「NHK NEWS WEB」(2021年6月30日 18時22分)
2021年6月28日、千葉県八街市で下校途中の小学生の列に大型トラックが突っ込み、小学3年生男子(8)と小学2年生男子(7)の2名が死亡、8歳の女子が意識不明の重体、7歳と6歳の男子が大怪我をする酷い事故を起こした。運転手は酒を飲んでいた。供述によると運転手は「右側から人が出てきたので、よけようと急ハンドルを切った」ところ、道路左側電柱に衝突し、その後約40メートル進み、小学生の列に突っ込んだ。
このような急ハンドル操作の場合、初心者や加齢によって敏捷性を欠くことになった高齢者が慌ててしまう以外は反射的にブレーキを踏む。要するに急ブレーキを踏んだが、制動距離が足りなくて、左側電柱に衝突してしまったという経緯を一般的には取る。だが、電柱衝突後に小学生の列に突っ込み、停車するまでの約40メートルの間に目立ったブレーキ痕はなかっただけではなく、警察の取調で防犯カメラの映像などからは道路に出る人の姿は確認できていないと記事は書いている。「右側から人が出てきた」という供述は大分怪しくなる。
大型トラックが一定のスピードで電柱に衝突した場合、かなりの衝撃を受ける。映像で見ると、電柱は斜めにかしいでいる。なまじっかな衝撃でなかったはずで、衝撃を受けると同時に右足がブレーキに伸びるものだが、目立ったブレーキ痕なしにそのまま40メートルも走ったということは飲酒だけではなく、居眠り運転の可能性が出てくる。
運転途中で飲酒する場合、事故を起こさないように運転に神経を注ぐ。事故を起こして、原因が飲酒と判明すれば、最悪、免許取り消しの処分を受け、仕事ができなくなり、生活の糧を失うことになりかねない。他のNHK NEWS WEB記事によると、仕事からの戻りで、事故地点は工場まで200メートル程の場所だったと伝えている。目と鼻の先で運転から解放されると思い、安心して、運転に振り向けていた注意が安心感に取って代わってしまうと、その際眠気を我慢していたなら、睡魔に安々と誘い込まれる要因となる。
マスコミ報道を見る限り、警察が飲酒だけではなく、居眠り運転までしていたと発表しているわけではないが、飲酒運転事故のこういった成り立ちを意識にとどめておくことができたなら、飲酒がときには居眠り運転につながることまで考えて、酒など飲んで運転はできないはずだが、飲酒運転で2人の子どもの命とその成長を奪い、1人を意識不明の重体に陥れて、無事回復を祈るが、自分に起きたことがトラウマとして残った場合、以後の命と成長が脅かされないことはないだろうし、重症を与えられた2人にしても、同じようにトラウマにさせて命と成長を脅かしかねない酷い目に遭わせることになった。
特に子どもの命を奪うということはその後の長い成長まで奪うことになるということを考えなければならない。命と成長を奪われることになった子どもたちの家族や親しい友達が見舞われることになる喪失感とその原因が飲酒運転の自動車事故だという不条理は計り知れないだろうし、簡単には癒やすことができずに生涯、その喪失感と不条理を抱えていくことになる可能性は否定できない。
記事は八街市の話として現場の市道は2008年度から2012年度までの4年に亘って小学校のPTAが毎年ガードレールの整備などを求めていたと伝えている。その要望に対して記事は、〈市は、予算などの制約があるとして優先順位を付けて道路の整備を進めていましたが、より優先順位の高い場所があるとして現場の道路へのガードレールの整備は実現していませんでした。
また、現場での最高速度の制限については警察との間で検討したことはなかったということです。〉と伝えている。
要するに子どもの命と成長よりも予算を優先させた道路行政に徹していた。他の予算を振り分けてでも子どもの命と成長を優先させる道路行政を志すことはしなかった。このことは子どもの命の尊厳の軽視に値する。
この点についての2021年7月1日付「時事ドットコム」記事は次のように触れている。
市教育委員会教育長加曽利佳信(八街市長北村新司の記者会見に同席)「(2016年度から事故現場を道路の狭さなどから危険と認識していたと説明した上で)看板の設置などはしたが、ガードレールの設置まで至らず、痛恨の極みだ」
道路の危険性をガードレールの設置ではなく、看板の設置で解消させていた。そしてその程度の予算で片付けていた。
同記事はPTAによるガードレール整備要望に対しては市は「用地買収、建物移転などから多額の費用を要し、非常に難しい」と回答していた。担当者は「ガードレールの設置は、他の事業を優先して先送りされ、検討していなかったのが事実」
この市の態度にも子どもの命と成長よりも予算を優先させた道路行政が否応もなしに見えてくる。子どもは国の宝だと言いながら、口先だけで、宝とは程遠い粗末な扱いで済ませている。
もう一つ、2021年7月1日付「asahi.com」から、PTAによるガードレール整備要望に対して市の説明を見てみる。
