Yahoo! のトピックスに、「時代の変化」を感じさせる記事が取り上げられていた。
元となった記事は、共同通信社の記事だ。
共同通信社:電通、3年で経産省事業42件 団体通じ請負
この見出しを見て、「あ~~、今話題になっている給付金などの事業請負に関連する問題か?!」と思われた方も、多いと思う。
確かにこの「給付金事業」の請負に関して、様々な問題が指摘されている。
東京新聞:「給付金」法人に14件1576億円 経産省が委託 7件は電通などに再委託
この「給付金」の問題を含め3年間で、経産省関連の事業42件を一般社団法人を通じて、請け負っていたということのようだ。
ここで「電通って、広告代理店なのに、何故?」と、疑問に感じられる方もいらっしゃると思う。
確かに、電通そのものは広告代理店であり、主な業務というのは広告主といわれる企業から、テレビCMや雑誌広告などを造り、テレビCMであれば放映時間枠をテレビ局から取り、雑誌広告であれば掲載ページを獲得する、というのが一連の仕事、ということになる。
しかし、スマホ利用者が増えたことで、これまでのテレビCMや雑誌広告では、これまでのような「広告の効果」が期待できなくなってきた。
社会の変化が大きくそしてゆっくりと進む中、電通自身が時代の変化についていけなくなっていった、ということが大きかったのではないだろうか?
事実、広告がどのような媒体(=テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、インターネット)に移っているのか?というデータを見るとインターネットを媒体とした広告が急激に伸び、雑誌や新聞などの媒体の落ち込みが激しいことがわかる。
電通:2019年 日本の広告費 媒体別広告費-ナレッジ&データ
媒体別の広告データを作っているのが、電通というのもどこか皮肉な気がしない訳でもないのだが、逆に言えばこのような「公共性の高いデータ」というモノは、国の関連する団体(主にデータをつくるとすれば、経産省関連ということになるだろう)が作成するのでは?という気もする
ということは、このような公共性の高いデータ作成も、国の関連する団体から電通が請け負っているのか?という、気がしない訳ではない。
何より、このデータで示されている通り、これまで電通が得意とされてきたテレビCMなどの媒体の落ち込みが、大きくなり、インターネットなどの媒体が強くなったことで、電通の収益は減っていると言われている。
インターネットでの広告は、海外の高級ブランドがクリスマスシーズンに展開するような、膨大な費用が掛かっているモノから、さほど費用をかけずに制作されたのでは?と感じるモノまで、様々だ。
その傾向が特に強いのが、SNSにランダムに表示される広告だ。
テレビCMなどを通して培ってきた、政府とのコネクションをフルに使い、経産省関連の事業を請け負うことになったのは、そのような「広告と社会の変化」があり、それに対応できなかったという側面もあるような気がしている。
だからこそ、「広告代理店」という誇りをもって、「新しい広告」というイノベーションを示してほしかった、というのが個人的な思いだ。