとどめることを一旦は決意した自らの意志をも覆す体裁を取ることになる。いっときは職にとどめたことの釈明を次のように発言している。

 安倍晋三「まず、本人が国会の場において、きちっと説明をすることが重要であると考えておりました。その上において、本人が行政に遅滞があってはならないと判断したわけでありまして、石井大臣もその意向を尊重したということであります。この上は、我々も一層気を引き締めて国民の負託に応えていく決意であります」

 つまり塚田一郎の説明責任を先ずは待ったが、満足にその責任を果たすことができなかったことから行政の遅滞が生じる恐れが出てきたと本人が判断、そのような判断に基づいて自ら辞任する決意を固め、上司である国交大臣の石井啓一にしても本人の意向を尊重して辞任を受け入れることになったという流れを取ったことになる。

 と言うことは、国交副大臣の職にとどめるかどうかの出処進退に関わる任命責任者としての安倍晋三自身の判断は自ら下すことなく、塚田一郎本人が説明責任は果たすことができるかどうかの一点に期待して出処進退は本人の判断に丸投げ、全て本人任せにしていたことになる。

 ところが、辞任するや一転して、手厳しい批判となる二つの名言を吐くことになった。一般的な国民感覚からしたら、「忖度」発言があった時点で任命責任者の立ち場から塚田一郎本人に対して二つの名言を吐き、国民の目に見える手続きで説明責任を求めて、事実かどうかを問い質し、その上でその出処進退を任命責任者自らが判断すべきであり、そのように手続きを経て初めて任命責任者としての意味や立ち場が出てくる。

 だが、そうしなかった。全てが国民感覚とズレた人事対応となっている。要するに記者会見の発言の趣旨自体からも窺うことができるのだが、それらしく見える二つの名言は塚田一郎本人にのみ非があることとして、その責めを全ておっかぶせて、任命責任者としての自らの非については何ら認識せずに口にすることができた「行政においては、国民の信頼が何より重要であります」という名言と、「その場において政治家が語る言葉は真実を語らなければならないと、このように思います」との名言に過ぎないということであり、この矛盾は目に余る。

 自らが任命した閣僚に対する国民の信頼は偏にその人物を見る任命責任者の目・見識に掛かっている。メガネ違いが生じたなら、先ずは自身の目・見識に非を置かなければならない。この意識が安倍晋三には全然ない。

 安倍晋三のこの任命責任者としての自らの非を何ら認識しない態度は4月4日の参議院決算委員会での国会答弁からも見て取ることができる。文飾は当方。

 先ず社民党党首又市征治。

 又市征治「塚田国交副大臣、総理と副総理に忖度をして、道路の調査をやることにしたんだと、何でも忖度、忖度、こんなことを公然と選挙の集会で何度も言う。もう、垂れっ放しじゃないですか、これ。

 そういう意味では、これ、利益誘導で、こういうことはやってはならない不見識だし、忖度で政治決定はやってはならないし、本当にそう思うんなら、総理、塚田さん、直ちに更迭すべきじゃありませんか。そういうことはっきりと答弁願いたいと思います」

 安倍晋三「えー、発言の詳細は承知をしておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めております。そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回をし、謝罪したところと承知しておりますが、先ずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たして貰いたいと考えております」

 次は午前中の立憲民主党民小川敏夫。

 小川敏夫「先ず最初に下関北九州道路に対する国交副大臣の発言についてお尋ねいたしますが、この発言ですね、よーく分析しますと、『私は総理とか副総理はそんなことは言えません』という発言がある。

 この言葉の趣旨にですね、依然、重大な意味があると思うんですね。即ち副大臣のところに頼みに行ったのは自民党の政治家でありますけども、しかし内容は実は、総理とか副総理が望んでいると言っていることなんだけども、総理や副総理は自分の口では言えないから、だから、代わりに自分達は来たんだと、こういうやりとりというふうに理解できるわけです。

 ですから、これ忖度でなくてね。まあ、阿吽の呼吸だね。総理や副総理のご要望を伝えに来た人を通じて、分かったということだと思うんですが、総理、この副大臣の発言についてどのようにお考えですか」

 安倍晋三発言の詳細は承知をしておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めておりまして、そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回をし、謝罪したところと承知をしておりますが、先ずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たして貰いたいと考えております」

 午後、引き続いての小川敏夫。

 小川敏夫「塚田国交副大臣の発言はですね、自民党型の利益誘導政治、あるいは利益誘導選挙というものをですね、実に如実に表した貴重な証言であるというふうに思っております。この重要な発言についてですね、事実でなかったという副大臣の弁明はですね、その弁明自体がウソであるというふうに思わざれるを得ない。

 そこで改めて総理にお尋ねします。これは塚田国交副大臣を罷免しないんですですか」

 安倍晋三「えー、発言の詳細は承知しておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めており、そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回し、謝罪したところと承知しておりますが、先ずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えております」

 共産党仁比聡平。

 仁比聡平「自民党というのはそういう(忖度や政治家個人の指示で政策が動く)ところなんだと国会の声(ヤジ)が上がっておりますけども、そういう中で利益誘導そのものという自民党の選挙の実態というものが図らずもあからさまになってるわけですね。

 今回の副大臣の発言はそうしたイキサツの中で飛び出したものです。大体ですね、夏、昨年8月の概算要求に今度の国直轄調査というのはなかったんですよ。この件についてまだ予算が成立する前の3月の19日に県知事選挙の告示前、2日前ですよ、この日に石井国土交通大臣が福岡、大分の両県知事に伝えたと。

 先程のと言いますか、11年前の冬柴大臣のことを思い起こしますとね、公明党も変わったもんだと、思いますね。まさに政治家への忖度、政治路線、なんじゃありませんか。私は4千万円を費やす国直轄調査はやめて、第二関門橋構想、下北道路構想って言うのは直ちに断念すべきだと思います。副大臣を罷免することは当然だと思いますが、総理、如何ですか」

 安倍晋三発言の詳細は承知しておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めておりましては、そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回し、謝罪したところと承知をしておりますが、先ずは本人からしっかりと説明をすべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たして貰いたいと考えています」

 任命責任者でありながら、「発言の詳細は承知していない」とする無責任。そして「承知していない」いないにも関わらず、「そうした発言をしたことは問題だ」と問題視できる無責任。

 生徒が自殺し、イジメを匂わす遺書が見つかった学校の校長や担任が「自殺の詳細は承知していない」と言うことができるだろうか。校長は学校責任者として、担任はクラスの責任者として、学年主任等と共に「詳細」を調べて、明らかにする責任を有する。

 安倍晋三にしても閣僚の任命責任者として自らの手を使ってか、官房長官なりに指示して「詳細」を調べ、発言の理非・事実の所在を明らかにする責任を有する。明らかにしてから、出処進退を任命責任者として自らが判断すべきだった。

 そういったことをしなかった無責任、逆に出処進退を塚田一郎本人に丸投げした無責任。非は塚田一郎にあり、我にはなしとする無責任等々。

 この発言がどれも同じになっているのは全て原稿を読んでいたからであり、自身が任命した閣僚の発言の是非・事実の所在に関して原稿を読んで同じ答弁で済ます無責任も付け加えなければならない。

 任命責任者でありながら、何重もの無責任が盗人猛々しいまでに露わとなっている。

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