〈市は2009年8月、当時の長谷川健一市長名で「歩道の設置とガードレールは、(そのために必要な幅となる)有効幅員の確保が不可能。道路拡幅は用地買収、建物移転など多額の費用を要し非常に厳しい」などとPTA側に回答。PTA側などと協議して、近くの交差点の改修を優先したという。〉
この発言も予算の点からのみガードレールの設置を捉えていて、子どもの命と成長を守ることよりも予算を優先させた道路行政の域を一歩も踏み出せていない。
この記事はPTA側からの事故現場のガードレール整備について2012年度以降から要望がなくなったために整備の必要性が認識されなくなったといった趣旨の市幹部の話を伝えている。
市幹部「毎年度の要望がないと、数多くの道路要望のなかで優先度が下がる」
記事が、〈実際に今年度時点では、事故現場のガードレール整備の必要性を市建設部は認識していなかった。〉と解説している以上、「優先度が下がる」と釈明しているものの、次年度への申し送り事項としていなかったに過ぎない。その年度に出された要望しか目を通していなかった、つまり優先度を決める対象に入っていなかったということで、「優先度が下がる」云々は責任追及を逃れる薄汚い誤魔化しに過ぎない。
ガードレール整備に関わる要望の実現の必要性を認めていながら、予算の都合で実現できなかったとしても、その要望を次年度に引き継いで、予算の点からの実現可能性を探るべきを、引き継ぎの努力すらしなかった。怠慢以外の何ものでもない。
こういった怠慢が事故死を防ぐことができなかった遠因の一つと数えられても、頭から否定することはできまい。
では、最初のNHK NEWS WEB記事に戻って、過去に小学校PTAが毎年ガードレールの整備等を要請していたことに対する現在の八街市長の2021年6月30日の臨時記者会見発言と市の説明を見てみる。
八街市長北村新司「幼い子どもが命をなくすのは胸が張り裂けそうな思いだ。残念で悔しい。財源が限られる中、今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった」
北村新司の「幼い子どもが命をなくすのは胸が張り裂けそうな思いだ。残念で悔しい」と言っていることが代償の取り返しのつかなさを真に痛感した言葉であるなら、「財源が限られる中、今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった」とする、子どもの命と成長を後回しにして、予算を優先させたことを正当化する発言は出てこない。
命に関わる危機管理は命を失う前に失わないための創造的な対策を構築することである。失ってからの命の危機管理は他の命には役に立つかもしれないが、当然のことだが、一旦失った命には役立たない。この当たり前の道理を行政を預かる者として厳しく認識していたなら、「今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった」程度の責任では済ますことはできない。辞任ものであろう。
市の説明。予算などの制約があるとして優先順位を付けて道路の整備を進めていたが、より優先順位の高い場所があるとして現場の道路へのガードレールの整備は実現していなかった。現場での最高速度の制限については警察との間で検討したことはなかった。
この程度の子どもの安全と命に対する危機管理しか弁えることができなかった。結果、現在は60キロとなっている最高速度をより低い最高速度に抑えることを警察に要望することになった。
要するにスクールゾーンとしての時速制限も、各地で進んでいる通学路の最高速度を30キロに制限する「ゾーン30」も設けていなかった。例えて言うなら、朝陽小学校の登下校路は荒野の中に存在していたようなものだった。
最高速度を抑えたとしても、飲酒運転や居眠り運転に役には立たない場合がある。歩道やガードレールのない狭い道路の車の運転は対向車が近づいてこない限り、歩行者がいなくても、左側からの飛び出しを用心するためにほぼ道路の中央を走ることになるが、学童を含めた歩行者を見かけた場合、対向車がなければ、速度を緩めながら、道路中央よりも右側に進路を取って走行、歩行者を遣り過してから、道路中央に進路を戻し、対向車がある場合は、歩行者の脇を十分に走行できる間隔があったとしても、歩行者の手前で道路中央よりも左側に車を寄せて徐行、対向車が通り過ぎるまで待ち、対向車が通り過ぎてから、道路中央に進路を戻して制限速度内の走行をするのが一般的な運転の慣習となっているが(あるいは最近の道路交通法改正でそういう取り決めとなっているのかもしれない)、このような歩行者優先の運転を殆どのドライバーが実践していたとしても、歩行者優先のこの運転方法をプリントして、行政は自区分内のトラックや乗用車を所有する全ての事業所に対してこのプリントした内容を用いた説明会を道路交通法が定める講習会とは別の要請という形で最低月に1度はドライバーに行うように持っていき、歩行者優先の意識を常に新たにさせるように努力すべきではないだろうか。
