日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

マーケターと言うシゴト

2007-10-12 11:27:40 | アラカルト
現在発売されているGQに「完売も、在庫も、この人次第。日本一のマーケッターは誰だ!?」と言う特集記事が掲載されている。
見出し(=記事のボディーコピー)には、「会社内でのスーパースター」のようなコトが書いてある。
しかし、企業において「スーパースター」などいないと考えている。
まして、マーケターと言うシゴトは決してカッコよいモノではない。

就職活動中の学生さんなどがこの記事を読むと、マーケティングと言うシゴトに憧れを持つのかも知れない。
現役マーケターとしては、「辞めておきなさい」と言いたい。
なぜなら、イメージするほどカッコよいシゴトではないし、責任はとても重い。
どちらかと言えば、「縁の下の力持ち」的なシゴトだからだ。
それも「自分の時間とお金と労力」を、相当注ぎ込む必要がある。
あらゆる面での、自己投資が必要なのだ。

マーケターとして必要なモノ・コトとして挙げられるのは「世代を超えた、コミュニケーション力」や「生活者のワクワク・ドキドキを見つけられる観察力」の他「発想力」、「思考力」といったことが最低限必要だろう。
企業の収益は、マーケティングの4Pと言われる「製品・価格・売場・宣伝」などが市場と合致し、市場から理解されてはじめて生まれるのだ。
マーケター一人の力で、ヒット商品が生まれるわけではない。

会社員時代、当時の上司から「自分の企画で、目標以上の数字が挙げられたとしても、それは企画が良かったからではなく、周囲の協力があってできたことだと思え」と、幾度も言われたことがあった。
目標に満たないときには、「営業の力不足ではなく、自分の企画力のなさだ」と言われたコトもあった。
幸いなことに、「これを経験に、もっと良いモノを考えろ」と言われたが。
マーケターのシゴトは「社内のスーパースター」どころか、「(責任と評価の関係から考えれば)割の合わないシゴト」かも知れない。

他にも、自分の企業の持っている「企業文化」や「社会的使命」、「経営理念」などを十分理解する必要がある。
なぜなら、それらが「企業」の総ての源泉となっているからだ。
それらを理解しなければ、「企業ブランドの構築」などはできないし、企業が社会の一員としての役目を果たすこともできない。
その謙虚さも重要なコトなのだ。

おそらくマーケターのシゴトというのは、サッカーで言うならゴールに結びつく2、3前のパス出しをするボランチかもしれない。
野球で言うなら、キャッチャーだろうか?
試合全体を見渡し、要所要所でキッチリ押さえ、企業全体の収益と言う名の成果をあげる影の役割なのだ。
決してフォワードやピッチャーのような、華やかな存在ではない。
そのための冷静さや客観性も、大切な要素だろう。

企業内に、スター選手は必要ない。
ましてマーケターと言う存在は、目立ってはいけない。
常に、お客様である生活者の今ある姿を見つめ、将来像を描ける創造性と優しさ、あたたかさをもって、幸せを提供するために考え貫く役割でなくてはいけないのだ(と、私は考えている)。