日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

たかが10年、されど10年

2010-11-05 19:46:35 | ビジネス
先月末、割引券をいただいた、犬山にある「博物館明治村」に行ってきた。
おそらく、割引券が無ければ行くことは無いだろうな・・・と思いながら、行ってきたのだがそこで少し考えるコトがあった。

それが、鉄道寮新橋工場・機械館で観光ボランティアの年配男性の説明だ。
この施設の見所と言うのは、菊の御紋章平板削り機などの「機械」だ。
ところが観光ボランティアの男性は、本当の見所は建物そのものにある!と、熱心に説明される。
その理由は、建物の基礎となった鉄柱はイギリスから輸入された物で、明治の始めには日本にはそのような鋳造技術は無かった。
ところが、10年余りで増築するコトになり、その時使われたのは日本製のもの。
「『もの真似作り』と言われてしまえばそれまでだが、技術そのものが無いに等しかった日本が、10年ほどで鋳造技術を国内で発展させるだけの力が当時はあったのだ」と、とても熱心に話されたのだった。

このお話を聞いた時、フッと思ったことがある。
それは、よく言われる「日本は資源が無い国」と言うコトが、日本の経済発展を支えているのでは?と言うコトだ。
特に戦後日本の経済発展は、類をみないモノだ。
発展目覚しい中国やロシアは、豊富な資源を基盤に経済発展を遂げている部分が大きい。
中国の場合は、安い人件費と国際経済の中では考えられないような、自国通貨のコントロールがあってのことだ。
だからこそ、(領土)拡大路線を目指すのではないだろうか?

例えばハイブリッド車の発想の素となったのは、1970年代の「オイルショック」だったのではないだろうか?
そして基礎となる技術は、10年かからずに出来たのでは?
その技術に磨きをかけ続けた結果が、世界をリードするハイブリッド車をはじめとする「環境車」を作る原動力となったのではないだろうか?

他にもこのような「資源が無いからこそ、出来た」と言う技術があったのではないだろうか?
今問題になっている「レアアース」にしても、中国以外の国と共同で開発するとなると10年近くの年月を要すると言われている。
その10年で、レアアースの代替触媒がもっと身近な素材で出来るようになるかも知れない。
事実、その研究・開発が進んでいると言うニュースも目にする。

資源の無い国だったからこそ、10年という時間で新しい技術開発・研究をするコトが出来たのではないだろうか?
「たかが10年」と言う時間が、日本の経済発展の基盤を作る時間だと考えれば、「されど10年」と言う時間だと考えられるし、その発想・思考力は世界に誇れるモノ・コトなのでは?
日本には、そんなDNAがあると思うのだ。