日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

電子書籍にモノ申す出版社

2010-11-17 15:21:59 | ビジネス
今年は「電子書籍元年」となりそうだ。
作家・村上龍氏が「電子書籍を発信する企業を立ち上げる」と、先日発表したばかりだ。
これに、賛同する作家さんたちも発表の席に同席していた。

この火付け役となったのは、ご存知の通り「i-Pad」だろう。
アマゾンの「キンドル」の日本発売も待たれている。
端末ツールにしても、日本の家電メーカーが相次いで参入を発表している。
そんな中、今朝の新聞に宝島社の「電子書籍の正体」と言うタイトルの新刊本の広告が掲載されていた。

宝島社といえば、出版不況と言われる中「付録本」で人気になっている書籍会社だ。 
昨今の出版不況の中で、数少ない好調出版社だとも言われている。
先日発売された「GLOW」は、付録がよほど魅力的だったのか?発売直後完売してしまった。
最近では「通勤サブバッグは、本のオマケ」と言う、OLさんも多くいらっしゃるらしい。
確かに書店の店頭には、宝島社のムック本の付録バッグが所狭しと並べられている。

そんな宝島社が、「電子書籍に反対」と言っている。
今日掲載された広告のキャッチコピー「書店のない町で 私たちは幸せだろうか?」を見て、「確かに・・・」と思っただった。
随分前になるのだが、「通販はHPがあれば、カタログなんていらないんじゃない」と言う方がいた。
「HPだったら、気に入ったモノがあればすぐ購入できるし、24時間注文できて便利」と言うのが、その理由だった。
その方は、企業のHPなどを作ることを仕事としていらしたのだが、その時「そんな単純なモノじゃないんじゃない?」と言うのが、私の答えだった。
その理由は、何かお分かりだろうか?

それは「ページをめくる楽しみ」と言うコトだ。
今の通販のHPは「電子カタログ」になっていて、「ページをめくれるようになっているだけじゃなく、ズームで商品をより大きく見ることだって出来る」と、言われる方もいらっしゃると思う。
ただカタログだけではなく、雑誌や本などには「ページをめくる」と言う「独特の間の楽しみ」があるコトを実感されている方は多いのではないだろうか?

「電子書籍」は1冊あたりの単価は、通常の本や雑誌に比べると随分安い。
それはそれで、とても魅力的だ。
「活字を読む」だけであれば、それで十分かも知れない。
でも「本を読む楽しみ」と言うのは、活字=ストーリーを読むコトだけだろうか?
装丁の美しさも本の楽しみだろうし、何よりも自分の好きな場所で好きな格好で自分の「間」で読めると言う楽しさもあるのではないだろうか?
そんな楽しみのプロローグとなるはずの書店が、町から姿を消すのはとても寂しい・・・と、個人としては思うのだ。

それはそれとして、「付録本」で業績を伸ばしている宝島社としては、「電子書籍ではオマケのつけようがない・・・」と言うのが、反対の本音かな?とも、穿った見方もしてしまうトコロもあるのだが・・・。