日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

1次産業を7次産業に

2010-11-14 08:03:56 | ビジネス
年上の知人が、「来週、美山町へお出掛けする」と嬉しそうに話してくれた。
関東以北の方にとって「美山町って????」、関西の方であれば「あの、美山町か・・・」と言う感じだろう。
「美山町」と言うのは、京都・南丹市美山町のことで、「茅葺屋根の里」として人気になりつつある。

「美山町 かやぶきの里北村」

以前は、高齢化が進む典型的な過疎地だったのだが、旅行雑誌などで「日本の原風景」として紹介されて以来、関西を中心に人気が出てきた所だ。
「茅葺の里」と言えば、世界遺産に登録された「五箇村」が有名だが、次の「五箇村」として注目を浴びているようだ。
3年ほど前、父と京都へ旅行に行ったとき宿泊先のホテルでは、わざわざ美山町の湧き水を運んできて宿泊客にサービスをしていた。
おそらく美味しい湧き水があることでも、人気があるのだろう。
そんなコトを思い出していたら、「これからの農・林業などは、もしかしたらもっと複合的産業になっていくのでは?」と言う気がしてきた。

「農業は6次産業だ!」と言って注目を浴びているのが、三重県の「伊賀の里モクモク手作りファーム」だ。
農・畜産業だけではなく、加工・販売を一貫して行うだけではなく、レストランなどの事業も展開し、年間を通して高い集客をしている。
その「モクモク手作りファーム」も、以前は大変な苦労をしていたと聞く。
その理由の一つは、生産者の高齢化だ。
それが、今では若い人たちがわざわざ「モクモク手作りファーム」で仕事がしたい!と、やってくると言う。
その意味で、若年層の雇用にも一役買っているというコトになる。

そして「美山町」のことを考えると、「モクモク手作りファーム」の6次産業+観光が加わるのでは?と思ったのだ。
昔ながらの茅葺屋根を維持・管理していくコトは、大変な労力が必要となる。
しかし、その「茅葺屋根の集落」が観光資源となれば、新しい雇用が生まれる。
だからと言って、農業を捨て観光だけでは「美山町」の魅力にはならない。
なぜなら、「日本の原風景」としての「田畑・(緑豊かな)山」がセットで、初めて「観光資源」となっているからだ。
とすれば農作物の販売だけではなく、加工、製造、物販、レストランなどの飲食×地域文化などが加わって、より「観光産業」が強いモノになっていくのでは?

これまで「農林水産=1次産業」と、決め付けしすぎていたのではないだろうか?
「林業は木を切り出して、利益を得る」と言うのではなく、「緑豊かな山から生まれる総て」と考えれば、山から湧き出る水も大切な資源であり、もっと違う複合的産業と見ることが出来るのでは?

1次産業・2次産業と言う、「産業分け」の発想を止める時機が来ているように感じるのだ。