この努力を受けてドライバーが歩行者優先の運転を日々心がけるようになったなら、日々の習慣は体に染み付き、例え酒を飲んで運転する不届き者が出現したとしても、アル中にまで発展していない限り、最大限の注意を払う可能性は否定できない。
NHK NEWS WEB記事は八街市教育委員会が事故現場の市道を通学路とする児童の精神的な負担を考慮して、当面、登下校のためのバスの運行を決めたと伝えている。登校用に午前2便、下校用に午後4便の運行予定で、この通学路を使う八街北中学校の生徒も利用できるようにし、さらに現場付近に警察の移動交番車の配備や市の職員などによる見守り強化も行なわれるとしている。
全てが命を失う前の命の危機管理ではなく、尊い命が失われたあとからの対症療法の部類に入る危機管理となっている。
別記事によると、現場は朝陽小から西に約1・5キロの見通しの良い幅6・9メートルの直線個所だそうで、ドライバーの抜け道になっていたと伝えている。
事故があった市道は県道77号線と1キロ程離れた間隔でほぼ平行に走っていているから、県道は渋滞が多く、時間短縮のために市道が抜け道として利用する道路となっているということなのだろう。抜け道を利用するドライバーは急いでいるからで、渋滞で失った時間を取り戻すために自然とスピードを上げてしまう。スピードを上げない抜け道利用者がいたら、抜け道利用の意味をなくしてしまう。
今回の事故を起こしたドライバーの会社は事故地点から200メートル程の場所にあるそうだから、抜け道として利用していたわけではないだろうが、通学路が抜け道となっていた場合は、抜け道利用を防止するために大型トラックを所有している近辺一体の事業所に通学路を抜け道として利用しないように要請したり、県道から抜け道の市道に入る各枝道入口に「通学路につき学童の命と将来を守るために抜け道として利用しないこと」という看板を立てるのも一工夫だが、自身の時間短縮を優先させて、看板を無視するドライバーはなくならないだろう。
そういった場合に備えて通学路の信号機を工夫すれば、抜け道としての利用価値を低めることができる。先ずスクールゾーンの信号機の数を多くして、メインストリートの各車両用信号機を一斉に青にするのではなく、最初の信号機を青にしたら、次の信号をすぐに赤にして、しかも赤の時間を長くする。信号の形式を知ったドライバーは急加速、急スピードが役に立たないことを学習して、ゆっくりと発進して、スピードを抑えて次の信号まで走ることになる。スクールゾーンの終了地点までその方式とする。
但し車両用信号機の赤信号が長いと、歩行者用信号機の赤信号も長くなって、歩行者はなかなか横断歩道を渡れないことになる。現在は車両用信号機が青となると同時に歩行者用信号機も青になるが、歩行者用信号機を先に青にして、歩行者が渡ることができる一定の時間後に車両用信号機を青にすれば、車両用信号機を長く赤にしておくことができるし、巻き込み事故を減らすこともできる。
このようにスクールゾーンの信号機が多いことも、車両用信号機の赤信号の時間が一般よりも長いことも、車両用信号機の赤信号が青になるよりも先に横断歩道の歩行者用信号機を青にすることも、ドライバーの多くは学童の命と将来を守るためだと否応もなしに学習し、自らの認識としていくはずである。
この学習と認識が飲酒運転や居眠り運転の戒めとすることもできる。勿論、信号機の増設はそれなりの予算を必要とするが、道路拡張よりも少ない予算で子どもの命と将来を守る、命を失う前に失わないための創造的な対策の部類に入れることができる危機管理とすることができる。
マスコミ報道に誘導されて、菅義偉が2021年6月30日に開いた八街市の自動車事故を踏まえた交通安全対策の重要な課題を話し合う「交通安全対策に関する関係閣僚会議」(首相官邸/2021年6月30日)を覗いてみた。菅義偉の発言だけが載せてある。
菅義偉「この度、下校中の小学生の列にトラックが衝突し、5名が死傷するという大変痛ましい事故が発生いたしました。亡くなられたお子様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷されたお子様、そして御家族の皆様方に、心よりお見舞い申し上げます。
今回のような大変痛ましい事故が、いまだ後を絶ちません。必要な捜査と原因究明を直ちに行い、関係する事業者に対して、安全管理を徹底してまいります。
トラックの運転手において、飲酒の疑いもあると聞いております。飲酒運転は言うまでもなく、重大事故に直結する極めて悪質で危険な行為であり、根絶に向けた徹底を行います。
これまでに取りまとめた、子供や高齢運転者の交通安全のための緊急対策は、今回の事故の発生を受け、速やかに検証を行うことにしました。今後このような悲しく痛ましい事故が二度と起きないように、通学路の総点検を改めて行い、緊急対策を拡充・強化し、速やかに実行に移してまいります。
