日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

発想を変えると、違う風景が見える?

2009-11-16 16:57:45 | ビジネス
お昼ご飯を食べながら、テレビのニュース→ワイドショーを見ていた。
その時、「こんな考え方もあるのか・・・」と思った内容があった。
それは、東京谷中にある小さな旅館の話だった。

その旅館は、海外からの観光旅行者を対象として営業をし、稼働率100%だと言う。
稼働率100%と言うことは、毎日満室の状態になっていると言うコト。
しかし、その旅館はおせいじにも近代的で、外国語が堪能なスタッフがいる旅館とはいえない、家族経営の小さな旅館。

その旅館の稼働率100%を実現させている大きな理由というのが、「高いホスピタリティー」と言うコトらしい。
と言っても、京都の名だたる有名旅館のような「おもてなし」ではない。
手作り感いっぱいの旅館近隣の地図であったり、宿泊客の問題を一緒になって考え、提案をすると言うコトが、その小さな旅館の「おもてなし」なのだ。
もちろん、そのような宿泊客の問題は、ファイルとして蓄積され直ぐに引き出せるような工夫はしているのだが、そのファイルもデジタルデータ化されたようなモノではなく、クリアファイルで保存していると言う、なんともローテックな方法だ。
そのローテックで、手作り感いっぱいのサービスが海外からの宿泊客に支持され、海外のガイドブックに掲載されるまでになっているという。

その旅館のご主人は、「うちのような小さな旅館は、宿泊と朝食のサービスしか出来ないが、近隣のお店を使ってもらうことで、大きく立派なホテル並のサービスが提供できるんですよ」と、話をされていたのだ。
そして「豪華な食事などは記憶の中に埋もれてしまうけど、人と接した楽しい思いでは簡単には消えない。むしろ、海外のお客様はそれを求めて、うちにやってくる」とも、話をされていた。

日本人の考える「観光」と言うと、「名所巡り」ばかりを思い浮かべる。
それも海外となると、決められたスケジュールで「名所巡り+グルメ+買い物」を駆け足でめぐると言うパターンが中心だろう。
最近では、だいぶ目的に合わせて、ゆったりとしたスケジュールを自由に作ることが出来る旅行が人気になりつつあるようだが、「スケジュール目いっぱいあります」的ツアーの方がまだまだ主流なのではないだろうか?
だから、「名所がないから観光資源がない」と言う発想になってしまうのではないだろうか?

そして、違うお昼の番組では「世界遺産・白川郷」を取り上げていた。
コチラは、世界遺産に登録されてから様々な問題が起きているという内容だった。
と言うのも、世界遺産に登録されて以来ひっきりなしに観光バスだけではなく、自家用車が昼夜を問わず行き交うようになり、以前のような「白川郷」の雰囲気が失われつつあると言うのだ。
それだけではなく、生活をしている住宅にまで勝手に入り込む観光客も増えていると言う。

「マナーの悪さ」としか言い様がないのだが、例えば、クルマの進入エリアを白川郷の外にし、それから先は電車などでの移動にするような制限が必要なのかも知れない、と思ったのだ。
「手軽に行くことが出来る」と言うのは、確かにメリットではあるが、折角日本の原風景のようなところに行くのだから、それなりの「不便さ」も大切な観光の楽しみなのではないだろうか?
そして、行く先々で出会う地元の人たちとの時間が、大切な思い出となっていくのではないだろうか?
むしろ、そのくらいの余裕を持った「旅」の方が、今と言う時代には合っているように感じるのだ。

そんなコトを、考えてしまったお昼のテレビだった。