安倍晋三が12月24日(2017年)、東京都中央区の日本橋三越本店で開かれている「2017年報道写真展」を訪れて2017年2月に行われたトランプとの首脳会談で握手を交わした自身の写真、その他の写真にサインしたとマスコミが伝えていた。
自身の偉大な成果の一つとして満面の笑みを浮かべて得意げにマジックペンを走らせたに違いない。
やんわりと断りもせずにトランプとの写真にサインしたということは安倍晋三自身とトランプの双方の存在性と相互の政治性を全面的に承認したことを象徴する。
トランプの存在性と政治性を見てみる。白人優越主義者であることの反動としての黒人差別、ラテン系差別等の人種差別主義者、女性を女性と扱わずにセクハラの対象と見る女性差別主義者、自身の不適切な発言をフェイクニュース扱いして記事にした者をして虚偽者に仕立て上げるペテン師的、あるいは偽善者的性格、強硬な銃規制反対・銃社会擁護に見る社会的弱者軽視等々。
トランプ政権発足以降、その白人優越主義が同じ血を持った白人を勢いづかせ、特に白人警察官が黒人に対して単なる疑いだけで法の裁きを経ずに自身で銃で始末をつけてしまうような射殺事件が発生、そのような社会的断罪の傾向の増加に応じた人種差別と社会的弱者軽視が逆に自分で自分を守る自衛手段として銃を買い求める黒人やラテン系の客が増え、結果的に銃社会を加速させている皮肉な現象の発生はトランプの白人優越主義がその大きな発端の一つとなっているはずだ。
そしてトランプのこのような存在性が政治性にまで反映されて、アメリカ一国主義の政治性、白人優先の政治性をもたらしている。
例え安倍晋三がトランプのこのような存在性や政治性を自覚できるだけの向ける目を持たなくても、持たないとしたら、持たないその感性自体が問題だが、トランプと握手し、握手した写真にサインしたということは一般的・第三者的には否応もなしにトランプの存在性と政治性を全面的に承認したことになる。
トランプの白人優越主義に対応するのが安倍晋三の天皇主義に表れている日本人優越主義である。天皇を世界に例を見ない優れた存在と見ることによって、そのような優れた存在を頭に戴く日本民族を優れた民族としている。
天皇だけが優れた存在で、日本民族は優れていないとした場合、自己矛盾そのものとなる。相互対応の優越性と見ることによって整合性を獲得し得る。
人種に優劣をつける価値観は他の人為に関しても優劣の価値観で判断する。学歴、業態、収入、地位、家柄、貧富等々、全てを優劣で価値づける。アベノミクスが格差拡大の政策となっているにも関わらず安倍晋三が国家の経済規模拡大をより優先させているのは格差拡大の悪影響下にある低所得層を本質的には無視できているからだろう。
上がより富むことによって国家の経済規模は拡大可能となる。安倍晋三にしても経済規模を拡大させた国の首相として名前を上げることができる。
安倍晋三のアベノミクスが上がより富む格差の構造となっているから、大企業と中小企業の業績格差に大きな違いが生じることになる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、第2次安倍政権発足前の2012年の大企業と中小企業の業績格差10兆円に対して2015年19兆円と拡大、過去最大になったとしている。
2日前のブログに大和総研のチーフエコノミスト熊谷亮丸(くまがい・みつまる)がアベノミクスが始まって1年辺り円安に乗って大企業が2兆円の企業収益、中小企業が1兆円企業収益を得ているとしたNHK「日曜討論」での発言を取り上げたが、大企業約1.2万社0.3%に対して中小企業約32.6万社99.7%の割合での2兆円対1兆円なのだから、その格差は大きく、上記大企業対中企業の2012年業績格差10兆円対2015年19兆円にしても、それぞれ1社平均とすると、相当な格差が生じていることになる。
大企業対中小企業の収益格差はそれぞれに勤務する従業員の収入格差となって反映されることになる。
大企業対中小企業がなぜこうも格差が拡大するのだろうか。2017年5月24日付「公正取引委員会」サイトによると、大企業による自らの優越的立場を利用した下請けの中小企業に対する不当な要求、いわゆる“下請けイジメ”に対して公正取引委員会が是正指導を出した件数が、画像にして載せておいたが、安倍政権になって年々増加し、2016年度(平成28年度)は6302件記録していて、そのことに象徴される大企業と中小企業の上下関係が収益にまで影響することになっている格差ということであろう。
安倍晋三は中小企業の生産性拡大を支援することで中小企業活性化の方針でいるが、生産性が拡大したとしても、そのことによって得た収益に関しても上下関係を是正しないことには大企業の影響下で抑制されかねない現状に変わりはないことになりかねない。
かくも安倍晋三とトランプは優劣主義の各種点で似ている。報道写真展に出かけて、首脳会談でトランプと握手している写真にサインしたということはお互いの存在性と政治性に対する相互承認の象徴的儀式そのものである。