中露北を枢軸国とし、米日他の連合国間で勃発した場合の第3次世界大戦の趨勢を昨今の軍事情勢と第2次世界大戦の結末から想定

2018-12-24 12:16:54 | 政治

 第2次世界大戦は1900年代半ば、独裁国家日独伊を枢軸国とし、米英仏を主体とした連合国が戦争し、軍人と民間人併せた双方の犠牲者が6千~8千万、途轍もない各国土の破壊をもたらした。枢軸国側に大戦を誘発させた遠因は各国の民族主義に基づいた国益追求の最大化であろう。

 ドイツのヒトラーはドイツ民族の優越性に取り憑かれて、世界制覇を最大の国益追求とし、他国への侵略に向かった。イタリアのムッソリーニはイタリア民族主義を古代ローマ帝国再興という形で表現することを最大の国益追求と看做して、その具体性を領土拡張に置いた。

 日本は天皇が万世一系の存在であることを裏打ちとした日本民族優越主義に衝き動かされて、「世界を一つの家にする」八紘一宇の世界制覇思想のもと、一つの家とした世界の盟主となることを最大の国益追求と看做して領土拡張の侵略戦争に走った。

 他民族を押しのけて、他国にまで自民族をのさばらせ、国益追求の最大化を目指すこと程、忌まわしいばかりの最悪の事態はない。その結果の軍人と民間人併せた犠牲者6千~8千万、途轍もないな各国土の壊滅である。

 現在の世界情勢は新冷戦時代への突入かと言われている。単に中国が経済力と軍事力でいつの日かアメリカを凌ぐ可能性からのアメリカが仕掛けた貿易戦争であったり、あるいは米国の軍事的な優位性・安全保障に影響を与える可能性を露わにし始めた中国のハイテク産業(コンピューター・バイオテクノロジー・ロケット等々の高度な技術や先端的な技術)に対する圧力であったり、アメリカが自国国益を守るための米中覇権争いであったりでは終わらない。

 この冷戦にしても民族主義が深く関わっている。中国の国家主席習近平は「中華民族の偉大なる復興」を掲げている。この「復興」たるや、中国が世界の文化と政治の中心であり、他に優越しているという「中華思想」の具体化を目指すものであり、他民族との均衡の取れた共存を無視して中華民族を世界の上に置こうとする権力欲求の顕現であり、その顕現にもとづいた中国国益とその最大化の追求でなくして何であろう。

 ロシア大統領のプーチンは2013年5月1日のメーデーの日に旧ソ連時代の勲章を復活して、「ロシアの歴史と伝統、道徳観を高め、国民を纏める」と宣言している。当然のこと、この宣言にある「ロシアの歴史と伝統、道徳観」は旧ソ連が備えていた各価値観であり、同時に他国の「歴史と伝統、道徳観」を凌ぐ優越性をそこに見い出していることになる。

 このような優越性はロシア民族優越主義に基づかずに成り立たない。

 旧ソ連が備えていた各価値観の実現とはそれらの価値観で形づくられていた旧ソ連という大国への回帰願望に他ならない。大国であることの条件の一つは領土によって表現される。プーチンによる2014年のウクライナからのクリミア併合はプーチンの大国化願望実現の一環に基づいたロシアの国益追求であったはずだ。

 国家権力者が自民族優越主義に基づいてその存在性を前面に押し立てでまでして国益追求の最大化に走ると、優劣の価値観で他民族を線引き、その存在性を侮ることになり、他民族に対する政策を全て正当化するに至る非常に危険な緊張状態を世界にもたらすことになる。

 アメリカ大統領のトランプは自国第一主義を抱え、移民排斥を自らの政策として掲げている。さらに2016年の選挙中にトランプが「黒人はバカすぎる」と発言していたとする元側近の証言、CNNテレビの黒人司会者ドン・レモン氏の「大統領は常に有色人種や女性をバカにしてきた。黒人は知性が劣っているとの中傷は、米国の人種差別の過去と現在において最も使い古されたデマだ」との批判等から見た黒人差別、女性差別はトランプが白人優越主義者であり、白人の中でも女性よりも白人男性を上に置いた白人男性優越主義を正体としていることが分かる。

 当然、トランプのアメリカ第一主義は白人男性を中心に据えた自民族優越主義と譬えることができる。現在の米中摩擦が単にアメリカが世界をリードしてきた地位・覇権を失いたくない、中国が世界をリードする地位に就き、覇権を獲得したいといった単純な理由ではなく、トランプの他民族との協調性を欠いた自民族優越主義からの世界に向けた国益追求の最大化と習近平中国の「中華思想」に基づいた中華民族優越主義からの国益追求の最大化との激突が底流にある摩擦であるはずである。

 でなければ、他民族との協調性が世界の緊張に何らかの余裕を与えることになる。

 自民族の優越性に基づいた自国国益の追求、その最大化は第2次世界大戦が証明しているように他民族との協調性を排除し、自国の立場を譲らない狭隘で破滅的な道を進む危険性を抱えかねない。米中が双方共に自民族優越主義に拘り、自らの国益追求とその最大化を絶対として相譲らない緊張状態に達したとき、それを打ち破る唯一の方法が第2次世界大戦時のように戦争という形しか残されていないケースが生じない保証はない。

 第3次世界大戦の勃発となる。

 そうなった場合、中国と同盟関係にあり、アメリカとの間で仮想敵国状況にあることからも、ロシアと北朝鮮は中国側につき、枢軸国を形成する可能性は高い。中国にしてもロシアにしても、米本土が標的可能な大陸間弾道を、米国は中国とロシアを標的可能な大陸間弾道ミサイルを所有している。北朝鮮も米本土攻撃可能なミサイルを所有していると見られている。

 人命に対する被害も、国土に対する被害も第2次大戦の比ではないはずだ。第2次大戦当時、ドイツはロケットを持っていて、イギリスを攻撃、大きな被害を与えたが、現在のようなミサイルや核兵器を所有していたわけではない。

 日本が新防衛計画大綱で自衛隊最大の護衛艦を空母化するといった計画は大国同士の自民族優越主義の前に意味を成さないだろう。但し安倍晋三にしても、日本民族優越主義に取り憑かれている。この思想に基づいて安倍晋三は日本の軍事大国化を国益追求とその最大化の大きな柱としている。

 
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