ケイの読書日記

個人が書く書評

ジェーン・スー「女の甲冑、着たり脱いだり 毎日が戦なり」  文藝春秋社

2018-05-21 10:17:58 | その他
 ジェーン・スーというから、香港か台湾出身なのかなと思っていたら、日本生まれ日本育ちの純粋な日本人なんだ! 以前、外国人だと安く泊まれるというホテルのキャンペーンがあって、その時、この偽名を使って泊まったらしい。で、ペンネームとして使っているみたい。
 Wikipediaによると、1973年生まれ、フェリス女学院大学文学部卒だというから、大変なお嬢様。
 このエッセイの中にも、小学校低学年の時、読書量が少ないと心配したお母様が、ジェーン・スーさんを近所に住んでいる元国語教師の所にやって、読書の個人レッスンを受けさせたとか。習い事も色々あるが、読書の個人レッスンなんて初めて聞いた。
 大学卒業後の就職も、就職氷河期でありながら、ぽんと大手レコード会社に入社するなど、本人の資質もあるだろうが、やっぱり家が良いんだろうと思う。

 『女の甲冑、着たり脱いだり 毎日が戦なり』という勇ましいタイトルは、男には分からないかもしれないが、女にはよく分かるなぁ。ジェーン・スーさんも「初めに」で書いている。「自称、都会で働く大人の女になるためには、心身ともにさまざまな甲冑を装着せねばなりません」
 そうだろうなぁ。田舎でのほほんと生活する私のようなオバハンにも、甲冑が必要!と思う時が多々あるんだもの。都会で働く大人の独身女性に、自分を守り己を鼓舞する甲冑が必要ない訳がない。
 ただ、ジェーン・スーさんは、外敵と戦うんじゃなくて、自分の内なる自意識と戦わなければならないと思う。
 この人、面白いけど、ものすごく面倒くさい人。

 例えば、このエッセイ本の中に「夢見る少女はリアリスト」という章がある。新しくリメイクされた新解釈のディズニー映画『シンデレラ』を友達と見にいった時の感想が書いてあるんだが、この評価が悪意に満ち満ちている。
 シンデレラは「エラ」という名前で登場するらしい。「森では狩りを楽しむ王子をたしなめ、他の女との差別化を図り、舞踏会にはおめかしして出掛けるなんて、姑息ではなかろうか?どうにも胸がむかむかする」
 「エラは2度も王子に自分を見つけさせています。1回目は舞踏会。2回目はガラスの靴云々。そりゃーオスっ気の強い男性なら誰だってエラのことを自分で苦労して見つけた宝物だ!と思い込むでしょう。策士!」

 よくもまあ、ディズニーアニメをここまで感情移入して見ることができるなと感心します。頭の中ではすっかりエラのライバルのつもり!? そして「たとえば私がシンデレラだったら云々」四十女が自分をシンデレラだったら…と空想するかな? 女子小学生でもないのに。
 私はしない。断言できる。そもそも私はシンデレラなんて見に行かない。

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