胡錦涛に「チベットの問題は完全に内政問題」だと百万遍言わせよう

2008-04-13 10:56:03 | Weblog

 
中国の胡錦涛国家主席が中国南部の海南島でオーストラリアのラッド首相と会談して、「われわれとダライ・ラマのグループとの争いは、民族や宗教、人権の問題ではない。国の統一を維持するか、それとも分裂するかの問題だ。チベットの問題は完全に内政問題だ」と述べたと昨12日夕方、NHKテレビがニュースで伝えていた。

 「民族や宗教、人権の問題」ではなく、「国の統一を維持するか、それとも分裂するかの問題だ」――。

 胡錦涛は邪なまでに飛んでもない心得違いをしている。

 基本的人権を保障せずに直接的な武力や軍隊・警察を誰の目にも見える形で存在させたり、監視、密告制度等の情報操作を装置として恐怖感情を喚起させ国民の自由な活動を抑圧する種類の「国の統一」は国家権力と国民が相互性を備えた「統一」とは既に言えない状態にある。国家権力による国民に向けた一方通行の支配でしかなく、国民は国家権力に従属する存在としての価値しか持たないことになる。

 そのような支配と被支配の関係は支配地域を領土としてはいても、国家権力と、支配地域に住み生活する国民の間にはそれぞれの存在性に乖離を内在させていて「統一」とは正反対の「分裂」状態にあると言える。

 「国の統一」とは国民あっての国土・国家なのだから、国民の存在性を第一義的問題としなければならない。

 いわば国民の間に「民族や宗教、人権の問題」を限りなく抱えない状況が保障されて、初めて国家は統一性を担保し得る。国民の存在性を無視した国家は権力のための権力へと自己目的化した国家であって、形の上の「統一」はあっても、国民を疎外した「統一」という倒錯を抱え込んだ一体性しか保持できない。

 もし胡錦涛がチベット問題を「国の統一を維持するか、それとも分裂するかの問題だ」とするなら、「民族や宗教、人権の問題」の解消を前提として、初めて正当性を得る。決して相手の望まない様々な手段を講じた対チベット中国化を以って、「国の統一」とするのは当たらない。

 対チベット中国化は緩やかな「民族浄化」とも言える。

 胡錦涛は自らの心得違いに気づかないようだから、聖火リレーの妨害、開会式のボイコット、あるいはオリンピック出場選手による開会式や表彰台での何らかの人権アピールを通じて抗議の姿勢を示し、そのたびに胡錦涛に外国首脳や外国メディアを通して世界に向けて百万遍も「チベットの問題は完全に内政問題だ」と言わさせよう。夜の眠りに就いているときも、夢の中でも「チベットの問題は完全に内政問題だ」と言わさしめ、寝言でも言う程になるまで様々な抗議方法でチベット問題を訴える。

 もし「チベットの問題は完全に内政問題だ」が実態どおりの事実で、それが世界標準として通用する状態なら、わざわざ「チベットの問題は完全に内政問題だ」と言う必要もないわけで、言わざるを得ないところに実態とは違うことの暴露を自ら演じることになる。世界標準とは懸け離れているゆえのそれを誤魔化し正当化するための強弁に過ぎないことを炙り出すこととなる。

 何度も何度も言わせることで、「狼と少年」の「狼が来た」と同様の言葉で証明しているに過ぎない「内政問題」とする。

 胡錦涛が言い疲れたところで言ってやる。「世界が認めることなら、何度か言えば済むのだが、何度も言い続けなければならないのは世界が認めるわけにはいかないからでしょう。チベット自身も認めていない」
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 中国主席 チベットは内政問題(NHK/08.4.12)

 中国の胡錦涛国家主席は12日、チベット自治区で発生した大規模な暴動について「チベットの問題は完全に内政問題だ」と述べ、国際社会が干渉すべきではないという立場を強調しました。これは、胡錦涛国家主席が、中国南部の海南島でオーストラリアのラッド首相と会談した際に述べたものです。

 中国国営の新華社通信によりますと、会談で胡主席は、チベット自治区で発生した大規模な暴動について、「われわれとダライ・ラマのグループとの争いは、民族や宗教、人権の問題ではない。国の統一を維持するか、それとも分裂するかの問題だ」と述べました。そのうえで「チベットの問題は完全に内政問題だ」と述べ、国際社会が干渉すべきではないと強調しました。

 これに対して、オーストラリアのラッド首相は、チベットには重大な人権の問題があると指摘したうえで、ダライ・ラマ14世との対話の再開を促したとみられます。しかし、胡主席は、ダライ・ラマ14世のグループがチベットの分離独立を求める運動をあおったり、北京オリンピックを妨害したりしているとして、こうした行為をやめなければ対話に応じることはできないという中国政府の立場を伝えました。

コメント (1)
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