日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ハイテク時代のローテック戦略

2010-11-25 15:51:03 | ビジネス
先日、ポストにある企業からのDMが入っていた。
ある企業というのは、以前、通販で物を買っただった。
と言っても、この企業との通販としてのお付き合いは、10年以上になる。
そう頻度が高い顧客ではないのだが、時折DMを送ってくる。

そして今回はA4サイズの「お便り」が入っていた。
「お便り」というのは、その企業のある地元紹介の記事を中心とした「まちの紹介のお便り」だ。
「一度遊びに来てください」と言う、無言のメッセージが入っているように感じた。
でもそれは、決して嫌なメッセージではない。
押しつげがましい内容ではなく、「私たちの企業のあるまちは、こんなところですよ」と、観光で出かけたとしても見落としてしまいそうな、超がつくローカルなまち紹介だった。

その企業と言うのは、伊勢神宮の外宮にお店を構える「伊勢 せきや」さんで「伊勢山田こと・まち・便り」(注意:pdfファイル)と言うタイトルの「お便り」だった。
A4サイズの数ページからなる小冊子なのだが、「このハイテクの時代に、ローテックな手法だな・・・」と思ったのだ。

そして、実はもう一つ毎月送って頂く「お便り」がある。
以前、紹介をさせていただいた京都・羽裏友禅染めの老舗「岡重」さんの「News Letter」だ。
「岡重」さんの方が、商売気が若干強い傾向があるのだが、自分たちの企業がある「京都」を、自分たち目線で紹介をしている。

実は「せきや」さんで商品を購入する時は、ネットで注文をするコトにしている。
「岡重」さんは、直接お店で購入をさせていただいたのだが、それよりも前に度々とメールでやり取りをし、誂えていただいた物。
どちらの企業も、メール会員として新商品のご案内などを出せば、それだけコストがかからないように思うのだが、あえて紙媒体の「お便り」を送ってくるのだ。

拙ブログにこられる方の中には、ネットで商品を購入したら、毎日のように購入したお店から「特売・新商品」などのメールが送られてきて、閉々していらっしゃる方も多いのではないだろうか?
購入時に「メールを受信しない」にチェックを入れれば、それで済むといえば済むのだが、楽天などからも「バーゲン情報」などのメールが、相当頻繁に送られてきているのではないだろうか?

そんな時「せきや」さんや「岡重」さんの、「お便り」は、お客様と企業の程よい距離感を感じさせてくれるのだ。
何よりも「自分たちのまち」を紹介するコトで、「こんなところで、自分たちのモノは作られています」と言う、地域の顔が見えることで、どこか「企業文化」の背景が感じられて、逆にホッとするのだ。
「売る」と言うコトは、何も商品を売るだけではない。
ネットのメールは確かに便利ではあるが、時には「お便り」のようなローテック手法も、お客様との程よい距離感を創るのに適した方法なのかも知れない・・・と、この2つの「お便り」を読みながら感じたのだった。