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「均一感染対策」の危険性

2021-04-27 21:35:25 | アラカルト

東京をはじめとする1都2府1県に出された「緊急事態宣言」。
この「緊急事態宣言」によって、様々な業種が「半ば強制的な営業自粛」の対象となっている。
特に拘束されているのが、お酒などを提供する「飲食店」ということになる。
この「飲食店」の営業時短要請には、小池東京都知事の「20時以降は看板などを消灯して欲しい」という、内容のものまである。
この「20時以降の看板消灯」については、感染拡大抑制効果には疑問の声があったように感じている。
何故なら、今「感染クラスター」が起きている場所が「飲食店」とは、かぎらないからだ。

地方では、新学期が始まったことで、遠方から進学するために学校の寮などに入り、寮がクラスター要因になった、というケースも出ている。
集団で生活を始める事で、目に見えない様々な感染リスクが重なり「クラスター」が発生した、と考える必要があるのでは?という印象を持っている。

一方、今回の「緊急事態宣言」により、「演芸場」や「映画館」、「美術館・博物館」そして「図書館」等も閉館の対象となってしまった。
「演芸場」等は閉館要請ではなく、無観客での営業は認められている、ということだが「演芸場」で無観客というのは、演芸場を閉めろ、と言っているようなものだろう。
何故なら、「演芸場」での楽しみは、落語や漫才だけではなく、様々な芸を披露してくれる場所であり、何より来ているお客さんとの掛け合いのような空間が、「演芸場」という場所の醍醐味だからだ。
音楽の様に、オンラインライブというアイディアもあるとは思うのだが、来場者であるお客さんとの掛け合いのようなものからつくられる「空気感」を伝える事は難しいのではないだろうか。

そしてもっと不思議なのは「美術館・博物館・図書館」も対象に含めている、という点だ。
何故なら、これらの施設で大声で話すような人はいないし、元々一人か二人で来館する人達が多いからだ。
「美術館・博物館・図書館」そのものは、収蔵品の保管・管理の為に空調もしっかりと整えている。
その意味では、「飲食店」よりも「クラスターが発生しにくい場所」だと言えるはずだ。
何より、これらの施設の多くは、事前予約という方法をとるコトで「3密」を防ぐ努力も、してきている。
にもかかわらず「緊急事態宣言」によって、閉館になってしまっているのだ。

1年前の今頃は「新型コロナウイルス」という、今まで経験したことが無い「ウイルス感染」に、戦々恐々としていた。
それが1年経過し、ある程度の「予防策」が見えてきて、実行できるようになってきている。
にもかかわらず、「緊急事態宣言」だからという理由だけで、これまで様々な対策をし、それなりのリスクを減らすよう工夫をしてきている施設にまで「均一」の対応を迫る、というのは、いかがなものだろう。
むしろ、対策ができている施設に関しては、通常の営業・開館という方法をとるだけで、生活者の気持ちは随分変わるだろうし、行動そのものが変わり、「予防対策」にも協力的になるような気がしている。

「息の詰まるような生活」ばかりを要求され、しかもその要求される対策に効果を感じられないとすれば、人はその要求を無視するようなカタチで、新たな行動をするようになるのでは?
むしろ、懸念されるのは「無視された新しい行動」なのだと思う。



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