関係大臣においては、子供の安全を守るための万全の対策を講じることとし、必要な対策を速やかに洗い出していただくようお願いいたします」(以上)
菅義偉は重大事故の「根絶に向けた徹底を行います」との文言で、「根絶」を目標とすることと、「これまでに取りまとめた、子供や高齢運転者の交通安全のための緊急対策は、今回の事故の発生を受け、速やかに検証を行うことにしました」ということで、「子供や高齢運転者の交通安全のための緊急対策」の「検証」を約束した。
前者の約束「根絶」の目標は政府が「国民の命と健康を守る」役目を負っている以上、当然である。「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」(内閣府)の「第2節 子供の交通事故の状況」には、〈近年の12歳以下の交通事故死者数の推移を見ると,全体として減少傾向にある中で,5歳以下については2008年の44人から2019年は24人に,6~12歳については52人から21人に減少した。〉とあるが、減少を以って良しとすることは子ども一人ひとりが持つ命の尊厳を蔑ろにすることになる。減少したとしても、12歳以下の45人もの子どもの命とその成長が自動車事故で無残にも奪われている。子どもの先々の成長を楽しみにしていた親の希望や夢までを奪う。
自民党はネットで探したところ、2012年6月5日と2019年5月28日に政府に対して「道路交通の安全対策に関する緊急提言」を行っている。単数、あるいは複数の重大な自動車事故が発生するたびに「緊急提言」行っているのかも知れないが、ネット上に2回分しか見つけることができなかった。但し言えることは2012年6月5日の「緊急提言」を約7年後の2019年5月28日に再び提出しなければならなかったということは2012年6月5日の「緊急提言」が実のある形を結ばなかったことを物語ることになる。
2012年6月5の「緊急提言」は危険箇所の交通指導取り締まり、信号機やガードレールの設置、歩道の拡幅、通学路の見直し、PTAによる安全パトロールの効果的な改善措置、学校及び幼稚園・保育所等周辺の最高時速30kmの「ゾーン30」の原則的設定、交通指導・取り締まりの徹底よる「人優先空間」の形成、自動車のスピードリミッター(自動速度抑制装置)の早期実用化等々を提言し、2019年5月28日の「緊急提言」では全国的な通学路の安全点検に加えた園児等が日常的に利用する道路、 園外活動のための移動経路の安全点検、危険箇所の信号機、道路標識・標示やガードレールの設置、通学路の見直し、保護者や民間ボランティアによる子供の見守り活動の実施、警察官等による現場での交通安全指導、「ゾーン30」(最高時速30km)整備の加速化、幼稚園・保育園の散歩等の園外保育に備え、ドライバー等に周知させるためのキッズゾーン(仮称)設定の検討等を提言している。
この両提言に見る肝心な対策については今回の自動車事故を受けた千葉県八街市の学童通学路には殆ど形を取っていない。2012年6月5日だけではなく、2019年5月28日も提言を繰り返し、これらの提言が八街市の学童通学路で具体化できていないということは、千葉県八街市だけを抜け落としていたというわけではないはずだから、政府が提言を受けて通学路の総点検を各自治体に指示し、その報告を受けたものの、改善点を必要とする自治体に対して子どもの命と成長を守る危機管理の構築に必要な、国からの予算づけを行なわなかったのか、最優先の解決事項として自治体の予算そのものの見直しを指導して、改善の実施を求めなかったのか、実施したこと・できなかったことの結果報告を自治体から受けて、その報告を検証しなかったのか、いずれかの手続きを厳格に実行していなかったことになる。
政府が全ての手続きを厳正に実行していたなら、千葉県八街市の子どもの命と成長を守る危機管理の実現よりも自らの予算だけを頭に置いた道路行政を阻むことができたはずだ。つまり政府は全自治体に対して全ての手続きを厳正に実行していなかった。そして既に断っているように千葉県八街市だけを緊急提言が求めている各施策の実施対象から省いていたわけではないはずだから、提言のうち、改善すべき点の取り組みは各自治体の予算任任せになっていたことになり、千葉県八街市のように子どもの命と成長を守る危機管理の構築に振り向ける予算を欠いていた自治体は提言を受けた取組みを実施せずにスルーしてしまっている例も存在することになる。
と言うことは、政府は自民党の提言を受けて、通学路の総点検を各自治体に指示し、その報告を受けて改善点の取組みを要請したものの、その取組みの成果に関しては全ての自治体に亘って厳密に検証していなかったことになる。
となると、菅義偉が「交通安全対策に関する関係閣僚会議」で、八街市の事故を「5名が死傷するという大変痛ましい事故が発生いたしました」と言ってはいるが、各自治体の児童安全対策に関わる取組みの成果を厳密に検証していなかったことが八街市の子どもの命と成長よりも予算を優先させた道路行政を見過ごすことになり、このことが事故の遠因となったと指摘できないことはない。政府の怠慢そのものであろう。
