日々是マーケティング

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電子申請とIT化-事業のムダを産む理由?-

2009-11-30 14:26:01 | アラカルト
朝日新聞のWEBサイトに、電子申請、19府県で休止・縮小 財政難が背景にと言う記事が掲載されていた。

「事業仕分け」で話題になった「スーパーコンピューター」の開発とは関係ないとは思うのだが、本来「電子申請」の実施・推進と言うのは「業務の効率化・コスト軽減」だったのではないだろうか。
ところが、多くの自治体では「業務の非効率化・コスト増」と言うコトになっていたようだ。

それも、1件あたりの費用が自治体で大きく違うコトも気になる。
最安値の愛知(67円)と最高額の沖縄(9万14863円)とでは、実に1360倍以上の差がある。
もちろん、申請件数に対する維持費などを含めた費用によって、大きく変わるものではあるし、申請される内容も特定申請者のリピート率が高い内容が多いだけでも、その数字は大きく変わるだろう。
だが、それにしても差がありすぎるような気がする。

確定申告の季節になると、いつも思うコトがある。
それは申告会場で勧められる「e-Tax」だ。
確かに、PCと申請用のカードとカードリーダーがあれば、24時間いつでも申請できて、便利だと言うのは分る。
しかし、年に1回しか使わない申請カードを取得し、カードリーダーを購入する「時間・労力・費用」を考えると、申告内容を自宅でまとめ、申請会場でやってしまった方がはるかに「時間・労力・費用」が少ないのだ。

とにかく、政府が考えたIT申請事業と言うのは、ユーザー側から見ると事前に用意するものが多く、そのための費用がかかりすぎるのだ。
それに対して、利用頻度が極端に少ない。
少ないだけではなく、汎用性も低いのも問題だろう。
例えば、パスポートを申請する場合、本籍地が遠方であれば、申請に必要な戸籍謄本(もしくは戸籍抄本)を郵便で申請する方法がある。
その際、身分証明書のコピー添付が当然のコトながら必要だ。
それだけではなく、現住所の住民票は市内の役所で取ることになる。
パスポート申請をするために、必要な書類を揃えるための申請が必要と言う感じなのだ。
もし行政の電子申請と言うのであれば、パスポート申請は別にしても、戸籍謄本(または戸籍抄本)と住民票の取得申請が一つの窓口で、できないものだろうか?と、思うのだ。
ところが、肝心なそのようなシステムは構築されておらず、利用者側としては自分たちとは余り関係のないコトだけが電子申請化されているだけに終わってしまっているように感じるのだ。

何となく感じることなのだが、「電子申請による申請の簡便化」と言う考えと、システム構築は重要だと思うし、必要なことだと思う。
だが、「利用者」を置き去りにしたシステム構築では、意味がないだけではなくムダな事業となるだけと言う典型と言う気がするのだ。