山本有二が10月18日「強行採決」発言を11月1日に冗談でチャラにしようとした言葉の軽さ=人間の軽さ

2016-11-03 10:47:04 | 政治

 先月中旬、2016年10月18日夜、農水相の山本有二が衆議院議院運営委員長佐藤勉の政治資金パーティに出席し、「強行採決するかどうかは、この佐藤氏が決める。だから、きょう、馳せ参じた」と発言、野党の反発を招き、辞任要求が出たばかりか、与党の自民党や公明党からも批判の声が上がった。

 要は発言が与野党の審議時間の決定も強行採決も議院運営委員長の自由裁量、もしくは専権事項であるかのような意味となっていたからだろう。

 衆議院のTPP特別委員会でTPP承認案と関連法案についての審議が開始されたのは2016年10月14日である。そしてその4日後の10月18日夜に山本有二がそのような発言をした。
 
 審議打ち切りにしても強行採決にしても、与党側の(野党側のではない)審議が十分に尽くされたという認識を前提に決めることで、その前提抜きに佐藤勉がいくら衆議院議院運営委員長であろうと、そのような権限は一切ない。

 にも関わらず、そのような意味で言わせたのは山本有二が審議打ち切りと強行採決を望んでいたからで、現時点ではその権限のない議院運営委員長の佐藤勉に対して越権行為の教唆を行ったことになるばかりか、このような教唆自体が山本有二の農水大臣としての権限を超えていることになる。

 当然、大臣としての資質を失うことになる。

 TPP審議の過程で山本有二は野党の辞任要求の追及を受けたが、山本有二自身の謝罪と官房長官の菅義偉の厳重注意で山本有二は無事首を繋げることができた。

 そこへ持ってきて、山本有二は11月1日夜都内で開かれた自民党の衆議院議員のパーティーで再び問題発言を

 山本有二「森喜朗先生から電話があって、『人のパーティーに行って、お前、冗談言うなよ』と。この間、冗談を言ったらクビになりそうになりましたよ。これ以上、要らんことは言っちゃいけません」(テレビ朝日) 

 この後の発言を「NHK NEWS WEB」が伝えている。 

 山本有二「JAの方々が大勢いるが、あすでも、この衆議院議員の紹介で農林水産省に来てくれれば、何かいいことがあるかもしれません」

 人間は自身の失態を冗談にしたり、冗談で笑わせて体裁を繕い、あわよくばチャラにしようとする傾向がある。

 この傾向は冗談なら許されるだろうとの暗黙の了解を求める形で、「なーに、あれは冗談だった」と自分から失態の免罪を図る構図となっている。

 但し冗談でチャラにできる発言ではないにも関わらず、冗談でチャラにしようとするのは、自分でそうすることができるかどうか満足に判断できない合理的な認識能力を備えていないからに他ならない。

 合理的な認識能力を欠如させまま冗談で済ませようとするから、言葉はただただ軽くなる。

 言葉の軽さは人間の軽さの証明でしかない。人間が軽いから、言葉が軽くなる。

 このような点からも大臣の資質を欠いていることになる。

 また、「JAの方々が大勢いるが、あすでも、この衆議院議員の紹介で農林水産省に来てくれれば、何かいいことがあるかもしれません」との発言は農水大臣の立場からJAに対して特別に便宜を図りましょうという意図を含んでいる。

 その特別な便宜は「衆議院議員の紹介」を条件としているから、紹介を介して特別な便宜を得ることになるJAは紹介者としての衆議院議員に対して特別な便宜の中から何がしかの謝礼を支払わなければ、義理や礼を失うことになるだけではなく、二度目、三度目の紹介がなくなるのは目に見えているから、否でも何らかの形で謝礼を支払うことになるはずだ。

 いわば山本有二は上記の発言をすることで、JAに対して特別な便宜を図ろうとしただけではなく、パーティの主の衆議院議員に対してもJAを通して間接的に何らかの利益を供与させようと図ったことになる。

 これは農水大臣の立場からのJAに対してと衆議院議員に対しての二重の利益供与の画策に相当する。

 この点からも山本有二は大臣の資質を欠いていて、一点たりとも資質があるとは言えない。

 官房長官の菅義偉は「山本大臣も軽率な発言をされたと、このことを深く反省しており、辞任されるような話ではない」(ロイター)と言って、辞任しなければならない程の発言ではないとしているが、辞任が安倍政権にとって一つの汚点となることを避けるための政権側に立った自己都合に過ぎない。

 山本有二は大臣の資質がないだけではなく、このような言葉の軽い=人間の軽い人物を閣僚に任命した安倍晋三の任命責任も問われて然るべきだろう。


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