2021年6月28日、千葉県八街市で下校途中の小学生の列に大型トラックが突っ込み、小学3年生男子(8)と小学2年生男子(7)の2名が死亡、8歳の女子が意識不明の重体、7歳と6歳の男子が大怪我をする酷い事故を起こした。運転手は酒を飲んでいた。供述によると運転手は「右側から人が出てきたので、よけようと急ハンドルを切った」ところ、道路左側電柱に衝突し、その後約40メートル進み、小学生の列に突っ込んだ。
このような急ハンドル操作の場合、初心者や加齢によって敏捷性を欠くことになった高齢者が慌ててしまう以外は反射的にブレーキを踏む。要するに急ブレーキを踏んだが、制動距離が足りなくて、左側電柱に衝突してしまったという経緯を一般的には取る。だが、電柱衝突後に小学生の列に突っ込み、停車するまでの約40メートルの間に目立ったブレーキ痕はなかっただけではなく、警察の取調で防犯カメラの映像などからは道路に出る人の姿は確認できていないと記事は書いている。「右側から人が出てきた」という供述は大分怪しくなる。
大型トラックが一定のスピードで電柱に衝突した場合、かなりの衝撃を受ける。映像で見ると、電柱は斜めにかしいでいる。なまじっかな衝撃でなかったはずで、衝撃を受けると同時に右足がブレーキに伸びるものだが、目立ったブレーキ痕なしにそのまま40メートルも走ったということは飲酒だけではなく、居眠り運転の可能性が出てくる。
運転途中で飲酒する場合、事故を起こさないように運転に神経を注ぐ。事故を起こして、原因が飲酒と判明すれば、最悪、免許取り消しの処分を受け、仕事ができなくなり、生活の糧を失うことになりかねない。他のNHK NEWS WEB記事によると、仕事からの戻りで、事故地点は工場まで200メートル程の場所だったと伝えている。目と鼻の先で運転から解放されると思い、安心して、運転に振り向けていた注意が安心感に取って代わってしまうと、その際眠気を我慢していたなら、睡魔に安々と誘い込まれる要因となる。
マスコミ報道を見る限り、警察が飲酒だけではなく、居眠り運転までしていたと発表しているわけではないが、飲酒運転事故のこういった成り立ちを意識にとどめておくことができたなら、飲酒がときには居眠り運転につながることまで考えて、酒など飲んで運転はできないはずだが、飲酒運転で2人の子どもの命とその成長を奪い、1人を意識不明の重体に陥れて、無事回復を祈るが、自分に起きたことがトラウマとして残った場合、以後の命と成長が脅かされないことはないだろうし、重症を与えられた2人にしても、同じようにトラウマにさせて命と成長を脅かしかねない酷い目に遭わせることになった。
特に子どもの命を奪うということはその後の長い成長まで奪うことになるということを考えなければならない。命と成長を奪われることになった子どもたちの家族や親しい友達が見舞われることになる喪失感とその原因が飲酒運転の自動車事故だという不条理は計り知れないだろうし、簡単には癒やすことができずに生涯、その喪失感と不条理を抱えていくことになる可能性は否定できない。
記事は八街市の話として現場の市道は2008年度から2012年度までの4年に亘って小学校のPTAが毎年ガードレールの整備などを求めていたと伝えている。その要望に対して記事は、〈市は、予算などの制約があるとして優先順位を付けて道路の整備を進めていましたが、より優先順位の高い場所があるとして現場の道路へのガードレールの整備は実現していませんでした。
また、現場での最高速度の制限については警察との間で検討したことはなかったということです。〉と伝えている。
要するに子どもの命と成長よりも予算を優先させた道路行政に徹していた。他の予算を振り分けてでも子どもの命と成長を優先させる道路行政を志すことはしなかった。このことは子どもの命の尊厳の軽視に値する。
この点についての2021年7月1日付「時事ドットコム」記事は次のように触れている。
市教育委員会教育長加曽利佳信(八街市長北村新司の記者会見に同席)「(2016年度から事故現場を道路の狭さなどから危険と認識していたと説明した上で)看板の設置などはしたが、ガードレールの設置まで至らず、痛恨の極みだ」
道路の危険性をガードレールの設置ではなく、看板の設置で解消させていた。そしてその程度の予算で片付けていた。
同記事はPTAによるガードレール整備要望に対しては市は「用地買収、建物移転などから多額の費用を要し、非常に難しい」と回答していた。担当者は「ガードレールの設置は、他の事業を優先して先送りされ、検討していなかったのが事実」
この市の態度にも子どもの命と成長よりも予算を優先させた道路行政が否応もなしに見えてくる。子どもは国の宝だと言いながら、口先だけで、宝とは程遠い粗末な扱いで済ませている。
もう一つ、2021年7月1日付「asahi.com」から、PTAによるガードレール整備要望に対して市の説明を見てみる。
