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キリンの先手を打ったアサヒ?-発泡酒「あじわい」のCM-

2007-10-23 20:17:53 | CMウォッチ
10月に入ると、ビール業界は「冬モノ商品」へと変わっていく。
20年くらい前までは、冬にビールの新商品というイメージは余りなかった。
強いてあげると「鍋とビール」だろう。
そのための新製品というコトも、なかったように記憶している。
ところが、最近では「冬ビール」と呼ばれる市場が出てきた。
先陣を切ったサッポロの「冬物語」やキリンの発泡酒「冬麒麟」などだ。

現在、キリンは主力商品・ラガーのテレビCMでユーミンで展開している。
その前は、YMOだった。
それより前はチューリップ。
70年代を代表するアーティストを起用して、同世代の人たちの共感を得るという戦略展開だった。
確かに、この世代の人たちにとって「初めてのビール」=キリン・ラガーだっただろう。
2世代くらい下の私でさえも、「初ビール=キリン」だった。
当時、キリンはビールシェアで60%くらい占めていたのではないだろうか?
だからこそ、その世代に対しての訴求効果を狙ったのだろう。

そして今日から流れ始めた(=本日発売)アサヒ「あじわい」という発泡酒のテレビCMを見ていて、懐かしさとともにキリン・ラガーの対象層を狙っているように感じたのだ。
出演タレントはネプチューンの原田さんだが、使われている楽曲は「はっぴいえんど」の「風をあつめて」だ。
何度かリ・メイクされているので、ご存知の方も多いだろう。
「はっぴいえんど」というバンドそのものは、活動期間もとても短かったのだが、その後日本のJ-POPシーンに影響を与えた人たちで作られたバンドでもあった。
青春時代に、ユーミンやチューリップを聞いていた人たちは、「はっぴいえんど」も聞いていたはずなのだ。
「あじわい」という商品は、その世代の人たちの「毎日のお疲れ様、発泡酒」を狙っているような気がするのだ。

以前、テレビのランキング番組で「お給料日の夕飯」というモノがあった。
「お給料日だけは、ビール。平日は発泡酒や第3のビール」という回答をした家庭は、多かった。
お給料日にはビールでも、毎日の晩酌には発泡酒というお父さん、家計を預かるお母さんにとって共通の懐かしさがある「はっぴいえんど」の起用は、そんな狙いがあるように思うのだ。