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女性マーケターから見た日々の出来事

都市景観と都市計画

2009-11-29 22:16:50 | 徒然
今日、友人と一緒に日泰寺近くにある「揚輝荘」(ようきそう)の紅葉を見に出かけてきた。

日泰寺と言うのは、日本唯一の無宗派のお寺で、名古屋の著名人や経済界の方が亡くなった時などは、このお寺で葬儀が行われるほど名古屋では有名で大きなのお寺だ。
そしてその近くにある「揚輝荘」というのは、松坂屋の創業者伊藤次郎左衛門の別邸だ。
中には、かつて川上貞奴が暮らしていた、と言う建物も移築され、見る事ができる。
それだけではなく戦前の一時期、インドやタイからの留学生会館として使われていたコトもあったようだ。
その面影として、建物の壁画にはインドからの留学生が描いたインドの神様が残されている(今回は、見る事ができなかった)。
現在は、名古屋市に寄贈され市民の憩いの場となっていて、今日は「紅葉を楽しむ会」が会った。
「錦秋」というほどではないが、街中にこんなオアシスがあったの?と思うほど、クラシカルな建物とお庭に癒される時間を頂いた。

しかしこの「揚輝荘」、建築当時に比べると敷地が大幅に減ってしまっている。
日泰寺側はともかく、それ以外の三方はマンションに囲まれ、中には、折角の庭を分断するようにマンションが建っている。
建てられたマンションは、この「揚輝荘」周辺の緑や古くからのお屋敷町の雰囲気を、一つの売りとしていたのだろうな~というコトは、よく分る。
よく分るし、そのような所のマンションを購入したい!と言う、購入者側の気持ちも分らないわけではない。
この土地を、切り売りした方(松坂屋の所有ではなかった?)にも、それなりの事情があったと思う。

ただ、今もし昔のままの姿で見られたら、どんなに素晴らしい風景が見られたのだろう?と思うと、とても残念な気がするのだ。
周囲からの騒音も聞こえず、ただただ周囲の自然と凝った造りの庭、明治~大正にかけて贅を尽くして建てられた、今では見る事ができない建築物・・・。

高度成長~現在に至るまで、多くの都市は「新しいコト」に対しての価値評価はしても、「古いモノ」にたいしての価値評価をしてこなかったように思う。
それが、今のつぎはぎだらけの「まち作り」になってしまったのでは、ないだろうか?

そんなことを、マンションの裏道となってしまった、「揚輝荘」の庭を歩きながら感じたのだった。