〈市は2009年8月、当時の長谷川健一市長名で「歩道の設置とガードレールは、(そのために必要な幅となる)有効幅員の確保が不可能。道路拡幅は用地買収、建物移転など多額の費用を要し非常に厳しい」などとPTA側に回答。PTA側などと協議して、近くの交差点の改修を優先したという。〉
この発言も予算の点からのみガードレールの設置を捉えていて、子どもの命と成長を守ることよりも予算を優先させた道路行政の域を一歩も踏み出せていない。
この記事はPTA側からの事故現場のガードレール整備について2012年度以降から要望がなくなったために整備の必要性が認識されなくなったといった趣旨の市幹部の話を伝えている。
市幹部「毎年度の要望がないと、数多くの道路要望のなかで優先度が下がる」
記事が、〈実際に今年度時点では、事故現場のガードレール整備の必要性を市建設部は認識していなかった。〉と解説している以上、「優先度が下がる」と釈明しているものの、次年度への申し送り事項としていなかったに過ぎない。その年度に出された要望しか目を通していなかった、つまり優先度を決める対象に入っていなかったということで、「優先度が下がる」云々は責任追及を逃れる薄汚い誤魔化しに過ぎない。
ガードレール整備に関わる要望の実現の必要性を認めていながら、予算の都合で実現できなかったとしても、その要望を次年度に引き継いで、予算の点からの実現可能性を探るべきを、引き継ぎの努力すらしなかった。怠慢以外の何ものでもない。
こういった怠慢が事故死を防ぐことができなかった遠因の一つと数えられても、頭から否定することはできまい。
では、最初のNHK NEWS WEB記事に戻って、過去に小学校PTAが毎年ガードレールの整備等を要請していたことに対する現在の八街市長の2021年6月30日の臨時記者会見発言と市の説明を見てみる。
八街市長北村新司「幼い子どもが命をなくすのは胸が張り裂けそうな思いだ。残念で悔しい。財源が限られる中、今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった」
北村新司の「幼い子どもが命をなくすのは胸が張り裂けそうな思いだ。残念で悔しい」と言っていることが代償の取り返しのつかなさを真に痛感した言葉であるなら、「財源が限られる中、今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった」とする、子どもの命と成長を後回しにして、予算を優先させたことを正当化する発言は出てこない。
命に関わる危機管理は命を失う前に失わないための創造的な対策を構築することである。失ってからの命の危機管理は他の命には役に立つかもしれないが、当然のことだが、一旦失った命には役立たない。この当たり前の道理を行政を預かる者として厳しく認識していたなら、「今回の場所は申し訳ないが十分な措置ができなかった」程度の責任では済ますことはできない。辞任ものであろう。
市の説明。予算などの制約があるとして優先順位を付けて道路の整備を進めていたが、より優先順位の高い場所があるとして現場の道路へのガードレールの整備は実現していなかった。現場での最高速度の制限については警察との間で検討したことはなかった。
この程度の子どもの安全と命に対する危機管理しか弁えることができなかった。結果、現在は60キロとなっている最高速度をより低い最高速度に抑えることを警察に要望することになった。
要するにスクールゾーンとしての時速制限も、各地で進んでいる通学路の最高速度を30キロに制限する「ゾーン30」も設けていなかった。例えて言うなら、朝陽小学校の登下校路は荒野の中に存在していたようなものだった。
最高速度を抑えたとしても、飲酒運転や居眠り運転に役には立たない場合がある。歩道やガードレールのない狭い道路の車の運転は対向車が近づいてこない限り、歩行者がいなくても、左側からの飛び出しを用心するためにほぼ道路の中央を走ることになるが、学童を含めた歩行者を見かけた場合、対向車がなければ、速度を緩めながら、道路中央よりも右側に進路を取って走行、歩行者を遣り過してから、道路中央に進路を戻し、対向車がある場合は、歩行者の脇を十分に走行できる間隔があったとしても、歩行者の手前で道路中央よりも左側に車を寄せて徐行、対向車が通り過ぎるまで待ち、対向車が通り過ぎてから、道路中央に進路を戻して制限速度内の走行をするのが一般的な運転の慣習となっているが(あるいは最近の道路交通法改正でそういう取り決めとなっているのかもしれない)、このような歩行者優先の運転を殆どのドライバーが実践していたとしても、歩行者優先のこの運転方法をプリントして、行政は自区分内のトラックや乗用車を所有する全ての事業所に対してこのプリントした内容を用いた説明会を道路交通法が定める講習会とは別の要請という形で最低月に1度はドライバーに行うように持っていき、歩行者優先の意識を常に新たにさせるように努力すべきではないだろうか。
