日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

経熱も冷める「反日運動」

2005-04-11 09:23:10 | アラカルト
マーケティングの分野では扱わない話題があります。
それは「政治と宗教」です。
経済と政治は、とても密接な関係にあります。
しかし、政治によって経済が左右されてしまうというのは、決して健全な市場ではないと考えられるからです。
ただ今回の中国で起きている「反日運動」は、政治的な問題だけでは終わりそうもありません。
というのは、日本企業が入居しているビルやスーパーマーケットなどへの投石が繰り返されているからです。
「不買運動」等も盛んに言われているようですが、もしこのような状況が長引くことで日本企業が撤退した場合、そこで働く中国の人たちも職を失ってしまうことになります。
もちろん、上海などのように年収1億円以上を稼ぎ出す裕福な層が、日本企業の後を引き継いで企業経営をするかも知れません。
そうすれば、現在中国国内が抱えている「経済格差」が益々広がり、その不満の矛先は中国政府に向きかねないかも知れません。

気になることがあります。
今回の件で、中国政府は「自発的なものであって、政府は責任が無い」と言っていることです。
日本で同様のことがもし起こったら、中国政府は「自発的なものだから、日本政府は責任が無い」と納得するのでしょうか?
この「反日運動」の背景にあるのは、「愛国心教育」の徹底だといわれています。
「愛国心教育」が悪いとは言いません。
世界的に見ても「愛国心教育」を実施している、国は少なくありません。
チベットやモンゴルなどの問題にいつまで知らない顔をするのですか?
「文化大革命」についても「愛国心教育」の一環として、教えていますか?
自国の汚点となる問題や歴史は、教えないというのは「都合の良い愛国心教育」と言われても仕方ないのでは?

今回の反日運動のひとつの理由が「日本の常任理事国入り」ということなのですが、日本が常任理事国になったからといって、中国に何か不利益が発生するとは思えません。
どこか、今の中国は国全体に言いようも無い閉塞感が漂い、そのガス抜きとしての「反日運動」があるように感じられるのです。
中国は3年後に控えた北京オリンピックで、国際舞台への復活を考えています。
しかし、今の状態では・・・「世界の総ての人たちに最高のホスピタリティーを提供する」ということは、無理ではないでしょうか?
そんなネガティブな印象を、世界に与えしまいました。
過激な「反日運動」は、日本だけではなく他の国からの投資機会も減らす可能性が、あるように思うのです。
中国政府、中国の人たちは、そのことに気がついているのでしょうか?
経済的関係をよりよくするためにも、要求や批判ばかりするのではない考えが必要だと思います。

私たち日本人も「時の政府に都合の良い教育は、中国の問題だけではない」という意識をもつ時代が到来してきた。ということを忘れないようにしたいですね。