日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

不況で拡大した市場

2009-11-02 11:20:02 | マーケティング
今朝、仕度をしながらFMを聞いていたら「不況になって、拡大した市場」という言葉が、耳の飛び込んできた。
普通、不況になると市場は縮小していくはずなのだが、拡大する市場があるという。
どんな市場なのか、おわかりになりますか?
ヒントは「不況で企業が取りやめたため、個人で購入する事になったモノ」。


答えは「手帳」。
確かにバブル崩壊後、年末の挨拶代わりに取引先などへ配布していた「手帳」は、徐々に数量を制限され、いつの間にかなくなってしまった。
いくら企業名を入れ、一つの広告媒体と考えるにしても、配布先は顔なじみ(?)の取引先。
いくら企業名を入れ、一種の広告媒体のような体裁をとっても、その効果は期待できない。
その上、残った手帳は自社の社員が使うのが慣例となっていた。
これでは「手帳」という媒体の意味がない。

もちろん、そのような使われ方だけではなく、派遣会社などの場合は、稼動している派遣社員向けに配布し、スケジュール管理というよりも「派遣社員の心得+派遣会社の連絡先」という内容を掲載し、一種の管理ツールとしても使われていた。
そのような手帳であっても、昨今の不況で作られなくなったようだ。
今でも、作っている企業はどのくらいあるのだろう?と、考えてしまうほど、年末に貰う手帳は少なくなった。

そのため、個人で手帳を購入する人が増え、「新しい市場」を創り始めているというのだ。
その市場規模「1億冊分」といわれているという。
そのことを現すように、ここ数年今ごろになると書店で「手帳は○○」というPOP広告を盛んに見るような気がする。
もちろん、テレビCMも頻繁に見かけるようになったのは、ここ数年のことだ。

ただ、個人で手帳を購入するというのは、何も不況になったからではない。
1980~90年代初めのバブル全盛期、若い世代を中心に人気があった手帳がある。
それが「ファイロファクス」だ。
今の40~50代のビジネスマンの多くは、「ファイロファクスのバイブルサイズ」を一度は手にしたのではないだろうか?
この「ファイロファクスのバイブルサイズ」というのは、当時「仕事がデキルビジネスマン・必須アイティム」のように言われていた。
そのようなこともあり、「ファイロファクス」は無理でも同じようなスタイルのシステム手帳を持つビジネスマンは多かった。

その後、「超整理法」の野口悠紀夫さん監修の「超生理手帳」が発売され「時間管理」を中心とした手帳や、「夢をかなえる手帳」など次々とイロイロなアイディアが提案された手帳が発売される様になった。
企業が配布をする手帳を止めたおかげで、様々な手帳が市場に出回るという結果になったのだ。

一つ気になるのは、今後はどうなっていくのだろうか?というコトだ。
携帯電話などには「カレンダー」という機能があり、手帳に書き込むのではなく携帯電話に登録という方も増えているのではないだろうか?

ただ「不況で市場が拡大した」という点を考えると、「不況だから・・・」で見落としている市場があるのかも知れないと、思い・考えるのだった。