この努力を受けてドライバーが歩行者優先の運転を日々心がけるようになったなら、日々の習慣は体に染み付き、例え酒を飲んで運転する不届き者が出現したとしても、アル中にまで発展していない限り、最大限の注意を払う可能性は否定できない。
NHK NEWS WEB記事は八街市教育委員会が事故現場の市道を通学路とする児童の精神的な負担を考慮して、当面、登下校のためのバスの運行を決めたと伝えている。登校用に午前2便、下校用に午後4便の運行予定で、この通学路を使う八街北中学校の生徒も利用できるようにし、さらに現場付近に警察の移動交番車の配備や市の職員などによる見守り強化も行なわれるとしている。
全てが命を失う前の命の危機管理ではなく、尊い命が失われたあとからの対症療法の部類に入る危機管理となっている。
別記事によると、現場は朝陽小から西に約1・5キロの見通しの良い幅6・9メートルの直線個所だそうで、ドライバーの抜け道になっていたと伝えている。
事故があった市道は県道77号線と1キロ程離れた間隔でほぼ平行に走っていているから、県道は渋滞が多く、時間短縮のために市道が抜け道として利用する道路となっているということなのだろう。抜け道を利用するドライバーは急いでいるからで、渋滞で失った時間を取り戻すために自然とスピードを上げてしまう。スピードを上げない抜け道利用者がいたら、抜け道利用の意味をなくしてしまう。
今回の事故を起こしたドライバーの会社は事故地点から200メートル程の場所にあるそうだから、抜け道として利用していたわけではないだろうが、通学路が抜け道となっていた場合は、抜け道利用を防止するために大型トラックを所有している近辺一体の事業所に通学路を抜け道として利用しないように要請したり、県道から抜け道の市道に入る各枝道入口に「通学路につき学童の命と将来を守るために抜け道として利用しないこと」という看板を立てるのも一工夫だが、自身の時間短縮を優先させて、看板を無視するドライバーはなくならないだろう。
そういった場合に備えて通学路の信号機を工夫すれば、抜け道としての利用価値を低めることができる。先ずスクールゾーンの信号機の数を多くして、メインストリートの各車両用信号機を一斉に青にするのではなく、最初の信号機を青にしたら、次の信号をすぐに赤にして、しかも赤の時間を長くする。信号の形式を知ったドライバーは急加速、急スピードが役に立たないことを学習して、ゆっくりと発進して、スピードを抑えて次の信号まで走ることになる。スクールゾーンの終了地点までその方式とする。
但し車両用信号機の赤信号が長いと、歩行者用信号機の赤信号も長くなって、歩行者はなかなか横断歩道を渡れないことになる。現在は車両用信号機が青となると同時に歩行者用信号機も青になるが、歩行者用信号機を先に青にして、歩行者が渡ることができる一定の時間後に車両用信号機を青にすれば、車両用信号機を長く赤にしておくことができるし、巻き込み事故を減らすこともできる。
このようにスクールゾーンの信号機が多いことも、車両用信号機の赤信号の時間が一般よりも長いことも、車両用信号機の赤信号が青になるよりも先に横断歩道の歩行者用信号機を青にすることも、ドライバーの多くは学童の命と将来を守るためだと否応もなしに学習し、自らの認識としていくはずである。
この学習と認識が飲酒運転や居眠り運転の戒めとすることもできる。勿論、信号機の増設はそれなりの予算を必要とするが、道路拡張よりも少ない予算で子どもの命と将来を守る、命を失う前に失わないための創造的な対策の部類に入れることができる危機管理とすることができる。
マスコミ報道に誘導されて、菅義偉が2021年6月30日に開いた八街市の自動車事故を踏まえた交通安全対策の重要な課題を話し合う「交通安全対策に関する関係閣僚会議」(首相官邸/2021年6月30日)を覗いてみた。菅義偉の発言だけが載せてある。
菅義偉「この度、下校中の小学生の列にトラックが衝突し、5名が死傷するという大変痛ましい事故が発生いたしました。亡くなられたお子様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷されたお子様、そして御家族の皆様方に、心よりお見舞い申し上げます。
今回のような大変痛ましい事故が、いまだ後を絶ちません。必要な捜査と原因究明を直ちに行い、関係する事業者に対して、安全管理を徹底してまいります。
トラックの運転手において、飲酒の疑いもあると聞いております。飲酒運転は言うまでもなく、重大事故に直結する極めて悪質で危険な行為であり、根絶に向けた徹底を行います。
これまでに取りまとめた、子供や高齢運転者の交通安全のための緊急対策は、今回の事故の発生を受け、速やかに検証を行うことにしました。今後このような悲しく痛ましい事故が二度と起きないように、通学路の総点検を改めて行い、緊急対策を拡充・強化し、速やかに実行に移してまいります。
関係大臣においては、子供の安全を守るための万全の対策を講じることとし、必要な対策を速やかに洗い出していただくようお願いいたします」(以上)
