日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ワークライフバランスは、育児だけとは限らない

2010-11-19 19:51:28 | ライフスタイル
ここ2、3年頻繁に聞く言葉の一つに、「ワークライフバランス」がある。
今年話題になった「イクメン知事」なども、「ワークライフバランス」と言う観点から見れば、男性の育児も時代の流れとして受け入れられるべきコトなのかもしれない。

ただ、その前に考えて欲しいと思ったことがある。
それは、様々な経験をしている人たちの活用だ。
性別を問わず「介護経験がある」とか「育児経験がある」と言うのは、企業内では経験できないコトだ。
その経験から感じ・思うコトが、画一的になりがちな発想とは違う視点を与えるコトになるのではないだろうか?
同様に、大病をした経験と言うのもプラスとして考えて欲しいと、思ったのだ。

と言うのも昨夜、NHK教育テレビ「福祉ネットワーク」と言う番組で、「乳がん患者の仕事とお金」と言う内容の放送をしていたからだ。
私自身、乳がんと言う病気になって初めて知ったコトが幾つもある。
その一つが、「癌=死の病」と言うイメージが今だに強い、と言うコトだ。
しかし、現実は「癌は治る病気」になりつつある(「難治がんと闘う-大阪府立成人病センターの50年」に詳しい)。
完治は無理でも、上手に病気と付き合いながら生活をすると言うコトは、十分出来る病となりつつある。
そして、「癌=手術が治療法」と言うイメージもある。
今では癌の種類にもよるが、放射線治療や分子標的薬治療などが主流になりつつある。

特に乳がんに関しては、手術後の放射線やホルモン療法の方に重点が置かれている。
ホルモン療法などは、治療期間が5年近く必要になる長丁場だ。
当然、その間の治療費は膨大になるのに、「乳がん」を告白すると多くの女性たちは職場を去らざる得ない、と言うのが今の日本の社会なのだ。
それは乳がんに限らず、様々ながん患者さんたちが経験しているコトのように感じる。

患者となった日から「死と向き合う」と言う特異な経験をし、「がんと上手に付き合う生活」と言う「ワークライフバランス」が合っても良いのではないだろうか?
男性の2人に1人、女性の3人に1人が癌になる時代なのだ。
「人が人らしく、生き易いバランス感覚」と言うモノが、求められる時代になりつつあるのだと思う。
だからこそ、企業も複眼的な視点での「ワークライフバランス」を考える時代になってきているのではないだろうか?