菅義偉は重大事故の「根絶に向けた徹底を行います」との文言で、「根絶」を目標とすることと、「これまでに取りまとめた、子供や高齢運転者の交通安全のための緊急対策は、今回の事故の発生を受け、速やかに検証を行うことにしました」ということで、「子供や高齢運転者の交通安全のための緊急対策」の「検証」を約束した。
前者の約束「根絶」の目標は政府が「国民の命と健康を守る」役目を負っている以上、当然である。「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」(内閣府)の「第2節 子供の交通事故の状況」には、〈近年の12歳以下の交通事故死者数の推移を見ると,全体として減少傾向にある中で,5歳以下については2008年の44人から2019年は24人に,6~12歳については52人から21人に減少した。〉とあるが、減少を以って良しとすることは子ども一人ひとりが持つ命の尊厳を蔑ろにすることになる。減少したとしても、12歳以下の45人もの子どもの命とその成長が自動車事故で無残にも奪われている。子どもの先々の成長を楽しみにしていた親の希望や夢までを奪う。
自民党はネットで探したところ、2012年6月5日と2019年5月28日に政府に対して「道路交通の安全対策に関する緊急提言」を行っている。単数、あるいは複数の重大な自動車事故が発生するたびに「緊急提言」行っているのかも知れないが、ネット上に2回分しか見つけることができなかった。但し言えることは2012年6月5日の「緊急提言」を約7年後の2019年5月28日に再び提出しなければならなかったということは2012年6月5日の「緊急提言」が実のある形を結ばなかったことを物語ることになる。
2012年6月5の「緊急提言」は危険箇所の交通指導取り締まり、信号機やガードレールの設置、歩道の拡幅、通学路の見直し、PTAによる安全パトロールの効果的な改善措置、学校及び幼稚園・保育所等周辺の最高時速30kmの「ゾーン30」の原則的設定、交通指導・取り締まりの徹底よる「人優先空間」の形成、自動車のスピードリミッター(自動速度抑制装置)の早期実用化等々を提言し、2019年5月28日の「緊急提言」では全国的な通学路の安全点検に加えた園児等が日常的に利用する道路、 園外活動のための移動経路の安全点検、危険箇所の信号機、道路標識・標示やガードレールの設置、通学路の見直し、保護者や民間ボランティアによる子供の見守り活動の実施、警察官等による現場での交通安全指導、「ゾーン30」(最高時速30km)整備の加速化、幼稚園・保育園の散歩等の園外保育に備え、ドライバー等に周知させるためのキッズゾーン(仮称)設定の検討等を提言している。
この両提言に見る肝心な対策については今回の自動車事故を受けた千葉県八街市の学童通学路には殆ど形を取っていない。2012年6月5日だけではなく、2019年5月28日も提言を繰り返し、これらの提言が八街市の学童通学路で具体化できていないということは、千葉県八街市だけを抜け落としていたというわけではないはずだから、政府が提言を受けて通学路の総点検を各自治体に指示し、その報告を受けたものの、改善点を必要とする自治体に対して子どもの命と成長を守る危機管理の構築に必要な、国からの予算づけを行なわなかったのか、最優先の解決事項として自治体の予算そのものの見直しを指導して、改善の実施を求めなかったのか、実施したこと・できなかったことの結果報告を自治体から受けて、その報告を検証しなかったのか、いずれかの手続きを厳格に実行していなかったことになる。
政府が全ての手続きを厳正に実行していたなら、千葉県八街市の子どもの命と成長を守る危機管理の実現よりも自らの予算だけを頭に置いた道路行政を阻むことができたはずだ。つまり政府は全自治体に対して全ての手続きを厳正に実行していなかった。そして既に断っているように千葉県八街市だけを緊急提言が求めている各施策の実施対象から省いていたわけではないはずだから、提言のうち、改善すべき点の取り組みは各自治体の予算任任せになっていたことになり、千葉県八街市のように子どもの命と成長を守る危機管理の構築に振り向ける予算を欠いていた自治体は提言を受けた取組みを実施せずにスルーしてしまっている例も存在することになる。
と言うことは、政府は自民党の提言を受けて、通学路の総点検を各自治体に指示し、その報告を受けて改善点の取組みを要請したものの、その取組みの成果に関しては全ての自治体に亘って厳密に検証していなかったことになる。
となると、菅義偉が「交通安全対策に関する関係閣僚会議」で、八街市の事故を「5名が死傷するという大変痛ましい事故が発生いたしました」と言ってはいるが、各自治体の児童安全対策に関わる取組みの成果を厳密に検証していなかったことが八街市の子どもの命と成長よりも予算を優先させた道路行政を見過ごすことになり、このことが事故の遠因となったと指摘できないことはない。政府の怠慢そのものであろう。